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『お金の減らし方』森 博嗣

概要

『新版 お金の減らし方』は、「お金を増やすこと」ばかりにフォーカスされがちな現代の価値観に対して、新たな視点からお金の「減らし方」を考え直す一冊です。著者の森博嗣さんは、単に資産を増やす方法を説くのではなく、「お金を減らすことがいかに人生の幸福や充実に結びつくか」というユニークなアプローチで、読者にお金との向き合い方を問いかけています。特にコロナ後の価値観の変化を踏まえ、ただ貯めるだけではなく、自分にとって価値のある使い方を通じて豊かな生き方を提案しています。

本のジャンル

自己啓発、ライフスタイル、投資・マネー、ポジティブシンキング

要約

お金の増やし方と減らし方の本質的な違い

多くの人は「お金を増やす方法」について考える一方で、お金を「どう減らすか」について真剣に向き合うことは少ないものです。お金を増やす方法には投資や節約などの「正解」が存在し、再現性の高い方法として広く支持されています。しかし、著者の森博嗣さんは、お金の減らし方には万人に当てはまる正解がないため、減らし方こそがその人の価値観や幸福感を大きく反映する重要なテーマであると述べています。

例えば、「ずっと行きたかった旅行にすべての貯金を費やした人」と「何もせずに貯金を増やし続けた人」を比較したときに、どちらが幸福であるかはその人の価値観次第です。お金は増えるだけが正しいわけではなく、適切な減らし方によってこそ、本当の価値が見出されると著者は主張します。

間違ったお金の減らし方ワースト5

森博嗣さんは、正しいお金の減らし方に進むために、まず避けるべき「間違ったお金の減らし方」を5つ挙げています。

1. 他人が欲しがっているものを買う

他人の価値観に影響されてお金を使うことは、結果として「本当は自分に必要ない物」を手に入れる行為です。例えば、ブランド物や流行のガジェットなどは、誰かの欲望や流行に振り回されて購入することが多く、その後には後悔がついて回ることも少なくありません。お金の使い方において重要なのは、自分自身が心から欲しい物に投資することであり、他人軸ではなく「自分軸」で決めることが大切です。

2. お金があるから使う

意外かもしれませんが、「お金に余裕があるから」という理由で目的なくお金を使うことも、幸福度を損ねる浪費の一種です。たとえば、給料日後に気が緩んで、普段は買わない物を手に入れてしまうことはありませんか?このような行動は、お金の価値を意識せず、結果として無駄遣いの原因になりやすいです。森博嗣さんは、出費には必ず「なぜこれを買うのか」という理由を持つべきだと強調しています。

3. 一点豪華主義

一点豪華主義とは、特定の物や体験に集中してお金をかける行動です。特に日本人の中には、他を節約してまで高級品や旅行にすべてを注ぎ込む「一点豪華主義」が美徳とされています。しかし著者は、それが「欲しい物への投資」ではなく「快感を得るための消費」に変わってしまう可能性があると指摘しています。このような支出の仕方では、自己満足は得られても、長期的には後悔が残るケースが多いと述べています。

4. 必要だから買う

「必要だから」との理由でお金を使うことも、一見正当なように思えますが、実際には多くの無駄を含む可能性があるといいます。たとえば健康サプリや高価な美容製品など、必要だと感じていても、本当に自分にとって価値があるかを冷静に見極めることが大切です。森博嗣さんは、自分にとって本当に必要な物と、周囲の期待やイメージによる「必要だとされる物」を区別する力を磨くべきだと提案しています。

5. 目先の利益のために買う

日常の小さな出費においても、目先の利益や快楽だけにとらわれてお金を使うことは、結果として大きな無駄を生みます。例えば、ストレス発散のために買い物をしたり、一時的な快楽のために物を手に入れる行為は、その瞬間は満足感を得られても、長期的には後悔や浪費の原因となります。

豊かになるお金の減らし方3選

お金を使うことで幸福を増やす「正しいお金の減らし方」として、森博嗣さんは3つの方法を提案しています。

1. 時間のために金を使う

「お金は取り戻せても、時間は戻らない」という考えから、森博嗣さんはお金を使って時間を得ることの重要性を説きます。たとえば、セールのために遠方のスーパーにわざわざ足を運んで時間を費やすよりも、近場で少し割高な商品を購入して時間を節約することは賢い選択です。このように、迷ったり、余計なことに時間を費やすことは時間の浪費であり、効率よく時間を管理することが豊かな生活に繋がるといいます。

2. 体験にお金を使う

森博嗣さんは、物を所有するよりも体験にお金を使うことが、人生の満足度を上げる最も有意義な支出であると述べています。たとえば、旅行や趣味、家族や友人との大切な時間に使うお金は、単なる消費ではなく、価値ある「体験の投資」として、心に長く残るものです。体験は自分の成長や記憶として蓄積されるため、物以上の価値があると説かれています。

3. 本当に欲しい物にお金を使う

「必要だから買う」のではなく、「心から欲しいから買う」という基準での支出こそが、幸福度を高めるお金の使い方であると著者は提唱しています。世間の価値観に惑わされず、100%自分の気持ちで決めた物にお金を使うことが、自分にとって意味のある買い物になります。森博嗣さんは、消費において他人に左右されない「自分軸」を持つことが、豊かな生活を送るための最も大切な条件であると語っています。

自分を知ることが本当の豊かさに繋がる

本書の最も重要なメッセージの一つは、「自分を知ること」が幸福や満足度に繋がるということです。著者は、お金の使い道が明確であれば、無駄遣いや浪費を自然と避けることができると述べています。自分の価値観や本当に求めているものが分かることで、お金を使うべき場面とそうでない場面の判断ができるようになり無駄を最小限に抑えつつ、豊かな生活が実現できるのです。

まとめと感想

『新版 お金の減らし方』は、従来の「お金を増やすこと」一辺倒の考え方に新たな角度から切り込む内容で、現代におけるお金の真の価値を再定義する作品です。森博嗣さんは、自分の価値観を大切にし、他人の基準に惑わされない「自分軸」での消費を通して、本当に豊かな生き方ができることを教えてくれます。ネットでも口コミ評価が高く、多くの人に支持されている一冊です。リンク先から詳細をご覧いただくことで、ぜひ日常生活の中での豊かさに触れてみてください。

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