著者と友達になった錯覚に至る本「66歳、動物行動学研究家。ようやく『自分』という動物のことがわかってきた。」
天気予報は大雨でした。しかし思ったほど雨はふらず。にも関わらず大雨と変わらない程度の緩い売上。うん、よくある古本屋の日常です。
今日は夕方になってから読書タイム。朝からパソコンと睨めっこしており疲れていたので、なるべくササッと読めそうな本を掴みました。掴んだのは動物行動学研究家の竹内久美子さんの著書「66歳、動物行動学研究家。ようやく『自分』という動物のことがわかってきた。」という本でした。
そして本当にササっと読める本でした。実は竹内さんの本は以前から読みたい読みたいと考えていたのですが、そのタイトルのえげつなさに気後れし、いつも後回しにしておりました。わかる人はわかると思いますが、少々お品がないんですよね。
で、この本を読んだ感想を一言でいえば、「この本はイマイチだったけど、他の本を読みたいな」という微妙なもの。テーマには惹かれたし、内容も面白いど、誰に向けて何を伝えるために書かれた本なのかハッキリしないので読了後の充実感がありません。これって結構重要かも。
強いて書けば、この著者の竹内さんの黒歴史をサラッと吐露するように書かれていたので、いじめのターゲットになりやすかったり、人前に出るのが苦手だったりと似たような悩みを抱えている方にとっては心が救われる内容でした。でも、それをメインテーマとして書かれた本とすれば、内容が物足りない。もっと学者さんらしく詰めて書いて欲しいと思いました。
とはいえ、面白くないわけではありません。例えるなら、たまたま隣に座った竹内久美子さんから面白い話を色々聞かせてもらった本。いや、もう少し店主のベクトル不明な妄想を膨らませると、この本を読んでいて店主は竹内久美子さんと同級生になった感覚に陥りました。同じ教室で・・・とまではいきませんが、隣の隣のクラスなのに、何故か仲良くなった人、友達の友達のような人、放課後に出かけるほどではないけど廊下で出会ったら話すみたいな関係の同級生から面白い話を聞かせてもらったみたいな感覚。
そう、「読書は著者との対決だ」と諭す人もいらっしゃいますが、店主はこの本を読んで、読書はもう少し緩い感覚で著者とつながることができるとも思いました。うん、今日の天気のように。