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『任せるコツ』山本 渉
概要
「任せるコツ」は、令和時代のマネージャーやリーダーに向けた指南書です。部下に仕事を任せることに悩むリーダーたちの声に応え、部下の適性や意欲を見極めて仕事を任せる「正しい丸投げ」の方法を解説しています。著者自身が、仕事を抱え込み失敗した経験を基に執筆。自分一人で完結する働き方ではなく、部下とともに成長し、組織全体で最大のパフォーマンスを発揮するための具体的な手法を提案しています。本書は、プレイングマネージャーや部下の育成に悩む人にとっての必読書です。
本のジャンル
ビジネス、キャリア
要約
1. 任せることの重要性
多くのリーダーは「自分でやった方が早い」「部下に迷惑をかけたくない」と考え、仕事を抱え込んでしまいがちです。しかし、その結果、リーダーは過労に陥り、部下の成長の機会も失われます。本書では、「正しい丸投げ」を実践することで、リーダーと部下が共に成長し、組織全体のパフォーマンスが向上することを強調しています。
著者は、かつてプロジェクトを一人で進めようとして、期限内に終わらずクライアントとの信頼を失った経験を語ります。その反省から、部下に仕事を任せ、チーム全体で成果を上げる重要性を学びました。
2. 「どう頼むか」と「誰に頼むか」のコツ
「どう頼むか」
頼み方の5つのポイント
1. 意欲の創出: 「君にしかできない仕事だ」と特別感を伝える。
2. 目的の明確化: 「この仕事はプロジェクト全体にどう影響するか」を具体的に説明する。
3. 十則欲求: 相手の目標やニーズに合わせた頼み方をする。
4. 選択肢の提示: 「無理なら相談してほしい」と余白を残す。
5. 負担の配慮: スケジュールや難易度を考慮し、無理なく進められる形にする。
「誰に頼むか」
適性と意欲を見極める
部下の適性や意欲を知るには、日々の観察や1対1の面談が欠かせません。特に、月1回の30分程度の面談で「長期目標」や「仕事の悩み」を聞き出すことで、部下の強みとモチベーションを理解できます。
例えば、創造的な仕事が苦手な部下にプレゼン資料を任せるのは非効率です。一方、データ分析が得意な部下にその仕事を割り振れば、成果が上がるだけでなく、部下の満足感も高まります。
3. 正しい丸投げの実践
丸投げの前
• 仕事を任せる前に、部下の適性や意欲を把握する。
• チーム全体の仕事量を調整し、部下が新しい仕事に取り組む余裕を作る。
丸投げの最中
• 適切な指導とサポートを行い、部下が困った時に相談しやすい環境を整える。
• 必要に応じて進捗を確認し、軌道修正を図る。
丸投げの後
• 成果が出たら、必ず感謝とフィードバックを伝える。たとえミスがあったとしても、次につなげる建設的なコメントを心がける。
著者は、丸投げを成功させる例として、チームメンバーに自主的にプロジェクトを進めてもらった際、成果物に多少のミスがあったが、それを一緒に修正することで部下のスキルが向上した事例を挙げています。
4. 時代に合った任せ方
現代の職場では、多様性や個々の価値観が尊重されるため、一律のマネジメント手法は通用しません。本書では、以下のような「時代に合った任せ方」を提案しています。
• Z世代の部下には、自由度を持たせた仕事を任せる。
• リモートワーク環境でも、オンライン面談やチャットを活用してコミュニケーションを取る。
最近の若い世代は、仕事の意義や社会への貢献度を重視する傾向があります。そのため、「この仕事が会社全体にどう影響するのか」を丁寧に伝えることで、彼らのやる気を引き出すことができます。
5. 褒める技術とモチベーションアップの「4+1」
部下のモチベーションを上げるためには、「4+1」の法則を実践することが効果的です。
• 褒める
成果だけでなく、努力や姿勢を認める。
• 感謝する
小さな成果でも感謝を伝える。
• 期待する
「次も期待している」と将来への期待を伝える。
• 共感する
困難や課題に共感する姿勢を持つ。
• (+1)信頼する
最終的には部下に任せ切る覚悟を持つ。
まとめと感想
「任せるコツ」は、多くのリーダーが抱える「部下に仕事を任せられない」という悩みに対して、具体的な解決策を提供しています。適性と意欲の見極め方、頼み方のコツ、時代に合ったマネジメント手法など、すぐに実践できる内容が豊富です。
本書を読んで感じたのは、「リーダーは万能である必要はない」というメッセージです。部下に仕事を任せることは、リーダーの弱さを見せることではなく、強さを発揮する手段なのだと気づかされました。また、部下が自発的に成長し、チーム全体が一体感を持てるようになるための方法論が明確に示されている点も魅力的です。
読者の間では、「具体的で実践的」「部下との関係が改善した」など高評価の口コミが寄せられています。特に、新任のマネージャーやプレイングマネージャーにおすすめの一冊です。この本をきっかけに、仕事の進め方やリーダーとしてのスタイルを見直してみてはいかがでしょうか?
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