『マインドセット「やればできる! 」の研究』キャロル・S・ドゥエック

概要

「マインドセット「やればできる! 」の研究」は、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエックさんが書かれた、思考の持ち方が人生にどう影響するかを徹底的に研究した書籍です。ドゥエックさんは「マインドセット」、つまり考え方の違いが人の成長や成功に大きな影響を与えることに注目し、20年以上の研究を重ねてきました。本書では、マインドセットが固定された「固定マインドセット」と、努力を重ねて成長できると考える「しなやかマインドセット」という2つの考え方があり、特にしなやかマインドセットが成功にどのように結びつくかを明らかにしています。この本は、仕事、学業、スポーツなどで自分を成長させたいと願う人に向けて、前向きな考え方と自己変革の方法を伝授してくれます。

本のジャンル

自己啓発、心理学、メンタル・マインドフルネス、キャリア、人生論

要約

1. マインドセットの二つの種類: 固定マインドセットとしなやかマインドセット

著者のドゥエックさんは、長年の研究から、人は大きく2つのマインドセットを持つと述べています。

• 固定マインドセット: 「才能がすべてであり、努力では変えられない」と考える人々が持つマインドセットです。この考え方を持つ人は、失敗を恐れ、挑戦を避け、結果的に成長の機会を失ってしまいます。
• しなやかマインドセット: 「努力をすれば成長できる」と信じる人々のマインドセットです。自分の能力は努力によって伸びると考え、失敗を学びとし、成功のために果敢に挑戦する傾向があります。

例えば、学生時代に「数学が苦手」と考えた固定マインドセットの生徒は努力を避けがちですが、「努力すればできる」と信じるしなやかマインドセットの生徒は挑戦し続け、成果を上げていきます。この思考の違いが、結果にどれほど大きく影響を与えるかが、著者の研究から示されています。

2. 努力と成長を信じる力

ドゥエックさんは、「しなやかマインドセット」を持つ人は、固定マインドセットの人と比べて、より困難を乗り越え、大きな成功を収めやすいと強調しています。なぜなら、しなやかマインドセットの人は、成長を「学びの機会」として捉え、自分を育てようとする意欲が高いからです。例えば、バスケットボールの世界的スター、マイケル・ジョーダンは、若い頃にチームに選ばれなかった経験がありますが、その後も努力を重ね、やがて世界のトップに立ちました。彼のように、しなやかマインドセットを持つ人々は、自分の限界を決めず、ひたむきに挑戦し続けることで、自身の能力を引き出していくのです。

3. 固定マインドセットの落とし穴

固定マインドセットの人は、自分の能力は生まれつきで決まっており、変えられないと思っています。そのため、挑戦を恐れ、失敗した際に自分の価値が下がると感じる傾向があります。例えば、数学が得意でない人が「自分は頭が良くないから」と決めつけることで、努力を避け、新しいことを学ぶ機会を失ってしまうのです。彼らは失敗を恥と考え、挑戦することに怯えますが、これが成長の足かせとなり、結果的に自己実現のチャンスを逃すことになります。

4. 努力で成長できることを知る重要性

ドゥエックさんは、しなやかマインドセットを身につける第一歩として、「努力すれば成長できる」という科学的根拠を理解することが重要だと説きます。人間の脳は筋肉と同様に、使えば使うほど強くなります。新しい知識や経験が増えると、脳の神経回路が新しい結びつきを形成し、成長が促されるのです。このことを知るだけでも、自分が変わる力を持っていると信じられるようになります。実際に著者は、学校や職場でこの考え方を取り入れることで、生徒や社員の成績や生産性が向上することを示しています。

5. 他人の成功に隠れた「努力」を知る

成功者を見ると、「あの人は才能があったから」と思いがちですが、実はその陰には膨大な努力が隠れていることが多いです。プロスポーツ選手、成功した起業家、有名な芸術家なども、才能だけでなく、自分の限界を超える努力を続けてきた結果、大きな成果を上げています。たとえば、プロ野球選手のイチローさんは、「努力した結果、天才と呼ばれるようになった」と語り、その陰で人知れず努力を積み重ねてきたことを示しています。こうした成功の背後にある努力を理解することで、「自分も同じように努力すれば変われる」と信じられるようになるのです。

6. 結果よりも成長に目を向ける

しなやかマインドセットの人は、結果よりも「成長」に価値を置いています。これは、最終的な成功のために成長し続けることの重要性を理解しているからです。たとえば、受験で合格を逃しても、そこに至る過程で得た学びや成長を重視することで、次のチャレンジに向かう意欲を失わないのです。この成長志向を持つ人は、結果がどうであれ、自分が一歩でも成長できたことを喜び、続けることができます。

プロゲーマーの梅原大吾さんは、「勝利よりも成長に重きを置く」と話しており、ゲームという一見短期的な勝敗が重要に思われる世界でも、この成長重視の姿勢が大きな力を発揮します。彼は、日々の練習を積み重ね、勝利という最終目標にたどり着くための土台を築くことが大事だと考えています。梅原さんの言葉は、結果に一喜一憂するのではなく、常に学びを求める心が本当の成功につながることを教えてくれます。

7. 固定マインドセットをしなやかマインドセットに変える方法

ドゥエックさんは、固定マインドセットをしなやかマインドセットに変える方法として、以下の3つのステップを提案しています。

• ステップ1: 努力で成長できることを知る
　脳が成長する仕組みを理解することで、「やればできる」という考えが身につきます。
• ステップ2: 成果の裏には「努力」があると考える
　成功者の背後にある努力を理解することで、才能ではなく努力によって結果が生まれることを信じられるようになります。
• ステップ3: 結果よりも「成長」に価値を置く
　目標を達成できなくても、成長がある限り次のチャンスに向かうことができると考えることで、長期的な成功につながります。

これらの方法を通じて、固定マインドセットの人でも「努力で変わる」しなやかマインドセットに転換できると、ドゥエックさんは強調しています。

まとめと感想

「マインドセット「やればできる! 」の研究」は、自分の限界を決めつけずに成長し続けることの重要性を深く理解させてくれる本です。この本を通して、努力を信じ、しなやかマインドセットを持つことで、日々の挑戦を恐れず進んでいけるような気持ちになります。ドゥエックさんの研究は、私たちに「やればできる」という希望を与え、挑戦し続ける力を育んでくれます。また、ネット上でもこの本に対する評価は非常に高く、読者からは「自分を成長させる手助けになった」「新しい挑戦に前向きに取り組めるようになった」といった声が多く寄せられています。

ぜひリンク先の口コミもご覧いただき、前向きな挑戦を始めるきっかけとしてみてください。

マインドセット「やればできる! 」の研究