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YouTubeで話題になっていたので速読した本「ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由」を読み、創造性の大切さを理解した。

最近、開店直後に大谷翔平選手のダイジェスト動画をYouTubeで見ることを日課にしています。大谷選手の試合がない日はサッカーの三苫選手。世界で活躍する日本人選手の姿を見ると、仕事へのモチベーションが上がります。しかし…今日もお客さんは少なかった。急に暑くなったとき、急に寒くなったとき、古本屋は本当に暇になります。

そんなパッとしない一日でしたが、少しだけ刺激的なことがありました。YouTubeが紹介してくれた動画で、うちの店に在庫がある本が紹介されたのです。なんという偶然。ちなみにその本のタイトルは「ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由」という本でした。そこでさっそく速読し、読書ブログとして紹介します。

ただ、この本は記憶力を鍛えるテクニックを短く端的に説明する本ではありません。その記憶力を鍛えるテクニックを手にするまでの軌跡を紹介する本です。ストーリーありきです。そういうこともあり、本が厚い!なのでよほどの覚悟がないと最後まで読めません。忍耐力が必要とされます。

本の説明はこんな感じ「記憶力はせいぜいで人並みであると自称する新進気鋭の科学ジャーナリストが、古代ギリシャの時代から知識人の間で綿々と受け継がれてきた由緒正しい記憶術を武器に、1年で記憶力の全米チャンピオンに輝くまでを描いた実験ドキュメンタリー。」

今日のこの読書ブログでは、そのドキュメンタリー部分を全て削ぎ落し、記憶術の一部分のみをかいつまんで紹介します。

①意味のない数字を暗記する方法。
数字の列を覚えようとするときは、既に自分が覚えている数字と関連付けて覚えると簡単に覚えることができます。例えば、198705051635という12個の数字の列を簡単に覚えることが出来る人がいます。それはどんな人かというと、1992年5月5日生まれで身長が163.5センチの人がいたら、9205051635という12個の数字を覚えることは難しくないでしょう。つまり、これと同じように、あらかじめ、自分に関係するあらゆる数字を覚えておけば、問題を出されたときに、その問題の数字と自分の記憶の中にある数字を繋ぎ合わせれば、簡単に数字の列を覚えることができる。これが数字を覚えるときのテクニックとなります。

②チェスの達人の記憶力
チェスの達人は盤面を覚える能力がずば抜けて高い。その秘密は、その盤面の駒の動きを流れとして覚えているから。彼らは駒の動くパターンや勝負の流れを覚えており、それに沿った形で盤面を覚えている。もし意味がなくチェスの駒を盤上に並べ、それを記憶しろと言われたら、チェスの達人といえども並みの人の記憶力と変わらないらしい。

③記憶の宮殿
自分の空間認識能力をフル活用する方法。例えば、牛乳とパンと卵とトマトとスライスサーモンのお使いを頼まれたら、まず最初に自分が生まれ育った家をイメージし、そこに覚えたいことを具現化して配置するという作業を脳内で行います。例えば、玄関にはホルスタインがつながれており、細い廊下にはプランスパンが落ちていて、台所に入ったら鶏が鳴いていた。お風呂場に移動すると風呂釜の中は熟した赤いトマトで満たされており、そこで鮭が泳いでいた。そんなイメージをつくれれば、先ほど紹介した5個のお使いを間違えることはありません。これをもっと複雑化して沢山記憶する方法が宮殿方式という名前の記憶術です。

④人名の記憶を助ける説明方法
古代の物語のなかで登場する「心優しいオデュッセウス」という表現は、ただオデュッセウスが優しいからではなく「心優しい」という平凡な言葉が「オデュッセウス」という個性的な名前を思い出すトリガーになっているということ。

⑤吟遊詩人が詩を覚える方法
歌にのせて覚えることによりリズムで記憶がよみがえるし、何度も繰り返し復唱して覚えることができる。ただし、歌だけで伝えているので、内容は時代と共に少しづつ変わるところがあるらしい。

⑥共感覚で覚える(ある人のみ)
共感覚がある人というのは文字や数字を見た時に色やモノや味などのイメージが脳内に浮かぶ人。(例、青→寒い)。文字や数字を感覚的に記憶できるので、その1つ1つの感覚を繋ぎ合わせれば、一般的な人より多くのことを記憶できると言われています。

このような記憶術がストーリーに乗って紹介されている本でした。そして最後にこの本の著者は本当に記憶の世界大会に出場します。その結果は本書を読んでご自分でご確認ください。

最後にまとめを書くと、この本の中盤で、この記憶術というものが、古代においては知識人が当然身につける技能として存在したと書かれていました。現代はネットからすぐに調べものができる時代です。記憶力が低くとも知識が少なくとも仕事はできます。ゆえに、この記憶術というものの価値をどのように評価するかは難しい時代です。しかし、誰でも時間をかければ調べられる時代だからこそ、瞬時に判断するデータが頭の中に入っている人、記憶力が優れた人が目立つ時代なのではないかと店主は思いました。そして、この記憶法の全ては、創造性と関係しているということがわかります。さすれば、創造性を刺激することも、現代人として併せて行っていかねばと思いました。

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