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n=1のあなたの感想

先月から勤務している会社で採用関係の仕事を担当するようになった。
まともな就職活動をしなかった自分が就活生とやり取りする日が来るとは何という奇遇だろう。

2014年の夏、僕は国家公務員の総合職を目指して独学で学習し筆記試験に合格したものの、官庁訪問で涙をのむ結果となった。
滑り止めとして受けた新潟県庁の最終面接で「第一志望は新潟県ですか?」との質問に対し、馬鹿正直に「官庁訪問で落ちたので受験しました」と答える始末。当然、不採用となる。

公務員試験以外にリスクヘッジとしての民間就職活動をしてこなかったので、新潟県の不合格通知が届き意気消沈としたまま8月15日の終戦記念日から企業探しを始めた。しかし、ほとんどの企業は採用活動を終了しており前途が閉ざされ暗澹たる気分になった。

おまけに大学のキャリアセンターの担当者から「君の書く文章は作文に毛が生えたレベルで自己PRが弱く、全然企業に伝わらないよ」とダメ出しをされ、泣きっ面に蜂。内定を決め意気揚々と卒業論文制作に取りかかる同期を尻目に一人、エントリーシートを書き続けた。

考えては消しリライトして言葉を並べるものの12時間経ってできたものは紙くずでしかなかった。

内定先がないまま大学を卒業するのはみっともないという浅はかなプライドから10月に某社会福祉法人に内定を決めるものの入職後2か月で退職した。(その後の経緯は「一人前ではなく一流を目指せ」を参照して頂きたい。)

ここまで振り返ってみると僕は就職のステップで大きくつまづいている。
大学で学んだ知識を活かせる仕事への期待に胸を膨らませた同級生がキラキラ輝く春にどうせ自分なんて・・・と卑下する日々を送った。

当時は何で自分だけがうまくいかないのだろうと自分を責めてばかりいた。
自分に足りないものは何か、他人と比べてどの点が劣っているのか、そんなことを考え続けて、自分が本来好きなことや得意なことから目を背けていた。

ちょうど世間では「○○を論破する!」という言説が流行し始めており新語流行語大賞にも「はい論破!」がノミネートされた時期だった。

僕は論破という言葉が嫌いだ。
自分自身の実感はデータ化されないのでエビデンスなんて存在しない。
「あなたの感想」は他の人の経験とは異なり、n=1のあなたという固有のフィルターを通して形成される。

志望動機なんて小学生の作文レベルでも構わないと僕は思う。
大切なことはテンプレートや誰かの受け売りに安易に流されるのではなく、真に自分が何を求め、何を実現させたくて働きたいのか自分の言葉で書くことだ。

現に僕は今、長岡市にある中小企業に勤めているが当社の掲げる「地球温暖化防止に貢献する」というミッションに共感しているので、やりがいをもって楽しく働けている。

人生は期待通りに進まないから予期せぬ出来事がかえってプラスになることもあるという「塞翁が馬」を身をもって知った。

僕の「不」合格体験記がこのnoteを読んだ方のお役に立てれば幸いである。

今日も皆様にとってよい一日でありますように。

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竹内康司
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