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トイレの神様

入社依頼、毎朝掃除の時間に会社のトイレ掃除をしている。

「トイレ掃除を毎日続けていれば、きっと良いことがあるよ。別嬪な彼女ができるかもしれないし」

掃除をしていると専務が声をかけた。

トイレの神様の受け売りかよ。
と、入社当時は真面目にとりあわなかった。

専務は昨年、退職してしまったが僕は相変わらずトイレ掃除を続けている。

河合隼雄・小川洋子の本に
「生きるとは、自分の物語をつくること」という作品がある。

企画書を作成することもトイレ掃除をすることも自分の作品に他ならない。
洗面所のシンクが詰まっていたら誰かに任せず、気づいたら汚れを取る。

もしかしたら僕は目の前のゴミを取っているのではなく、掃除を通して自分のわだかまり、こだわりをなくしているのかもしれない。

日本は八百万の神の国といわれる。
給湯室にもリビングにもキッチンにもお風呂場にも神様はいる。

誰も見ていないと思われる小さな仕事や掃除でも、そこには今、目には見えないけれどきっと誰かの役に立っている。

この記事を書きながら10年ぶりくらいに植村花菜「トイレの神様」を聴いたら自然と涙がこぼれた。

僕自身も恩返しをしたい人にちゃんと恩返しができていないかもしれない。
だから受けた恩をバトンリレーのように誰かに送る「恩送り」をしていこう。

それがきっと大切な人にも届くと信じて。

今日も皆様にとってよい一日でありますように。

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竹内康司
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