並木雅俊『絵でわかる物理学の歴史』読んだ
『経済数学の直感的方法』を読んで、思ってた以上に
経済学は物理学からいろいろアイデアを拝借していることを知った。
ならば物理学の歴史も知っておいたほうがいいかと思って、こんなんを読んでみたのである。
このての本は山ほどあるけど、字が大きくて行間が広いのでこれを選んだ。
まず最初に言葉の説明から入るのがポイント高い。
物理学はもちろん格物窮理からの造語であるが、明治初期までは窮理学とよばれていたらしい。物理学はphysicsの訳語であるが、窮理学はオランダ語のnatuurkundeの訳語。
そもそも哲学と、いまでいう科学はわりと最近まではっきりわかれていなかった。だから、いまでいう科学や自然科学は、自然哲学と呼ばれていた。かの有名なニュートンのプリンキピアの題名も、自然哲学の数学的諸原理(Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica)である。
自然(じねん)という日本語は古来より日本にあったが、これがnatuurやnatureの訳である自然(しぜん)として定着するのは明治30年以降とのことである。Natural lawが明治初期には性法と訳されたことは内田貴先生の『法学の誕生』にも書いてあったね。
蘭語のnatuur、羅語naturaの語源はギリシャ語のphysis(ピュシス、自然)であり、ここからphysics(物理学)という言葉が生まれた。
scienceは羅語scioやscientiaが語源だが、scientiaは「論証によって裏付けられた知識」という意味だった。いまでいう科学はギリシャ語由来のphilosophyに含まれていた。 scienceが哲学からは独立した科学という意味になるのは19世紀中葉である。
ということを踏まえて、まず古代ギリシャの自然哲学から始まるという念の入れように感動する。
さらにアレキサンドリアの天文学を解説、、、なのだがプトレマイオスからいきなり中世に飛んでしまうのであった。急に雑になってワロタ。
ここで地動説の話になるが、コペルニクスはプトレマイオスの観測データを使用し、ケブラーはティコ・ブラーエのデータを使用したのは知らなかった。記録を残すのって大事だね。もちろんコペルニクスがプトレマイオスの観測データと精緻な天動説を知ることができなたのは、活版印刷の発明のお陰である。
そしてガリレオ、デカルト、ベーコン、ホイヘンス、ニュートンとなって古典力学ができあがるのだった。
あとは電磁気学の成立、電子の発見、原子構造の模索、量子力学の誕生まで描くのであった。相対性理論はなし、なんでや、、、
たぶん高校生向けですね、これ。それにしては言葉の説明がやたらと気合い入ってるのは謎。