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池波正太郎『人斬り半次郎』読んだ

実家の片付けをしていると本が湧いてくるシリーズ。

池波正太郎が西郷隆盛の側近たる桐野利秋(中村半次郎)を描いた小説。1963年池波正太郎40歳のときの作品である。
20年以上前に読んでいるのだが、中身はさっぱり忘れていた。

薩摩藩で最下級の武士として生まれた中村半次郎が、剣術を武器に乱世を駆け上がっていくという物語だ。

明治維新なったあとは陸軍少将となり桐野利秋と改名する。しかし征韓論政変において敗れ下野した西郷隆盛と命運をともにするのであった。西南戦争については、命運をともにするというよりは、よく知られているように桐野らが西郷を担ぎ上げたというべきだろうが。
享年38歳、、、


小説で歴史を学ぼうとしてはいけないのだが、本作のように面白い小説は入り口としては悪くないだろう。特に事実関係について把握するにはいいかもれない。

例えば、西郷が下野して亡くなるまでの間に台湾出兵と江華島事件がおこっているのを私はよくわかってなかった。

これらは別々の文脈で語られることが多いが、まだ外国とことを構えるのは早すぎるといて西郷の朝鮮派遣を退けたのに、その直後に台湾出兵と江華島事件をやらかしているのである。西郷や桐野はどんな思いで見ていたのだろう。
またこの4年ほどが西南戦争における官軍と薩軍の戦力差につながった。

あとは維新前後の薩長の温度差とか。長州はかなり前から尊皇攘夷を唱えていたから、木戸孝允以外のめぼしい人物はほとんど亡くなっている。したがって明治政府の要職の多くを薩摩藩士が占めることになった。こういう事情を踏まえなければ西南の役における明治政府の苛烈な態度を理解できないだろう。

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はむっち@ケンブリッジ英検
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