見出し画像

『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』橘 玲

概要

本書『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』は、橘さんが提唱する「8つのパーソナリティ」に基づき、人の性格特性を解明し、その特性が人生や成功にどのような影響をもたらすかを考察した一冊です。著者は、従来の心理学における「ビッグファイブ理論」に加え、外見や知能なども含む「ビッグエイト」を提唱し、これらの組み合わせが人の人生を大きく左右すると解説しています。本書は、変えることのできない自分の特性を受け入れ、それを最大限に活かすための道を探る「自己啓発」としての役割を果たしています。自分の性格に合った環境や職業を選ぶことで、無理なく自己実現を図るためのヒントが詰まった内容です。

本のジャンル

心理学、人生論、自己啓発

要約

1. 「8つのパーソナリティ」とは

本書の中心的なテーマは、著者が提唱する「8つのパーソナリティ」に基づいて人間の性格を解き明かし、それを活かす方法を見つけることにあります。この8つのパーソナリティは、外向性、楽観性、協調性、共感力、堅実性(現実性)、経験への開放性、知能、外見です。従来の心理学では「ビッグファイブ」として性格を5つの要素に分けていましたが、著者はさらに外見や知能などを加えることで、人が持つ性格特性をより具体的に分類しています。

多くの人は、自分の性格や生まれ持った特徴に悩みを抱えることがあります。例えば、「どうして自分はもっと社交的になれないのか」と考える人もいるかもしれません。しかし著者は、性格は意志だけで変えられるものではなく、むしろ遺伝や育った環境によって大きく影響されるものだと主張しています。そこで、性格を変える努力よりも、特性を活かせる環境や仕事を選ぶことが、より実践的で幸せな人生につながると提案しています。

2. 外向性と内向性の違い

外向性と内向性は、多くの人が自身の性格を理解する際に考慮する要素の一つです。外向的な人は、刺激に対する反応が鈍いため、強い刺激を求める傾向があります。彼らは人と関わることを楽しみ、パーティーや大規模な集まりといった場所での活動に喜びを感じやすいタイプです。このような性格を持つ人は、営業職やイベント企画、接客業などで活躍することが多く、集団の中でリーダーシップを発揮する傾向があります。

一方で、内向的な人は刺激に対する感受性が高く、穏やかで落ち着いた環境を好みます。内向的な人は深く考える力があり、一人での作業や静かな環境での仕事に向いています。研究者やアーティスト、作家など、自己完結型の職業で才能を発揮する傾向があります。内向的な性格がネガティブに捉えられることもありますが、著者はそのような見方を払拭し、内向性もまた価値のある特性であると述べています。むしろ、自分が内向的であることを理解し、その特性に合った環境を選ぶことが大切だとしています。

3. 楽観性と悲観性のバランス

次に楽観性と悲観性の違いについてです。楽観的な人は、未来に対してポジティブな視点を持っているため、チャレンジを楽しみ、困難にも前向きに立ち向かう傾向があります。たとえば、楽観的な人は「未来は明るい」と考えるため、健康管理や運動を続けることができ、長期的な利益を得やすいと言えます。楽観的な人は、仕事や生活においても失敗を恐れず行動することが多く、結果的に成功を引き寄せやすい傾向があるとされています。

一方で、悲観的な人は、リスクに敏感であるため、慎重な判断をする力があります。例えば、リスクの高い投資に対しても慎重に考え、失敗を避けるための対策を講じることができます。これはビジネスや投資などの分野で大きなメリットとなる場合があります。ただし、悲観的すぎると新しい挑戦が難しくなるため、どちらの特性もバランスよく持つことが大切だと著者は説いています。

4. 協調性と共感力

協調性と共感力も、私たちの人間関係を左右する重要な要素です。協調性が高い人は、集団の中で調和を重んじ、他人と良好な関係を築くことを得意とします。このような特性を持つ人は、職場や家庭などで人間関係を円滑に保つ力があり、他人の意見や気持ちに配慮することができます。例えば、協調性が高い人は、チームワークが求められる職場での仕事や、サービス業での対応において重宝される傾向にあります。

