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読書メモ ツナグ

11/24(日), 11/25(月)
ツナグ
辻村深月

死者は、残された生者のためにいる

死者と生者の再会を通じて、人の心の奥底に眠る思いや葛藤を描いた感動作。
あなたの心にも優しい灯がともることでしょう。

この物語の核となるのは、「ツナグ」という仲介者を通じて、一生に一度だけ死者と再会できること。
それは、残された人々が自分の心と向き合い、未来へ歩み出すためのきっかけとなる場を提供します。

頑固な息子や嫉妬に苦しむ女子高生、婚約者を失った会社員など、さまざまな背景を持つ依頼者たち。
死者との再会も人それぞれ。
決して死者にもう一度会えて良かった、ということばかりではありません。

それでも死者との一夜の邂逅は、単なる奇跡ではなく、生者に「次へ進む勇気」をもたらします。

演劇部の女子高生・嵐美砂。
親友の死に隠された本心は明かされないままですが、嵐が再会を通じて抱いた想いは激しい後悔の念だったでしょう。
それでもその後の嵐の行動は、そういった思いを背負った上で生きていこう、という力がみなぎっていたような気がします。

主人公・歩美の両親の死に秘められた真相もまた、物語全体を通じて読者に「命」と「絆」の意味を問いかけます。

もし実際に「ツナグ」が存在するなら、自分は誰に会い、何を伝えるたいか。
考えてしまいます。

生きること、死ぬこと、そして人とのつながり。
生きづらさを感じている人、優しい気持ちを求めている人にこそ読んでほしい一冊です。

再会の奇跡とその先にある希望の物語に、きっと心を打たれることでしょう。

ツナグ
辻村深月



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