古里【詩】

おばちゃまは育ちが善いのです
だから
東京にいると鼻くそがたまるでしょう？
とは聞きません
例えば
こっちは空気が綺麗でしょう？
と言うような尋ね方をしてきます
ええ、おばあちゃま
東京の街を歩いているとね
鼻の穴を丸ごと模（かたど）ったような
真っ黒い鼻くそが時々取れたりするんですよ
そうお返しをしたならば
それが、本当に可笑しかった訳ではなく
ただし、百点満点の答えだったようで
古里のオジサンやオバサンたちは
わたしが鼻に突っ込んだ人差し指を
あわてて止めにはいったり
本当に困った子だねのため息と裏腹に
喜びを隠しきれない
万歳の波を介したティッシュが
どこからともなく私の元やってきたりするのです
そのティッシュを使わずに
一張羅でささっと拭ってしまうのが
また、お転婆さんのエッセンス

このひと立ち廻りが大切です
この立ち廻りを、年に一回だけ禊として