「柄物」好きのヘビロテかばん
「柄物」との距離がグッと縮まったのは、大阪に住むようになってからだと思う。
若いころから、淡色の小さめ模様は好きだった。たとえば、小花柄、細いストライプ、小さな水玉。
年齢を重ねたから大柄模様を好きになったのか、それとも、大阪という土地がわたしを大柄模様好きにさせたのか。それは定かではないが、大阪住みになってから、わたしはすっかり「柄物」推しになった。
上下無地のシンプルコーデでは飽き足らないし、きれいな色の落ち着いた組み合わせでは、わたしの心が落ち着かない。
無地コーディネートはあまりにも無防備で「素」がでてしまうような気がする。無地コーデは「すっぴん」に近いと感じているから、かもしれない。
大きな柄模様を身に着けていれば、まわりの視線は自然とその柄に注がれる。着ている人より、柄が主役、みたいな。そう考えると、柄物はわたしの鎧なのかもしれない。
幸か不幸か、一重まぶたで和風のパラーっとした顔立ちなので、大柄模様を身に着けても派手になりすぎない。これはメリットだ。
濃いめの美しい顔立ちの女性が大柄模様の服を着ると、服も顔もキリリと際立ち、相乗効果で街なかで目立つことこの上ない。通りすがりの人は、必ず振り返って彼女を見るだろう。
それにひきかえ、薄い顔のわたしが柄物を着たところで、それほど目立たないし、誰も振り返らない。これもメリットだ。
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この「柄物」好きは、服だけでなくカバンにもあてはまる。
ビジネスシーンや葬祭で使うようなカバンはもちろんシンプル一択だが、普段使いのカバンはほとんどすべてが柄物。
お気に入りをいくつか紹介したい。
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まず、この2つ。一等のお気に入りだ。
この2つのカバンは、とあるお店で一目惚れしてゲット。熊本に住むカバン作家さん「Miko」さんの手作りで、帆布に面白い素材をぺたぺたとスタンプして作っている。
丈夫な素材の帆布というのも気に入ったし、なによりも個性的な柄(レンコン、リンゴなど)が良い。大変良い。
メガネ柄のトートバッグも欲しかったけど、そのときは我慢した。レンコンとリンゴのかばんがヘタったら買おうと思っているが、なんせ帆布なので、7年経った今でもまったくヘタる気配がない。
そろそろ買うぞ、メガネ柄。
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次に紹介するカバンも一目惚れ。いつも行くスーパーで、オシャレな若い男の子が持っていたのを発見。
レジ待ちのときに、わたしのすぐ前に並んでいた20代半ばのスラリと細めの男の子。ユルッとした白の上質な長袖シャツに、黒い太めのテロンとした生地のパンツ。黒デニムのバケットハットを被り、黒のぺたんこサンダルをはいていた。その彼の肩からかかっていたのが、このカバン。
あまりにも可愛いカバンとモノトーンコーデの絶妙さ!違和感なくこのカバンをさらっと持てる、そのオシャレセンスに脱帽。
どうか不審者と思われませんように。
そう願いながら、思わず彼に声をかけた。
「服、めっちゃオシャレですね〜!カバンとの意外な組み合わせがめちゃめちゃイイわぁ。そのカバン、どこのお店で買えます?」
目深に被ったバケハの下から、あきらかに困惑の表情が見てとれたけど、カバンを褒めてもらえて嬉しかったのか、
「あぁ、このカバン可愛っすよね。めっちゃ気に入ってるんですよ。ヒルダヒルダのんです」
「ヒルダヒルダってお店なのね。初めて聞いた。後でネットで見てみるわ、ありがとぉ!」
家に帰ってこの話をすると、
「その若いお兄ちゃん、訳わからんおばちゃんに急に話しかけられてビックリしたやろなぁ。よぅ、教えてくれたなぁ。いい子やなぁ」
と、会ったこともない男の子を褒めるオット。
2人でヒルダヒルダのサイトを見ながら「カミーノが好きそうなカバンやなぁ」とオットは言った。そうそう、どストライクにわたし好み。サイトを見れば見るほど、あれもこれもと物欲がざわめく。
そしてオットは、このカバンを今年のわたしの誕生日にプレゼントしてくれたのだ。相変わらずデキるオットだ。
ようこそ、可愛いブタちゃん。
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そのほか、エスニック系のカバンがいくつかある。
エスニック小物が好きなので、エスニック系のお店を見かけると自然と足が向く。この2つも一目惚れして買った。
こう考えると「一目惚れ率」が高い。男とちがって、一目惚れしてもフラレないところがいい。安心して一目惚れできるじゃないか。
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柄物は他のアイテムと合わせるのが難しい。
柄物カバンをシンプルな服に合わせれば、カバンが映えるんだろう。それは分かる。でも柄物の服が多いわたしは、どうしたって「柄物✖柄物」の組み合わせになりがち。
家族には「お母さんっぽい組み合わせやなぁ」と言われるが、それは褒め言葉だと受けとっている(ポジティブ思考)。わたしは自分が身に着けたいものを着たいし、自分の好きなものを組み合わせたい。そのほうが自分自身が満たされる。
個人的にはキレイめコーデよりも柄物コーデ。大阪に長く住めば住むほど、年齢を重ねれば重ねるほど、この傾向は強くなるのかもしれない。
でもそれでいいし、それがいい。
柄物はウキウキ楽しい気もちにさせてくれるし、ときにはスキップさえもしたくなる。柄物の魔法は侮れないのだ。