ペンシルママの本棚~FACTFULNESS~

ペンシルママが2回読んで、これは素晴らしいと思い、何度も読みたいと思った本をご紹介します。「ハンス・ロスリング」というスウェーデンの医師で公衆衛生学者が書かれた本です。筆者はTEDの常連スピーカーでもあったそうです。

この本では世界を正しく理解するために10の思い込みを乗り越え、データに基づいて世界を見る習慣を身につけることを目指しているそうです。

この本では最初にいくつかクイズを出されますが、その正解率は大半の人が33%以下になってしまうそうです。それは間違った知識を身につけているからだと思い、筆者は知識をアップデートすべく世界を飛び回りましたが、やがて筆者は知識のアップデートだけが問題ではないことに気づきました。「ドラマティックすぎる世界の見方」が原因だと気づくのです。

"世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は絶えず増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう"

筆者は先進国でしみついているこのような考え方を「ドラマティックすぎる世界の見方」と読んでいます。この考えは精神衛生上よくないし、そもそも正しくないと。

世界はずっと想像よりも良くなっているようです。それはデータを見ると一目瞭然のことのようですが、私たちは「ドラマティックすぎる世界の見方」ゆえに、今の世界を正しく理解できずにいるといいます。

この本を読むと、先進国が先進国になしえたスピード以上に発展途上国と呼ばれる国々は発展を遂げ、彼らの生活は私たちが思う以上の生活になっていること。ニュースに上がっている事故も事件も過去よりずっと減ってきていること、世界は自分が思うほど悪くはなっていないと、少し気持ちが和らぐような本です。地下鉄の広告にある難民や食料不足で飢えに苦しむ人たちの数字が、こんなにいるというのは確かにその通りですが、ここまで減ってきたと知るだけで世界の見方は良い方に変わるものです。データの重要性と客観的な判断および分析による問題解決への取り組みがだ大切だと分かる一方で、世界に対して極度に悲観的になる必要はないし、希望が持てるそんな本だと思います。

一方筆者はこれから起こりうる5つのリスクについて言及されていて、この問題に取り組むには客観的で独立したデータをもとに一歩ずつ歩みを進めていかなくてはならないと、最後を締めくくっています。そのリスクのひとつに「感染症の世界的な流行」を挙げられています。コロナが流行する少し前に出版された本なので、そのすぐ後にコロナが広まったことを考えると筆者の洞察力、先見の明に感銘を受けるばかりです。

データを読む力はきっとますます必要になっていくのでしょう。それは研究のような仕事をしている人ばかりではなく、あらゆる仕事、もっといえば年金暮らしのお年寄りだって専業主婦だって、今まさに学んでいる子どもたちもです。たくさんの恐怖や不安をあおるニュースやインターネットに騙されずに世界を見る力を一人一人が身につけることが出来れば、これから起こりうる5つのリスクにも立ち向かっていけると信じ、自分もそのデータと向き合う一人になりたいと思うのでした。

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