見出し画像

『なぜかうまくいく人のすごい無意識』梯谷幸司

概要

『なぜかうまくいく人のすごい無意識』は、無意識に働きかけることで人生や仕事が驚くほど変わる方法について解説した一冊です。梯谷幸司さんは心理技術の専門家であり、多くのビジネスパーソンに「メタ無意識」へのアプローチを指導しています。このメタ無意識は、普段意識していない心の奥にある無意識で、行動や感情に大きな影響を与えます。著者は、人がうまくいかない理由として「自己認識の限界」と「無意識に根付いた思い込み」に着目し、それらを変える方法として14の無意識パターンを提案しています。本書を通じて無意識にアプローチすることで、自分を支配する無意識を再プログラムし、理想に近づく方法が解説されています。

本のジャンル

自己啓発、メンタル・マインドフルネス、心理学

要約

1. 無意識の力と「メタ無意識」とは?

本書で中心的な役割を果たす「メタ無意識」とは、普段の意識に上らない部分の思考や感情の傾向を指します。多くの人は行動や選択を意識的にしていると感じますが、実際は無意識の影響が非常に大きく、成功や失敗を左右している場合が多いです。たとえば、失敗を繰り返す人には特定の無意識的な思考パターンがあり、それが行動に表れています。メタ無意識を意識することで、自分の行動の傾向やパターンを理解し、変えることが可能です。これは単なるポジティブシンキングとは異なり、心の奥底にある「自己の核」を見つめ直すアプローチです。

2. 自己有用感と自己決定感の重要性

著者は、成功するためには「自己有用感」と「自己決定感」が重要であると説いています。自己有用感とは、「自分は価値がある存在だ」という感覚であり、行動への自信を生み出します。また、自己決定感は「自分の人生を自分で決めている」という感覚です。この2つが揃っていると、他者に左右されず、自分の判断で行動ができるため、困難な状況においても前向きに進む力を持てます。例えば、目標に向けた行動が他人の評価を気にせず、自分の価値観や判断基準で進む場合、成果も得やすくなります。著者は、この自己有用感と自己決定感を養うことが、成功者の思考や行動の土台であるとしています。

3. 内的基準と外的基準の違い

成功者とそうでない人の違いには、「内的基準」と「外的基準」が大きく影響しています。内的基準とは、自分で自分の価値や基準を定めて行動する傾向で、他人の評価に振り回されることが少ないのが特徴です。一方、外的基準の人は他人の評価や期待を重視しがちで、無意識に他人の承認を求めてしまいます。著者は、成功を収めるためには内的基準を持つことが重要だと述べており、他者の意見に左右されないことで、自己の成長が実現しやすくなると指摘しています。

4. 楽観基準と悲観基準の使い分け

物事の捉え方も大きな影響を与えます。たとえば、ビジネスにおける挑戦を「チャンス」として捉える楽観的な姿勢を持つ人は、新しいアイデアや行動に積極的であり、結果的に成果を出しやすくなります。一方、悲観的な思考に囚われてしまうと、リスクばかりに目がいき、行動が制限されてしまいます。著者は、楽観基準で自分の価値観に基づいて捉える姿勢を育てることが、未来へのポジティブな影響を与えるとしています。

5. 14の無意識パターンとは

本書では、無意識の癖に気付くための14のパターンが紹介されています。これらは人間の行動や考え方の「癖」を分類したもので、理解し意識することで、自分の行動を望む方向に修正することができます。

1. 主体行動型 vs 反影分析型
主体行動型:状況を深く分析するよりも、すぐに行動に移して経験を通じて学ぶタイプです。例えば、新しいビジネスアイデアを思いついたら、すぐに実行に移し、試行錯誤を繰り返して改善することが得意です。積極的で挑戦的なため、変化が早く成果が出やすい傾向があります。
反影分析型:まず情報収集や分析を行い、十分に計画を立てたうえで行動に移すタイプです。失敗のリスクを抑え、事前に問題点を解決するので、慎重で計画的な成果が得られる一方で、動き出すまでに時間がかかることもあります。

2. 目的志向型 vs 問題回避型
目的志向型:目標や夢に向かって積極的に行動するタイプです。たとえば「このプロジェクトを成功させたい」という目標があると、そこに向けての行動がモチベーションとなり、挑戦を楽しめる人が多いです。
問題回避型:失敗やリスクを避けるために行動するタイプで、「失敗したくない」「ミスを防ぎたい」という思いが強いです。危険を回避する能力が高いため、安定した結果を出しやすいですが、挑戦を避けがちになることもあります。

3. 他者基準 vs 自分基準
他者基準:自分の価値や成果を他人からの評価や意見で判断するタイプです。周りの反応に敏感で、褒められるとやる気が出るものの、批判を受けると自信を失いやすい傾向があります。
自分基準:他人の評価ではなく、自分の価値観や基準に従って行動するタイプです。他人の意見に影響されにくく、自己信頼が強いので、自分のペースで成果を出しやすいです。

4. 過去基準 vs 未来基準
過去基準:行動する理由を過去の経験や出来事から見出すタイプで、過去の成功や失敗が大きな影響を与えます。たとえば、過去に似たような状況で成功した経験があると自信を持ちやすくなります。
未来基準:未来の目標や理想に焦点を当てて行動するタイプです。過去よりも未来に向けて自分を成長させようとするので、ポジティブなビジョンを描きやすく、前進する力が強いです。

