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『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』感想
《映画の内容》
公開 2020年
配給 パルコ
監督 ルーク・ホランド
大まかな内容はポスターや公式HPの導入で全て網羅されている。
幼少期にナチスドイツの行いに加担(あるいは黙認)していた人々が周りで起こったことを当時どのような思いで受け止め、現在はその出来事と当時の自分についてどう考えているか証言を集めた映画。ナチ政権の樹立から終戦まで簡単な解説を添えつつ、時系列順に起きたことに対する質問を行って最後にナチ政権と当時の自分に対する総括を求める流れとなっている。
《映画の特徴》
親衛隊や軍といった党や国に直接的に関わる人から、収容所の周辺に住んでいた人まであらゆる立場の方々にインタビューを行っている。居住地域や性別も男女を問わず、年齢も当時の年齢として6歳頃から15歳頃まで幅のある年代の証言を載せている。
インタビューに対する細かい解説や検証などがなく、映画内のほとんどがインタビューとなっているのも本作の特徴。
《感想》
ナチスドイツについて幼少期を過ごした人々の声をそのままに近い形で聞けたのは間違いなく良い機会とだった。
解説や検証が少ない点については、インタビューを受ける人々に対して色眼鏡を通さずに見て自分と照らし合わせやすくしていた。その一方で映画に対して期待していた「ナチスドイツの細かい歴史の学習」としては不十分かつ証言の信ぴょう性に多少の不安を覚える内容だった。良くも悪くも「ナチスのみではなく全人類に向けられた問題提起」と感じた。
映画内のインタビューではナチスドイツの下端に対して目を背ける人や正当化する人がいる一方、罪や責任を理解する人やなんとか向き合おうとする人もいる。自己判断が難しい幼少期の話なので彼らは騙された側でもあり、自分でもそのような立場に置かれたら似たような行動を取ってしまうと思うので前者の人間の言動も理解できる。しかし、だからこそ後者のように罪や責任に向き合うことが大事であり、このインタビューからどのように罪と責任と向き合って語り継ぐべきなのか学ぶ材料になると思った。
解説に関しても細かいものはないが、時系列に沿って大まかな流れや重要な出来事についての説明はされているので基本的な部分の知識を得る事ができた。この映画で得た基礎知識を基に、子供とナチスの関わりについて本格的な本や記事を読んで理解を深めるという形が良いかもしれない。映画公式アカウントでも複数の本が紹介されているのでそれを参考にすると良いかもしれない(補足にてリンク添付)。
内容と作風共に強いインパクトはないが、「『過去』に起きたこと」と「『現在』当事者がどのように考えているか」という2つの事実をしっかりと見せてくれる良作。
トップ画像:映画公式HP 2022/8/16 22:35
《映画の内容》公開・配給・監督情報:映画.com 2022/8/16 23:00
《補足 映画公式アカウントによる読書案内》
①「第三帝国 ある独裁の歴史」 ウルリヒ・ヘルベルト著 小野寺拓也訳
②「ナチス映画論 -ヒトラー・キッチュ・現代」 渋谷哲也・夏目深雪 編
③「ヒトラーを支持したドイツ国民」 ロバート・ジェラテリー著 根岸隆夫訳
④「増補 普通の人びと -ホロコーストと第101警察予備大隊」 クリストファー・R・ブラウニング著 谷喬夫訳
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