一方で、共感力は他人の感情に共鳴し、深い理解を持つ能力です。共感力が高い人は、相手の気持ちを察し、寄り添うことで信頼関係を築くことができます。たとえば、カウンセラーや心理学者、医療従事者など、相手の心に寄り添う職業に向いています。このような共感力を持つ人は、対人関係において相手に安心感を与える存在となり、信頼されやすいといえます。


5. 堅実性(現実性)と時間割引率

堅実性、または現実性は、目先の利益に惑わされず、将来のためにコツコツと積み上げていく力です。経済学でいう「時間割引率」という考え方に通じており、目の前の快楽よりも将来の利益を重視できる性質を「蟻型」、逆にすぐの利益を優先する性質を「キリギリス型」と説明しています。蟻型の人は、たとえば年金積立や定期的な貯蓄、長期的な健康管理といった将来に備えた行動が得意です。彼らは、努力の結果が少しずつ積み上がり、将来に大きなリターンを得ることに意義を見出します。

一方、キリギリス型の人は目の前の利益を大切にし、「今」を楽しむことを重視します。これは一見衝動的に見えるかもしれませんが、例えば短期間で成果を出す必要があるプロジェクトや、迅速な意思決定が求められる場面で有利に働くことがあります。このように堅実性は、どちらが優れているというわけではなく、状況や場面に応じて自分の特性を活かすことがポイントです。

6. 経験への開放性

経験への開放性は、特に創造的な仕事に関係する要素であり、芸術や新しいアイデアに柔軟に向き合える能力を指します。高い開放性を持つ人は、新しい体験や多様な視点を楽しみ、変化を恐れません。たとえば、芸術家やデザイナー、発明家などの分野で、独自の発想を発揮する力が求められます。このタイプの人は、自由で柔軟な環境でこそ真価を発揮します。

逆に、開放性が低い人は、安定した手順や確実な結果を求める仕事に向いています。例えば、会計士や事務職のように、正確さが求められる仕事や、定型的な業務で安定感を発揮します。このような人は、予測可能な環境を好み、細かな管理や計画に強みがあります。開放性の高低に優劣はなく、むしろその性格に合った環境を選ぶことで大きな成果が得られると著者は述べています。

7. 知能と外見の影響

著者は知能と外見についても、「ビッグエイト」の一部として重視しています。知能が高いことは、知識社会においては非常に有利に働く要素であり、高度な問題解決力や創造力に結びつきます。しかし、知能が全てではなく、他の特性があることで多様な仕事に適応できるとしています。たとえば、知能に自信がない場合でも協調性が高ければ、チームで補完し合いながら成果を出すことが可能です。著者は、「知能も性格の一部であり、組み合わせ次第でその人らしさが輝く」と述べています。

また、外見も人生に大きな影響を及ぼす要素として取り上げられています。外見が良いと、社会的な評価や初対面の印象で有利に働く場面が多くありますが、これもまた持って生まれた要素であり、変えるのは難しい部分です。著者は、外見の良さにこだわらず、自分の持つ他のパーソナリティで価値を高めることが大切だと提言しています。

まとめと感想

本書を通じて、自分の性格特性を無理に変えようとするのではなく、受け入れ、その特性を活かせる環境を見つけることの大切さを実感しました。著者の提案する「ビッグエイト」は、自分がどのような性格かを客観的に理解し、それに合った職業や生活環境を選ぶための指針となります。たとえば、内向的であっても静かな環境で集中できる仕事を見つけることで、無理なく自分らしく働くことができるといった視点は、多くの読者にとって参考になるでしょう。

読者の口コミでも「自己理解が深まり、他人と比べる必要がないことがわかった」「自分の特性に合わせたキャリア選択のヒントが得られた」など高評価が多く寄せられています。リンク先のレビューもぜひ参考にしていただき、この本が気になった方はぜひ手に取ってみてください。あなたらしい人生を歩むためのヒントが見つかるかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?