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西牟田靖『本で床は抜けるのか』読んだ

こないだ読んだこれでしばしば引用されていた本を読んでみたのだ。

著者自身が木造の2階に引っ越した際、蔵書で床が抜けるのではないかと恐怖したことがきっかけで、本をやたらと溜め込む人々を取材したものである。

地震で本棚が割れた人たち、悪性腫瘍に罹患したことを契機に蔵書を処分した人、大量の蔵書を遺されて困る遺族、図書館を作ってしまった人、古本屋など、色々な本好きが登場して非常に面白かった。

私は蔵書をどんどん処分したり、なるべく電子書籍を購入したりなどして家のスペースを確保することを優先するようになった。さりとて紙の本の優位性は否定し難いし、著者のような著述業を生業とすると、紙の書籍や資料を保管しておかなくてはならないのも理解できる。

それでも本書を読んで、本を溜め込みすぎるのは良くないと思ったのであった。一つの目安は、本書に登場する引越し業者が示した5000冊であろうか。いや、これでも多すぎるか、、、

とにかく多すぎる蔵書は死んだ後に家族が困ってしまうのが良くない。多くの場合、二束三文でしか売れないし、もしかして値打ちのあるものが混ざっていたらと思うと廃棄するのも躊躇われる。かといって保存しておく場所もないし、、、

ごく一部の成功者、例えば草森紳一のような人だけが、死後に公的機関に引き取ってもらえる。あるいは井上ひさしのように記念館を建ててもらえるのである。

あまり本筋とは関係ないけど、井上の元妻である西館好子さんのインタビューもあって面白かった。そして著者自身も残念な結果になるのであった。

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はむっち@ケンブリッジ英検
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