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『仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場』鈴木敏夫

概要

『仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場』は、スタジオジブリのプロデューサーとして長年活躍してきた鈴木敏夫さんが、数々の作品制作の裏側や宮崎駿さん・高畑勲さんとの関係性、そしてジブリ作品を支えた哲学について語った一冊です。宮崎さんの想像力豊かなエンターテイナー的側面と、高畑さんの緻密で現実主義的なアーティスト性の間で、鈴木さんがいかにしてバランスを取り、成功に導いたかが描かれています。本書では、「チームを動かす力」「個性を活かす方法」「リーダーとしての役割」など、組織運営や人間関係に役立つヒントが満載です。また、作品作りを通して鈴木さん自身がどのように「仕事」を「道楽」に昇華させたのかという姿勢は、現代の働き方を考える上でも多くの示唆を与えてくれます。

本のジャンル

ビジネス、自己啓発、ライフスタイル、コミュニケーション

要約

1. スタジオジブリの舞台裏

スタジオジブリは日本を代表するアニメーションスタジオであり、多くの人々に愛される作品を生み出してきました。本書では、ジブリが生み出す名作の舞台裏が詳細に語られています。宮崎駿さんと高畑勲さんはそれぞれが天才的な才能を持ちながらも、考え方やアプローチがまったく異なる二人でした。宮崎さんはアイデアを形にするスピードが速く、物語を感覚的に作り上げるエンターテイナー。一方、高畑さんは徹底的に調査し、論理的に作り上げる職人気質のリアリストでした。

例として、『火垂るの墓』の制作では、高畑さんが「爆撃機の飛行方向をリアルに描く」ために膨大なリサーチを行った一方、宮崎さんは『となりのトトロ』で「どうしたら観客を驚かせられるか」を感覚的に考え抜きました。これらの対照的なスタイルが時に衝突し、時に補完し合いながら作品が作られました。

著者の鈴木敏夫さんは、この二人の間に立ちながら、衝突を和らげ、互いの才能を引き出す調整役を担いました。ここで鍵となったのが「個性を認め、それぞれの得意分野に集中させる」というプロデューサーの役割でした。

2. 「仕事」を「道楽」に変える考え方

タイトルにある「仕事道楽」という言葉は、鈴木さんの哲学を象徴しています。ジブリでの仕事は、決して楽なものではありませんでした。時には終わりの見えないスケジュールや、大きなプレッシャーの中での決断が求められることもありました。しかし、鈴木さんは「仕事を道楽として楽しむ」という考えを貫いてきました。

この「道楽」とは、自分の好きなことを全力で追求する姿勢です。本書では、鈴木さんが仕事を「好きなこと」として楽しむために、どのようにマインドセットを変え、ストレスを乗り越えてきたかが具体的に描かれています。彼は「好きなことに全力を尽くすことで、困難も乗り越えられる」と語り、それがジブリの成功の原動力となったのです。

3. 個性を活かすチームビルディング

宮崎さんと高畑さんという強烈な個性を持つ二人をまとめる上で、鈴木さんは「個性を活かすこと」が何よりも重要だと考えました。彼は、二人を無理に同じ方向へ導くのではなく、それぞれの得意分野を最大限に活かす環境を整えることに注力しました。このアプローチは、他のスタッフにも適用されました。

例えば、あるアニメーターが細部の描写にこだわるタイプであれば、その才能を最大限に活かせるシーンを割り当てました。一方で、物語全体を俯瞰するのが得意なスタッフには、ストーリーボードの作成を任せました。このように、「適材適所」を徹底することで、個人の才能がチーム全体の力となり、ジブリ作品の高い完成度が実現したのです。

4. リーダーとしてのバランス感覚

鈴木さんは、リーダーとして「バランス感覚」を持つことの重要性を強調します。宮崎さんの感覚的なスタイルと、高畑さんの論理的なスタイルは、普通であれば衝突を生みかねない関係でした。しかし鈴木さんは、二人の意見を聞きながら、全体の方向性を見失わないように調整しました。この「バランス感覚」は、現代の職場でも必要とされるスキルです。

たとえば、異なる部署やバックグラウンドを持つメンバーが集まるプロジェクトでは、互いの意見を尊重しながらも、最終的な目標に向けて方向性を統一するリーダーシップが求められます。本書では、このリーダーシップがどのように発揮されたかが具体例を交えて描かれています。

5. AI時代にも必要な「人間らしさ」

AIが進化する現代においても、本書で描かれる「感情の調整」や「暗黙知の共有」といった人間特有のスキルは重要です。鈴木さんが宮崎さんや高畑さんの意見を聞き出し、調整役として活躍したように、人間同士のコミュニケーションや信頼構築は、どんなにテクノロジーが進んでも代替できない領域です。

まとめと感想

『仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場』は、スタジオジブリの成功を支えた鈴木敏夫さんのリーダーシップや哲学が詰まった一冊です。宮崎駿さんと高畑勲さんという天才をまとめ上げた著者の「バランス感覚」や「個性を活かす力」は、現代のビジネスやチーム運営にも大いに役立つでしょう。また、「仕事を道楽として楽しむ」という考え方は、働き方に迷う人にとって新たな視点を与えてくれるはずです。

この本はネット上でも口コミが高評価で、ジブリファンはもちろん、ビジネスやリーダーシップを学びたい人にもおすすめです。ジブリ作品を愛する方だけでなく、チームを率いるリーダーやプロジェクトに携わるすべての人に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。リンク先のレビューも高評価で、「読むことで仕事に対する姿勢が変わった」という声が多く寄せられています。

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