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『まだ明日がある』鑑賞レビュー
昨年イタリアで『バービー』『オッペンハイマー』を抜いて大ヒットしたという話題作『まだ明日がある』。第二次大戦後すぐのローマの庶民の生活を描いた作品ということで、「あまり乗り気じゃないけど、一応見とくか…」とテンション低めで観に行きました。
主人公ダリアはDV夫の虐待に耐え、寝たきりの義父の介護をしながら、娘一人息子二人を育てている主婦。文字にするとかなり悲惨な状況なんですが、これをめちゃくちゃユ
『セクシー田中さん』は映像化が難しい漫画なのか?~脚本術から見る検証②
前回の記事では『セクシー田中さん』のプロット、キャラクターを分析して、非常に映像化しやすい構成の作品であることを説明しました。今回は脚本のセオリーと合わせて、作品の内容について踏み込んでいきたいと思います(※一部内容のネタバレを含みますので、ここから先を読み進めるかどうかは各自でご判断下さい)。
ストーリーのコンセプト
歌や芝居、漫画、映画、どんな創作物も、作品の裏側には必ずアイデアやコンセプ
『セクシー田中さん』は映像化が難しい漫画なのか?~脚本術から見る検証①
始めに
先月テレビドラマ化の条件、契約を巡って制作側と漫画原作者の方との間でトラブルが発生していたニュースが報じられました。両者の話は食い違ったまま解決に至らず、数日後に原作者の方の死という前代未聞の最悪の結果となりました。この事件をきっかけにこれまで看過されてきた、メディアミックスのあり方の問題点が一気に表面化してきました。
尊い命が失われた後で遅きに失した感は否めませんが、二度とこのような痛
多様性のある社会の問題点
私が「多様性のある社会の実現が困難だ」と発言すると、必ず「何で!皆、同じ人間でしょ!差別するんですか」と瞬間湯沸かし器のように即座に反発してくる人が一定数出てくるのですが、私が言っている意味はそういう浅いレベルの話ではありません(何回目?)。多様性のある社会とは説明するまでもなく、社会に国籍、宗教、などが様々なバックグラウンドを持つ人間の集まっている状態を指します。
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