5. プロセス型 vs オプション型
プロセス型:他人からの指示や手順に従って行動するのを好むタイプです。計画がしっかりしていると安心しやすく、段取り通りに進めることが得意です。
オプション型:自分で選択肢を考え、その中から選んで行動するのが得意なタイプです。柔軟で独立性が高く、新しい方法を見つけることに向いています。

6. 人間重視型 vs 物質タスク重視型
人間重視型:人との関わりや感情、充実感を重視するタイプで、人間関係やコミュニケーションを大切にします。たとえば、仕事での充実感や仲間との一体感を重要視します。
物質タスク重視型:物質的な成果やタスクの達成を重視するタイプで、仕事の結果や数字に価値を置きます。目標に向けて集中して取り組むことが得意です。

7. 目的基準 vs 体験基準
目的基準:目標や成果の達成に価値を感じるタイプです。たとえば、ビジネスでは売上目標を達成することが大きな喜びとなります。
体験基準:行動そのものを楽しむことに価値を見出すタイプです。プロセスを楽しむ傾向があり、達成するまでの経験そのものを大切にします。

8. 他者原因型 vs 自分原因型
他者原因型:問題や失敗の原因を他者や外部環境に求めるタイプです。他人に原因を求めやすい一方で、自分の内面を変えることへの意識が薄くなる傾向があります。
自分原因型:問題や失敗の原因を自分に見出すタイプで、自己責任を意識します。自分を変えることで状況を改善しようとする積極的な姿勢が特徴です。

9. 悲観基準 vs 楽観基準
悲観基準:物事を慎重に、リスクを意識して捉えるタイプです。ネガティブな要素を考慮して行動するため、予防的な行動が取れますが、慎重すぎることで機会を逃すこともあります。
楽観基準:物事を前向きに捉え、挑戦を楽しむ傾向があるタイプです。リスクよりも可能性に焦点を当てるので、新しいアイデアを出しやすいですが、リスクを見落としやすいこともあります。

10. 分離体験型 vs 実体験型
分離体験型:物事を判断するときにデータや事実を重視し、主観から距離を置くタイプです。冷静で理論的な判断が得意です。
実体験型:自分の体験や価値観を基に判断するタイプで、感情や経験を重視します。自分の実感に基づいて行動を決定するため、直感力が発揮されます。

11. 義務型 vs 欲求型
義務型:「〜しなければならない」という義務感から行動するタイプです。責任感が強く、期待される役割を全うしようとしますが、楽しみを見つけにくいこともあります。
欲求型:「〜したい」という欲求や楽しみを動機に行動するタイプです。自分の喜びを優先するため、モチベーションが続きやすいですが、時には自己中心的になることもあります。

12. 限定的自我 vs 絶対的自我
限定的自我:健康状態や成果などに自己評価が大きく影響されるタイプです。うまくいかないと自信を失いやすく、ストレスが溜まりがちです。
絶対的自我:外的要因に関わらず、自分の存在価値を確信しているタイプです。自己評価が安定しており、逆境にも強い精神力を持ちます。

13. 結果期待型 vs 結果行動型
結果期待型:成果を待つ姿勢で、条件が整ったら行動を始めるタイプです。計画的ですが、動き出すまでに時間がかかることもあります。
結果行動型:成果を得るために積極的に行動するタイプで、行動を通じて結果を引き寄せようとします。積極性が高く、早期に行動することで成果を出しやすいです。

14. 生存欲求 vs 目的欲求
生存欲求:安全や安定を優先する行動パターンで、現状維持を重視します。安定を求める反面、リスクを取ることには消極的です。
目的欲求:自分の目標や理想のために行動するパターンです。自己実現を目指して行動するため、積極的に挑戦する意欲が強く、成長の機会を見つけやすいです。


これらの14のパターンは、無意識の中にある行動や思考の癖を表しており、理解することで自分の傾向を見直し、望む方向へ行動を調整しやすくなります。

6. 具体例で学ぶメタ無意識の変革

著者は、メタ無意識を変えると生活が劇的に変わる具体例を示しています。たとえば、あるカウンセラーの方が、クライアントに対して無意識の癖を変えるプログラムを提案したところ、クライアントの売上が通常の20倍に跳ね上がる結果が出たといいます。これは、無意識の癖が「自分には価値がない」という思い込みに基づいており、それが人間関係や仕事において制約となっていたためです。無意識を変え、自分の価値を再認識することで、行動がポジティブに変化し、驚くべき成果が得られた事例として紹介されています。

7. 自分を制約する思い込みからの解放

著者は「思い込み」を再認識し、その無意識的な制約から解放されることが、成功への第一歩であると主張します。人は無意識に、自分の可能性や能力に制限をかける「枠」を作り出しています。たとえば、「自分にはこの仕事は無理だ」と無意識に思い込むことで、本来の力が発揮できない状況が生まれます。この枠を外すためには、日々の思考と行動を見直し、自分に「できる」と感じられる体験を積むことが大切です。

まとめと感想

『なぜかうまくいく人のすごい無意識』は、私たちが普段意識していない「無意識」が、どれだけ生活や行動に影響を与えているかを再認識させてくれる一冊です。無意識の癖に気付き、それを改善していくプロセスは自己成長への道筋として非常に有効です。著者の梯谷さんが提示する14の無意識パターンは、自分の行動や思考を見直すための具体的なガイドラインであり、多くの気付きが得られます

ネット上の口コミやリンク先でも高評価が多く、「自分を変えたい」「思い通りの人生を送りたい」と感じている人に向けて、強くお勧めできる内容となっています。この本は、意識的に「自分を変える」きっかけを与えてくれる一冊です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?