奇跡のイナバウアー

こんにちは。ぼーんぐんです。

年末はいろんな人に遭遇します。

先日も付き合いだけの忘年会に頭だけ参加しました。料理に手をつけようとしたタイミングでスピーチに呼ばれ、それが終わるともう退出の時間になりました。

おいおい、ちょっとは食べさせてよ。

付き合いだけの忘年会はガマンガマン。仕事と割り切らないとやっていけませんね。

そんな帰り道の出来事です。

出発待ちの電車に乗り込み、何気なくホームを見ていましたら面白い男がホームのベンチに座っています。

一杯ひっかけて気持ちがいいのでしょうね。瞼が塞ぎかかっています。

見たところ四十歳くらいでしょうか。

細身の男性です。タイトなジーンズを履き、黒のTHE NORTH FACE のダウンジャケットを着て首元までしっかりジッパを閉じています。

頭にはニット帽。眉毛が隠れるまで深く被っています。

ウトウト眠いのに精一杯カッコをつけます。

六脚ほど連なった駅のベンチの真ん中あたりの席に浅く腰掛け昭和の時代のヤンキーのように大股びらきで座ります。

両手はズボンのポケットの中、顎を引いて背もたれにもたれかかっています。

久しぶりに見ましたこんな格好。何よりこのお兄ちゃん、大股びらきがハンパありません。

しっかりつま先まで綺麗に180度で開いています。その辺のサラリーマンには到底真似はできません。羨ましいほど柔らかです。

でもこの姿勢どこかで見たような・・そうだ、荒川静香さんの代名詞のあれだよ。

"イナバウアー"

うわぁだとしたら惜しいな。手が違うんだよな。もっと両手をあげてくんなくちゃ。

リリィリリィリリィ。ピィー

発車時間となり扉が閉じます。私の電車がゆっくりと動き出したその瞬間に奇跡が起きたんです。

お兄ちゃんが目を覚まして伸びをしたんです。

うわぁーイナバウアー完成だよー！

私の頭の中では流れたメロディーはもちろん「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」。繰り返し華麗に流れています。

お兄ちゃんサイコー！今度金メダル首に掛けてあげるね。

いやぁ年末の酔っ払いは面白いですね。

さぁみなさんは観察する方ですか？それともされる方ですか。

いろんな出会いがありますからお気をつけくださいませ。