にわかゲーム聖地巡礼たび【シェンムー一章横須賀】横須賀編
最近私がハマっていたのが、伝説のゲーム「シェンムー」だ。
1999年にドリームキャストというハードで発売されたSEGAのゲームで、当時ではありえない総製作費70億円という予算で作られた、主人公の芭月 涼(はづき りょう)の旅立ち、成長を描く超大作アドベンチャーだ。
物語やキャラクターの魅力ももちろんあるが、「シェンムー」といえば、ゲームの中で街を歩き回れる自由さと、時間経過による景色の変化、街の人々の生活感を感じる描写が印象に残る名作だ。その自由度の高さから、今の時代の「オープンワールドゲームの元祖」ともいわれる。
※オープンワールドゲーム=移動制限のない、自由に探索・目的に到達できるように設計されたゲーム(Wikipediaより)
「シェンムー」シリーズの続編は、2003年の「2」以降は出ることがないと思われていたが、「2」から18年ぶりとなる2019年に待望の「シェンムー3」が発売。2022年にはテレビアニメ化もしている、未だにコアなファンの多い作品である。PlayStation4でも「I&Ⅱ」と「Ⅲ」は絶賛販売中で、ダウンロード版は頻繁にセール販売も行なっているので、ぜひお勧めしたい。
ということで、今回は主人公・芭月涼の旅立ちを描いた「シェンムー」シリーズの第一弾『シェンムー 一章 横須賀』の舞台、神奈川県横須賀市の「にわか聖地巡礼」の様子をお届けしよう。
⬛︎アメリカの匂いが残る街 横須賀
まずは、『シェンムー 一章 横須賀』の舞台となる横須賀の街をご紹介。神奈川県横須賀市は神奈川県の南東部に位置し、東京湾と相模湾に面したいわゆる港町。そして明治時代以降に軍港として栄えてきた町であり、現在も米海軍の横須賀基地、海上自衛隊の基地がある。
つまり、横須賀は米海軍や海上自衛隊などが歴史として根付いた港町である。ゆえに、町中に「アメリカ」「自衛隊」の色が今も残り、表れている町だ。
このアメリカにかぶれた(もちろんいい意味で)町並みは、1986年の横須賀を駆け回る『シェンムー 一章横須賀』の中でもしっかりと描かれている。このゲームの舞台を横須賀とした理由は分からないが、この古き良き日本を残しながらもアメリカな要素がごちゃ混ぜになる異国感は、今でもクセになる魅力がある。
⬛︎当時の“雰囲気”を楽しむ聖地巡礼
あらかじめお伝えしたいのが、前回紹介した『LOST JUDGEMENT』のような「再現度」を期待するものではない、ということ。
実際に横須賀に行っても、「本当にココ…だったのかな…?」と悩んでしまうこともあるだろう。
『シェンムー 一章横須賀』の街は、今のゲームに比べるとかなりこじんまりとしていて、ゲーム上の区画も大きく分けて5,6区画しかない。(ドブ板通り周辺、移動にローディングが発生する箇所で概算)
実際にはもっと広いので、1999年のゲームの技術的に街を再現できなかったこともあるかもしれない。
ただゲームの時代設定が1986年であるため、そもそも今とは様子がちがうし、横須賀はその時代の名残りを多く残した街でもあるので、「聖地巡礼」をするには申し分ない。
今も残る、「シェンムー」のエッセンスを多く感じることのできる街だと思っていただければ。
横須賀の街が『シェンムー』の舞台だというのは紛れもない事実なのだが、1986年という40年近い昔の風景が、今もそのまま残っているなんてことはなかった。
おそらくゲーム開発当時も資料写真を参考にしていたくらいなので、『シェンムー』は“当時の雰囲気”をうまく作り出している、と見るべきだろう。
正直、この横須賀のドブ板ストリートに『シェンムー』らしさがあるかというと、もうすでに残っていない、とも言う人もいるだろう。「米軍っぽさが感じられる商店街」というものに変わってしまった。
『シェンムー』を楽しみにしてきた人には、がっかりの部分も多いはずだ。
⬛︎とはいえ“まんま”だ!という場所も
しかし、『シェンムー』で再現され、今も残る店舗というものもたくさんある。例えばここ。
サバイバルショップのカキタである。目印となる黄色い看板は約20年前のモデルとなった時から存在し、ゲームでも見事に再現されている。
他にもバス停はそっくりそのまま「本町一丁目」バス停として存在しているし、「シェンムー」を感じられる要素は多々感じられる。
◼️ここはもしかして……エッセンスを感じる場所
さて、ここからは少し下調べをして見に行った場所だ。
『シェンムー』を作る段階で、当然ながらさまざまなロケハンが行われたはずだが、そこでネットや2022年にドブ板にあったパンフレット(後述)を見る限り、元になったと言われる場所もいくつかある。
ここは写真を見てダイジェスト的に感じてもらいたい。
⬛︎2022年に行っていた……! あとがき的な。
昨年2022年は「忙しい」という理由で、筆者は本ウェブマガジンの更新をおろそかにしていた。転職、出産育児、さらに退職騒動まで。まぁ書けば確かに忙しい年だったと思う。
しかし実際には、0歳児の育児が本格化してきた2023年のほうがずっと忙しく、あの時書いておけばよかった。と思う。
というのも、2022年はシェンムーに関して非常に盛り上がっていた年でもあったのだ。なんと(なぜか)『シェンムー』が初のアニメ化。そして、アニメ化と連動して横須賀のドブ板通りではキャンペーンが展開されていた。
筆者が横須賀に向かったのはそのタイミングでもあったからだ。(早く記事化しろ)
観光案内所では、『シェンムー』の聖地巡礼として活用できるパンフレットが配られ、ドブ板通りに訪れないと回せないアニメやゲームの名場面画像が当たるデジタルガチャがあったり、特定のお店ではアニメ原画が飾られるなど、ドブ板通り全体で盛り上げていた。
それにしても、20年前の作品が、それも当時ドリームキャストで盛り上がっていたものが、今こうして注目を浴びたり、思い出されたり、遊んでもらえる時代になってきたのは良いことだと感じる。
ゲームや漫画、アニメはそういう意味で、やっと世代を一巡した。これからは地域に根付いてタイアップして生きていったり、リメイクや新たな続編の作り手が現れたり、エッセンスやオマージュとして残り続けるメディアになっていくのだろう。
ぜひ読者の皆様にも、いろいろな形でゲームとの関わりをつくり、ゲームの世界を自分なりに拡張していってもらいたいものだ。
write by こたろ