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2022年読んだ人文書、意識高い本など

2022年もそれなりの量の本を読むことができた。ありがたいことである。

昨日の小説編に続いて、2022年読んでよかった本をあげていく。


直近に読んだこともあって、こちらのベルグソンの解説書は最も強く印象に残っている。

2023年は時間とか意識とかを中心に学んでいきたいなあと思ったのである。


これ以外で印象深い一冊は白饅頭ことテラケイさんの新著である。

前著からもう4年も経ってるのにびっくりするとともに、4年でより解像度が高くなっているというか、絶望が深くなっている。とはいえ読みやすい筆致なので多くの人におすすめできる。

藤沢数希さんの新著もよかった。

網羅的にコストパフォマンスの良い進路を検討しているのがよい。そしてタイトルから受ける印象に反して、著者自身は学ぶことの素晴らしさを伝えたがっているように感じた。

以上の3冊が今年最も印象深かった本である。

以下ジャンルごとにその次くらいに良かった本をあげていこう。

生権力

ここ3年ほどは生権力の恐ろしさを目の当たりにした。

というわけでフーコーに詳しいお医者さんである美馬達哉さんの本をいくつか読んだのであった。

生権力の入門書としてはなかなかよかった。

せっかくなのでフーコーの著書も読んだ。

非常にエキサイティングな一冊だった。ただし私の読解力が低くて十分に理解できたとはいいがたい。そのうち再読しないとね。

生権力がかくも強力なのは、リスクについての感覚が関係している。そのことを掘り下げたのがこの本だ。

リスクと統計と深く関係している。そこから時間の感覚、意識、他者へと思考が広がっていくのがとてもスリリングだった。読みやすいのでおすすめの一冊である。

生権力とは違うけど、近年の若者の露出志向についてのこの本も面白かった。

フロイトについてより深く知ることができたし、そこを理解できてないとドゥルーズ=ガタリなんかわかるわけないなあと痛感したのであった。


人文知は素晴らしい

人文知を学ぶのは楽しい。

というわけで日本におけるドゥルーズ研究の第一人者である千葉さんの本を再読。前に読んだときよりは深く理解できた。この本は本当に面白い。

時間を表すのはたいていの場合は数だし、現代社会では統計などの数字が意識を作っているところがある。

だからまず数ってなんなのかってとこから始めないといけないなあと思って、こんな本を読んでみたのであった。非常に面白かった。

ケレイブ・エヴェレットの父であるダニエルは著名な言語学者である。

ブラジル奥地のピダハン族との生活から学んだことをまとめたのがこれ。これまた非常に面白かった。

数や言葉について人類学的に考えると



学ぶことと教えること

学ぶのは楽しいが、シェアできるとより楽しい。そうするとどのように教えたり学ばせたりするかに関心が向いてくる。

そういう興味から『田舎からスタンフォード大学に合格した私が身につけた 夢をつかむ力』を読んでみたのであった。

読後の感想としては、想定していたのと違う面白さがあったので、やや長文の記事にしたのであった。まあ賛否両論なのもわかるけど、、、私は賛のほうです。

なにかを学ばせる上でいちばん大事なのは母国語である。

石原千秋さんのこの著書を読むと、母国語の読解力を身につけるには中学受験、高校受験の現代文をしっかりやればいいとわかる。

母国語はそれでいいとして、第二言語はどうするか。ここ2年ほどいろいろ調べたけど、普通にやるしかないかなという結論に。。。

この本はその結論を確認させてくれた。普通ってのは、文法と語彙からやっていくってことである。これに加えて発音を早い時期から正しく習得させればOKだ。発音だけは早期からやるメリットが大きいが、なぜか日本の中学以降の英語教育では軽視されてる、、、

そしてある程度以上の水準に到達したら、教えることはあんまりないし、教えすぎるとかえってよくない。これは経験的にわかっていたが、吉井理人さんのような超一流がそういうと説得力が違うよな。

この本も非常に面白かった。おすすめ。


意識高い系

今年も意識高い本をたくさん読んでしまった。というか意識高い本を読みすぎてもはやなにを読んでも知っていることばっかりになってしまった。

そんなわけで印象に残っているのはミニマリズムの本ばっかりだ。

ミニマリズムの本もたくさん読んだのだけど、この2冊が特に良かったです。


自死シリーズ

自死についてのお勉強は今年も少しずつやった。

自死といえば葉隠だし、三島由紀夫だろうってことで『葉隠入門』を読んだのであった。

これを踏まえた上で、日本の自決文化研究2冊を読んだ。

武士階級における自決文化の変遷、明治以降にそれが他の階級にどのように伝播し、戦後にどのように変化したか、だいたいのところはわかった。

現代日本における自死について知るためにこんな本も読んでみた。

しかし著者の大空幸星という若者はとんでもなく凄い奴だなあという小学生並みの感想になってしまったのであった。そして若い人が自決するのは悲しいので、できたらやめてほしいなと思った。

自死についてのお勉強はこれからも続けていくのだろうが、ゲームとか瞑想とか手術と違って、(少なくとも当面は)実践するわけにはいかないから、どんどん頭でっかちになっていくのだろう。


日本史

日本史の勉強は楽しい。

以前から積んでいたこれをようやく読んだ。

日本の貨幣史について現在わかっていることがすっきりとまとめられている。

これも前から積んでいた本。

大好きな島崎藤村『夜明け前』の歴史的背景がとても詳しく書かれていて楽しかった。

ここ3年弱の政治情況が戦前ととても似ているのは多くの人が指摘するとおり。そんなおりに豪華執筆陣による新書が出た。

新書だがかなり読み応えがある。必要な論点はだいたい網羅してあるのも良き。

昨今のテクノクラートの暴走が昭和初期にも見られたことを鋭く指摘したのがこちら。

やっぱり人文知は必要だと思い知らせてくれる一冊。おすすめである。

ウクライナとかロシアとか

今年のロシアによるウクライナ侵攻でわかったのは、私がウクライナはもちろんのことロシアについてもよくわかっていないということだった。

というわけで色々と読んだのであった。

これらを読んで専門家がなにを論点にしているかだいたいわかった。

ロシア、ソ連についての本も読んだ。

普通に面白かった。

本当はウクライナの歴史や文化についてもっと学びたいと思っていたのだが、来年に持ち越しである。


来年は

というわけで来年の主な課題は、数、言語、意識といったことである。とりあえずベルクソンについて理解を深めることから始めよう。

あとは上に書いたようにウクライナとか中央アジアの歴史、文化をもっと知りたい。

今年は仏教のお勉強をほとんどできなかった。それは仏教のアレさんがおすすめしていた『空の思想史』を読もうとしたら全くついていけなかったからである。絶望してなんとなく中断してしまった。しかし仏教の本もずいぶんと積んであるので来年は気を取り直してがんばりたい。

それとそろそろラテン語の勉強を再開したいなあ。

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