5分で直せない人の容姿には言及するな
「お、○○ちゃん今日も可愛いね」
それがセクハラになる現代である。「褒めてるんだからいいじゃない!」と思う気持ちもわからなくもないが、相手が不快になるならやはり、言ってはいけないのである。「難しい時代になった」そんな声が聞かれる昨今であるが、最適解はコレだと思う言葉に出会った。
それが、「5分で直せない人の容姿には言及するな」である。
「あ、なんか目の下ラメついちゃってるかも、お化粧室で見てきたら?」とか「歯になんか挟まってるよ(小声)」とか。そういうのは5分で直せる。「鼻が高いね」も「小顔だね」も、5分では直せないのでやめておこう。実は「私鼻の主張が強いのが悩みなんだよね。。。あー整形して忘れ鼻にしたい」と思い悩んでいるコンプレックスの可能性もある。そんなこというと「ありのままのあなたの鼻が素敵よ!自分を愛して☆」みたいなこと言うやつも湧いてくるけど、ボディポジティブだなんだのいう前に、言及をやめよう。
こんなことをモヤモヤと考えていたら、いろんなことを思い出して、むかついてきたので書いて成仏させる。
学生時代、容姿に言及されたことはたくさんある。なんなら容姿の美醜について悪口を面と向かって言われまくったなと思う。
私は中高時代、細かった。140〜155cmで30キロ代だった。太れない体質だった。一人前のご飯は多すぎて残すことをいつも恐怖しながら口に詰め込んでいた。生理不順だった。少食はぶりっ子だった。小さい弁当箱は揶揄の対象だった。「デブにはデブって絶対言わないし優しくするが、ガリにはガリと言って中傷してもいい」みたいな空気があった。確実にあった。
「骸骨」「ヒラヒラ」「ごぼう」「細すぎて怖い」「細すぎて気持ち悪い」「全然男うけしない」「程よい細さがモテる」「不健康」「折れそう」「女性らしい体型じゃない」
これらを、いじめじゃなく、仲の良い友達たちに面と向かってしょっちゅう言われた。大人になった今でも仲の良い親友たちにだって、過去言われてきた。あなたたち私のこと好きなのに、私のこと大切にしたいのに、私のこと傷つけたくないのに、これらの言葉を面と向かって吐き付けてきてたの、大丈夫?
第二次性徴で皆の胸が膨らんでくると、ガリガリな私への中傷は「貧乳」という新たな攻撃の隙を見つけられたようで、これもしょっちゅう言われた。わたしは元々下ネタというか性的なことに嫌悪感があったから、それも手伝って本当に気持ち悪かった。「貧乳」「貧弱」「まな板」「まな板に干葡萄」「色気ない」「幼児体型」「歌って踊れるトリプルA(ダンス部だったので。これちょっと面白いな)」。
でもさでもさ、私、あなたたちの容姿や美醜について何も言ってなくない?どうして私は美醜の悪口を面と向かって言われて、「ガリ」は攻撃して良いもの認定されているんだろう。未だに不思議だけど、こんな学生生活だった。
次第に自虐を覚え、貧乳キャラみたいなのを自分でも言うようになった。そうすると、一方的に傷つけられてる訳じゃない分、みじめさがマシになるような気がした。下ネタはその後私の鎧となる。
貧乳に言及するということは、美醜の悪口かつ、セクハラだ。「あなた陰毛濃いね、プププ」とは口が裂けても言わないだろう。お前らが言ってきたのはそう言う種類の汚ねぇハラスメントだ。そして私が自虐を言うたびに、ハラスメントに加担し、私自身加害者となっていった。
そんな学生時代だったが、私はその後ちょっとずつ体重が増え、社会人になる頃には標準的な体型になった。妊娠すると、びっくりするくらい体重が増え、「妊婦の適切な体重増加」を結構超えてしまった。
妊娠中、「体重今何キロ?」と具体的な数値を聞かれ、嫌だった。なのに体重を答えるの嫌がるのってダサい?と思い、咄嗟に数値を答えてしまったことがある。あれ、すっごく傷ついたな。聞かれたこともだけど、答えてしまったことも。自分で自分を守ることすらできないことが、ショックだった。その後も、「ふっくらしてきた」とか「お尻大きくなった」とか言われた。体重増加を嘆くと、「ボディポジティブ」とか言われてぶち殺そうかと思ったりした。
あれ?痩せても太っても言及されるぞ?「デブにはデブと言うべからず、ただしガリは中傷せよ」じゃなかったのか?!と困惑した。まあ圧倒的にデブ言及の方が少なかったし、少し嫌そうにするととんでもなく謝られたりしたから、やっぱりデブ中傷は公にNGで、ガリ中傷は公にOKなのかもしれない。どこでできたんだこのルール。
そんなこんなで、他人の容姿に言及するのは、5分で直せることまでにしとこう。そうしよう。
最後に、映画バービーを見て涙した名セリフを紹介したい。容姿を、美醜を、中傷されまくっていたあの頃の全自分が泣いた。
あーめん。