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卵は一日何個まで食べていい?

 私は食事が不規則になりがちな現役時代、食事を抜いてしまったときや空腹時、二日酔いで食欲がないときなどに、栄養補給の意味でしばしば生卵を飲んでいた。
 殻の、とがったほうの先をテーブルなどにコツコツとぶつけ、適当に殻を取り除く。そしてそのまま口へ持っていき、チューチューというかズルズルというか、飲んでしまうのだ。
 これを仕事仲間の女性に話したら「ヘビみたい」と笑われた。私は「ヘビは丸呑みじゃないか。俺は殻は飲まない」と答えたが、こういう飲み方をするのは私だけなのだろうか。

 卵かけごはんのように生で食べることもあるが、生食での心配のひとつにサルモネラ菌感染がある。菌が混じったフンに卵(の殻)が接した場合などにその恐れが生じるが、日本の養鶏は法律でも厳しく管理されているなど、ほとんど心配はないそうだ。
 仮に菌が殻に付着しても、殻の内側にはクチクラ層という保護膜があって中身を守っているという。

 重箱の隅をつつくのが好きな私は、殻を割るとき、殻の一部が中身に接触することはないか、そして万が一、菌が殻に付着していたとしたら、殻を割ったとき中身に菌が付くのではないかと心配したりする。当然あり得るが、すぐに調理すれば危険はなさそうだ。
 それどころか、私は殻に直接口をつけて何百回もチューチューしたし、自宅ではよく卵焼きを作っているが一度も食中毒を起こしたことがない。

 ちなみに、サルモネラ菌は熱に弱く、加熱調理(中心温度が75℃で1分間以上)することで中毒を防げるそうだ。
 それに、そもそもサルモネラ菌に対してはこの20年ほどで衛生面が格段に向上していて、一部の国では事実上根絶状態というくらい安全だという。したがって、私が重箱の隅をつついたのは徒労に終わったことになる。

 鳥類でも魚類でも、卵にはたくさんの栄養素が含まれている。卵はいずれ個体として成長するのだから当然と言えば当然だ。
 鶏卵にも蛋白質などがバランスよく含まれているから、私はなるべく毎日食べようとしている。しかし、実際には買い置きをきらしていたり、ほかのおかずですませたりするから、せいぜい週に二個か三個ではないかと思う。あまりにも計画とかけ離れていて自分であきれている。

 だいぶ前に、某お笑いタレントが毎日三個(だったと思う)食べていると聞いたことがあるが、食べすぎると悪玉コレステロールが増えると思っていた私は驚いた。
 ところがついこの間、大リーグで大活躍の大谷選手は一日に十個以上食べていると聞いて仰天した。もっとも、彼の場合は体格も大きいし運動量も桁違いだから、一般的な人とは単純に比較できないが。

 コレステロールについては誤解が多く、実際に健康上問題になるのは脂肪の多い肉や飽和脂肪酸を多く含む食品(クリーム、バター、チーズなど)を摂ることであり、鶏卵自体には特別な問題はないのだという。
 それどころか、卵黄には卵のコレステロールの吸収を抑える物質が含まれているという。

 現在、国際的な栄養摂取量ガイドラインのほぼすべてが、食べていい個数の制限を撤廃しているという。
 ということで、遺伝的に血中コレステロール値が高い人などは別として、常識の範囲で一日の個数は考えなくてもよさそうだ。
 これで安心。さあ、健康のためにもたくさん食べましょう。





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