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卒園・入学をひかえた子どもといっしょに読みたい絵本【絵本の選書】

うっかりしていると、泣いてしまう絵本がある。

特にこれから春に向けて「卒業・卒園」「入学・入園」のようなジャンルの絵本は、おじさんの涙腺にはあぶなっかしくて仕方がない。

前回も、卒業がテーマの絵本を選んだ。



我が家には6歳の元気な坊主がいる。
この子がついに、この3月に卒園を迎えるのだ。

いよいよ、お世話になった保育園と我が家の縁が切れてしまう。


保育園の周りには、楽しい思い出も、辛い思い出もへばりついているものだ。

「とれた!」と見せてくれた大きいおいも。

泣き叫ぶ子を置いて出勤した慣らし保育。

お迎えはいつも沈む夕日との競走だった。



そんな日々が、いよいよ終わってしまう。

あんなに大変だった送迎をするのもあとわずか。

小学校には、自分の脚で、歩いて行ってしまう。



「かけがえのない日々を、大切に」

そんなことを言ったって、立ち止まる暇も振り返る暇もない。あるのは忙殺されていく日々だけだ。

それも含めて「保育園の思い出」なのでしょう。


◇◇◇


というわけで、今回の選書は、「卒園・入学」がテーマです。内容がよく似たお題だったので、まとめて紹介したいと思います。



Q.「「学校ってどんなところ?」がわかる絵本」ありますか?

Q.「卒園、就学を迎える子が春からの生活をわくわく感じられるような絵本」ありますか?

A.『1ねん1くみの1にち』(川島敏生/アリス館)はどうでしょうか。こちらは、小学校入学を控える子どもたちにぴったりの、「1年生の一日の生活を教室に設置した定点カメラで撮影した写真絵本」です。

朝の会や帰りの会、一時間目~五時間目の授業や休み時間の子どもたちの様子、持ち物や教室の備品、給食の写真(なんと1ヶ月分》や特別教室など、ありとあらゆる学校の要素が写真で紹介されています。もはや図鑑と言ってしまってもいいくらいです。

親子で小学校という場所の予習をするには、ぴったりの絵本だと思います。

猪狩はなさんこばむーさん、ありがとうございました!



小学校教員としては、このテーマはこの一冊だけでは終われません!今回は一冊に絞ることはできませんでした。

「入学関係の絵本」って、実はたくさんあります。
中には堅苦しい、もう入学する前からとにかく型にはめよう型にはめよう…といった大人の魂胆が丸見えな、とても教訓めいた本なんかも存在します。

さきほどの『1ねん1くみの1にち』以外にも、ぜひ入学前のお子さんに読んでいただくことをおすすめしたい本をご紹介します。


候補2『くんちゃんのはじめてのがっこう』

『くんちゃんのはじめてのがっこう』(ドロシー・マリノ/訳:間崎ルリ子 /ペンギン社)も、どうでしょうか。

こぐまのくんちゃんが、一年生として初めて学校に登校する日のお話です。わくわくしながら登校したものの、教室で過ごしているうちにどんどん自信をなくしてしまい、最後には教室から逃げ出してしまいます。

でも。このくんちゃんの教室の先生が、とても優しくて、素敵なのです。
くんちゃんは先生と接するうちに、みるみると自信を取り戻し、学校が大好きになるのでした。

いち教員として、この先生の在り方に、いつも感動をしてしまいます。

現実はなかなかうまくいかないかもしれませんが、これから入学をする子どもたちには、不安ばかり抱えるのではなく、「万が一学校で困ってしまっても、きっと優しい先生がいて、なんとかしてくれるんだ」と、希望をもって入学式に臨んでほしいなと思うのです。



候補3『よかったね ネッドくん』

『よかったね ネッドくん』(レミー・シャーリップ/訳:やぎたよしこ/偕成社)も、どうでしょうか。

この絵本に、「学校要素」は一切ありません。
ネッドくんが「びっくりパーティー」に誘われるのですが、会場に向かうネッドくんの行く手を、様々な困難がはばみます。乗っている飛行機が爆発したり、サメに襲われたりします。たいへんですが、なんとかなってしまうのです。彼は、運や実力で、なんとかするのです。

この「なんとかなる」「なんとかする」という考え方が、学校ではとても大事な気がします。いろいろ心配だけど、なんとかなる。何かがあっても、なんとかする。親も子も、心配はつきませんが、大丈夫。なんとかなる!と、笑い飛ばしてしまいましょう。なんとかなるはずです。なんとかならない場合をのぞいて。



候補4『6さいのきみへ』

『6さいのきみへ』(佐々木正美/絵:佐竹美保/小学館 )も、いかがでしょうか。

おむつをしていたあの頃、いたずらやわんぱくが止まらなかったあの頃。できることがひとつずつ増えていった日々は、親にとってかけがえのない宝物です。そんな子どもの成長を見守ってきた親の視点から、小学校入学を迎える親子の緊張感と感動を描いた一冊です。

ちょうど6歳の入学を控えた息子を持つ私は、この絵本を読むたびに目頭が熱くなります。巻末の「おうちのかたへ」には、こんな言葉が添えられています。

『子どもが幼稚園や保育園を卒園して、小学校の入学式を迎えることになった時の、親子の感動には、どんなに複雑で豊富な感情が交錯しているものでしょうか。その後のどんな学校の入学式よりも、生涯の思い出になります。おめでとうございます。』

親子で一緒に成長を振り返り、新たな一歩を踏み出す心の準備ができる絵本です。


いかがでしょうか。
今はまだ1月。卒園入学を控えた我が息子にも、平常心で読むことができます。2月…3月…と、節目が近づくにつれて、ハンカチ無しでは読めなくなってしまうのかもしれません。

こんなに早く大きくなってしまうんだなあ。


◇◇◇


前回の選書はこちら↓↓↓


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