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8月に読んだ本 『たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉』

好きな言葉がたくさんあります。
自分を奮い立たせる言葉も多いですが、その中でも好きな言葉の一つはこれです。

現実にある目の前の一つひとつのことを、格闘して傷だらけになってねじ伏せる。それがおびただしい数に積み重なっていくことで、「夢」と言葉にしたものは実現していく (株式会社幻冬舎 代表取締役社長 見城徹 )

NewsPics 記事より

今回紹介させていただく8月に読んだ本。
見城徹氏の『たった一人の熱狂 仕事と人生に効く51の言葉』にしました。


お前みたいな奴を見ると反吐が出る 


この本の言葉を浴びていると見城氏にそう言われているような錯覚に陥ります。
それほどまでに圧倒的なものを突き付けられるのです。
幻冬舎を立ち上げ、20作以上のミリオンセラーを生み出してきた実績はさることながら、出版人としても仕事人としても、気の遠くなるような努力を積み重ねてきたんだろうなと。
そして、自分は単なる夢想家なのでは?としか思えなくなります。

見城氏からすると、私は夢を掲げて頑張っている「つもり」の甘ちゃんでしょう。とはいえ私はあきらめが悪いので、ここで立ち止まるつもりもありませんが。
たった一人の熱狂が、たしかに本を通して熱を帯びたエネルギーとなり、読者である私に伝わってくる。大好きな1冊です。

死の虚しさを紛らわせるために

私自身、仕事に向き合う上での究極的かつ理想的な状態は「狂気」です。
向き合うというより没入しているというか、仕事という対象と自分の魂が同一化している状態ともいえます。
もはや自分などどうなってもいい。そこに自分などない。生と死の狭間で、ただただ死の匂いをすぐそこに感じていたい。この感覚を一度でも多く味わいたいという欲求には中毒性があります。

「なぜそこまで仕事に熱狂できるのか」とよく聞かれる。  
僕の場合は、死の虚しさを紛らわせるために他ならない。  
人は誰もが全員、死を背負って生きている。生から死への道は一方通行だ。

『たった一人の熱狂』 より

見城氏に共感しますというのもおこがましいですが、この言葉の世界観はとても共感してしまうのです。

結果が出ない努力に意味はない

努力論などを論じれる分際ではないのですが、求める結果があるとして、無為に過ごしていてはそれを得られることもない。自明の理です。

個人的に見城氏の代名詞といえば「圧倒的努力」というイメージが強いのですが、本書のハイライトは「結果が出ない努力に意味はない」の一節にある数々の熱を帯びた言葉にあると思います。

努力することに意味があるなどと言うのは単なる人生論であって、仕事に関して言えば「成功」という結果が出ない努力に意味はない。

『たった一人の熱狂』より

毎日辛くて、毎日憂鬱な仕事をやり切った時、結果は厳然とあらわれる。

『たった一人の熱狂』より

経営(ビジネス)の厳しさを理解している見城氏だからこそ容赦はありません。耳をふさぎたくなるような言葉もあるかもしれませんが、イチ仕事人としても出版人としても真理であることを認めなければなりません。

実際には起業家の世界は死屍累々だ。10万人のうち、9万9999人は討ち死にしている。敗者は目に見えず、歴史には残らないのだ。(中略)
圧倒的努力と破産してもいいという覚悟がなければ起業などすべきではない。

『たった一人の熱狂』より

成功と失敗の分かれ目を測る基準は数字だ。数字を曖昧にする人間はビジネスの成否をごまかしている。(中略)
極論を言えば、起業家に理念なんて必要ない。(中略)
数字という結果を叩き出す。その覚悟と圧倒的努力がない者が、安易に理念や目標など口にすべきではない。

『たった一人の熱狂』より

出版というビジネスについても同様です。

僕は若い頃から「これは売れなかったがいい本だ」という言い訳は一切やめようと決めてきた。

『たった一人の熱狂』より

結果とは何か。賞というのも一つの結果ではあるが、一番判りやすい結果は利益をいくら上げたかであり、それを曖昧にしては駄目だ。

『たった一人の熱狂』より

良い本とは?という議論には絶対的な正解がありませんが、利益なくして経営することはできない。鈍器で頭をガツンと殴られるようにハッとさせられます。

繊細さや憂鬱さと表裏一体であれ

見城氏は尋常でない情熱とプロ意識と胆力を持ち合わせた人物ですが、稀代の出版人たらしめている所以はそれだけではないことが本書の言葉を通して窺い知れます。

僕は常に小さなことに後ろ髪を引かれ、小石につまずき、小さなことにクヨクヨする人間でありたいと思っている。  

有名になろうが一時的に成功しようが、他者への想像力を働かせて小さな約束も必ず守る。片隅の人を大切にする。小さな企画に一生懸命取り組む。地味で目立たない仕事であってもきちっとやり遂げる。
 
これらは心がけ一つですぐにできることであって、血の滲むような圧倒的努力など必要ない。小さなことを大切にするだけで、人生は大きく変わっていくはずだ。  

神は細部に宿るのだ。

『たった一人の熱狂』より

僕にとって、1日の終わりは毎日が後悔だ。何もかも自分の思い通りになった日など、これまで1日としてない。
そんな辛い毎日を送りながら、押し寄せてくる後悔をエネルギーに変えて明日を生きたい。生き切りたい。
(中略)
今日の自分の言動はどうだったか、経営者としての判断はどうだったか省察する。自分が発した言葉によって誰かを傷付けていないか、やり残したことはないか、その日起きた出来事を振り返って思いを巡らせる。

『たった一人の熱狂』より

神は細部に宿る。まさにだと思います。
サイバーエージェントの藤田晋社長との共著で『憂鬱でなければ仕事じゃない』というベストセラーも有名ですが、豪快さやストイックさの裏には、隅々まで想像力を働かせ、泥臭いことを積み重ねられるしつこさときめ細やかさがあり、それこそが見城氏たらしめているのでしょうね。


記事を書きながらも、沸々と血が熱くなるのを感じます。
最後に、本書のラストに綴られている文章を記しレビューを終えます。
お読みいただきありがとうございした!

行く先は地獄かも知れない。それでもいい。君も僕と一緒に血染めの旗を空高く掲げてみないか。