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うるとら凡人の短歌集

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『万葉集』が大好きなので、思い立って自分でも短歌づくりを始めてみました。ベタな歌ばかりで恐縮ですが、お暇なときにでも読んでいただいたら嬉しく思います。
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#私の作品紹介

私の短歌五〇首(1)

朝明けは清々しくて夕暮れは他人の声も優しくなりぬ 君のそのたどたどしさにひたむきで真摯な気持ちを感じています 一枚の写真の中の微笑みに共に過ごした時間が止まる 朝のバスいつも乗ってた女子高生久々見れば素敵な大人に 大好きで話したいこと多いのに言葉が出ない伝えきれない 水たまりにボチャンと入る子の姿懐かしくあり眩しくもあり 登校の列の歩みが速すぎてずっと小走りの小さな子たち 叱ったらなぜか好かれたことがある上目遣いの父のない娘に 名刺見せキラキラネームとからかわ

私の短歌五〇首(2)

目の前で伸びをしながら欠伸する子猫の口に指入れてみる ぜいたくに育つ子猫は煮干し食い頭と骨をそのまま残す トイレから戻った猫がゴロゴロと喉鳴らしつつ布団にもぐる 若者が語らい笑う誰もみな誰かの過去で誰かの未来 不器用で話下手でも正直なあなたがいるとほっとするから あの時にすればよかったあの時にしなきゃよかったいろいろのこと 世の中に星の数ほど人がいて今宵あなたと会話している 何気ない会話のなかと何気ない仕草のなかに君の本当 故郷を思う胡馬の北風に依る如く越鳥の

私の短歌五〇首(3)

スーパーで老いた夫婦がカート押す遅い歩みも背のあたたかい ヒョウ柄のバンドに換えた腕時計少しだけれど妻若返る 特別に意味はないけど何となく昔住んでた社宅を見に行く 文鳥が肩から下りて邪魔をするキーボードの上に糞もする 道ばたの鳩が何気に距離をとるこちらも横目で睨んで通る 道ばたに雀の子あり拾って帰るも手当叶わず庭に墓あり 文鳥に逆剥けむしられ跳ねのけるまた降りてきて逆剥けねらう 大閤の町割り楽し道修町なにわの「とめ」の祭りも終わる 万葉の面影見ゆる鞆の浦波おだ

短歌三首 ~ 雨を詠む

突然に 降られ駆け入る雨宿り ほのかに過ぎるやさしい時間 傘開き わずかにできる空間は 時雨隔てて仄かに優し 晴れ間なく 物忌む雨夜の品定め 男同士の会話も楽し  

短歌五首

二人行く遠い道のり だんだんと妻に遅れる 心も折れる 「お茶でもいれましょ」と言ったのに 「お茶がはいりました」の 言葉やさしい スーパーで 老いた夫婦がカート押す 遅い歩みも背のあたたかい ヒョウ柄の バンドに換えた腕時計 少しだけれど妻若返る 特別に意味はないけど 何となく 昔住んでた社宅を見に行く

短歌四首 ~ 鳥

文鳥が 肩から下りて邪魔をする キーボードの上に糞もする 道ばたの 鳩が何気に距離をとる こちらも横目で睨んで通る 道ばたに雀の子あり 拾って帰るも手当叶わず 庭に墓あり 文鳥に 逆剥けむしられ跳ねのける また降りてきて逆剥けねらう

短歌三首 ~ 万葉への思い

万葉の 面影見ゆる鞆の浦 波おだやかに海人の釣り船 上代の 男女が詠んだ恋の歌 今の我らと何も変わらず 白居易に先んじ歌う雪月花 日本のこころ 家持の歌  

短歌一首 ~ 母

年老いて 幾つになっても母は母 如何に報いん三春の暉  

短歌三首

悲しくて 聴く音楽は優しくて 嬉しい時はより楽しくて ちっぽけな 善といえどもそれぞれが 自分に課された義務だと思う 植物に 何が大事と尋ねれば 花ではなくて種であるらし