朝比奈あすか『翼の翼』 中学受験するご家庭は読んだほうがええよ
窓際三等兵氏が強く推奨していたこの本。
はいはい、読みましたよ。
主人公は専業主婦の円佳。息子がたまたま受けた模擬試験で良い成績だったこと、ママ友の影響などによって、中学受験を目指すことになるというストーリー。あるあるですな。
子供の成績で一喜一憂したり、本当に中学受験をすることが良いのか、など気持ちが揺れ動くのは、リアリティがあった。
成績が伸び悩むあたりのくだりは非常に生々しいというか、痛々しい。8割が敗者になるといわれる中学受験ではよくあることなのだろうが、私の周りには基本的に勝った人しかいないので、負けるときこういう挫折、苦悩を味わうことになるのかと新鮮だった。
定見も大局観もなく、みんながそうしてるからという理由で中学受験に突入すると悲惨だなあと思った。始めた以上は負けるわけにはいかないので、ありったけリソースを投入することになる。なんのためにやってるのかというゴール設定が曖昧なので、損切りのタイミングもわからないのだろう。
主人公の息子は算数が苦手で悪戦苦闘するのだが、そんな暇あったら数学や英語をやればいいのにと思ってしまう。
また、中高一貫校に入れないと高校入試で数学や英語をやらないといけないと脅されたり焦ったりする場面があるのだが、高校入試レベルの英語や数学もできない人間が、中学から進学校に行ってどうするんだ?と思ってしまう。もちろん大学まで半自動的に上がれる学校ならその限りではない。
もちろんこの小説を読まなくてよかったというのではない。負けるときにどういうことがおこりうるか覚悟しておくこと、撤退したり、現実的なところに目標を設定しなおすことの重要性を教えてくれた。
窓際三等兵氏の言うとおり、中学受験を検討している親御さんはぜひ読むべきだと思った。
そして中学受験なんてやるもんじゃねえなという想いを強くしたのであった。
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