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短歌一首 ~ 光明皇后を詠む

ご署名の「藤三娘とうさんじょう」に
藤原の誇りと
愛嬌あふる光明子こうみょうし
 

 正倉院の宝物の中に、光明皇后が、中国の王羲之筆とされる楷書の法帖を書き写した『楽毅論』が残されています。正倉院の書跡中の白眉とされ、その力強く朗々たる筆跡で有名ですが、皇后のお人柄に触れようとするとき、末尾に記されている「藤三娘」というご署名に注目したく思います。藤原氏の三女という意味、あるいは母・三千代の名を入れたともいわれますが、ご自身のニックネームとして使っておられたのか、とても愛嬌あふれる表現です。また同時に、自分は藤原氏の娘であるという確かな誇りが滲み出ているように感じられてなりません。
 

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