凡々

映画を中心にポツポツ投稿していきたいです。

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最近の記事

『スオミの話をしよう』から考えた三谷幸喜作品の魅力

*トップ画像の引用は公式HPから  正直に言うとかなりちぐはぐな印象を受けた。  前作から5年ぶりの新作で俳優陣は心機一転を感じさせる少し珍しい顔ぶれ、公式HPなどでも”三谷幸喜の最高傑作”と強気のキャッチコピーを掲げて関連記事を見ても自信を伺える作品だった。前作の『記憶にございません!』は私が初めて見た三谷幸喜関連作品かつ、十分楽しめたので個人的にも期待していた。それだけに本作は肩透かしを食らった。  これまで私が視聴した三谷幸喜関連作品を整理すると以下の通りになる。

    • 映画感想文『トゥ・クール・トゥ・キル~殺せない殺し屋~』、アレンジ元『ザ・マジックアワー』との比較

       中国で2022年の中国映画興行収入ランキングで3位となる大ヒットを記録した『トゥ・クール・トゥ・キル~殺せない殺し屋~ (以下 : トゥ・クール・トゥ・キル)』を見てきた。本作のリメイク元である三谷幸喜作品『ザ・マジックアワー』についても予め視聴した上で、両者の違いを脚本・演技・演出の3点で比較する。 ◆映画情報《ザ・マジックアワー》 《トゥ・クール・トゥ・キル 殺せない殺し屋》 ・映画公式HP ◆感想《全体的な感想》  『ザ・マジックアワー』はハートフルコメディ

      • 映画感想文『聖地には蜘蛛が巣を張る』

         今年日本で公開された『聖地には蜘蛛が巣を張る』、個人的には前評判通り見応えがある映画だったため2回鑑賞。  今回は1回目見た際の全体的な印象、2回見た上で画面内の表現を意識した感想の2つに分けて書いていく。 ■映画情報◆基本情報 ◆ストーリー ◆ポイント  実際に起きた殺人事件を元に作成したイラン社会を反映させた作品。 ■感想◆全体的な感想 ・ストーリー  ストーリーは社会派サスペンスと娯楽的スリラー・クライム映画の両面の要素を持っていて良かった。事件の被害者

        • 【岐阜】名画座と成人映画館へ行ってきた話

           今年のGWは旅行で岐阜に立ち寄りましたが、普段行かないタイプの映画館が2つあったので行ってきました。その感想やそれを通して考えたことを書いていきます。 ◆映画館情報・ロイヤル劇場(名画座)  ロイヤル劇場は柳ケ瀬商店街にある映画館、1本600円で昭和時代の映画を見ることが可能です。  劇場があるビルの入り口は写真①のように手書き看板があります。  更にビル内やロビーには昔の映写機やポスター、岐阜の映画史など見応えがある展示もあります。  3枚目の写真(左表)によると

        • 『スオミの話をしよう』から考えた三谷幸喜作品の魅力

        • 映画感想文『トゥ・クール・トゥ・キル~殺せない殺し屋~』、アレンジ元『ザ・マジックアワー』との比較

        • 映画感想文『聖地には蜘蛛が巣を張る』

        • 【岐阜】名画座と成人映画館へ行ってきた話

          『生きる(1952)』感想と『生きる-LIVING(2022)』を見るポイントを考える

          ※トップ画像はAmazon Videoから ◆個人的な前置き 今年3/31から日本国内で黒澤明監督の『生きる』を基にしたオリヴァー・ハーマナス監督の『生きる-LIVING』が公開される。  『生きる-LIVING』についてはアカデミー賞やゴールデングローブ賞といった場で高い評価を受けているため興味を持った。原作の『生きる』については黒澤映画はまだ時代劇ものしか見ていないため、これを機に見てみようと考えた。  今回『生きる(1952)』を視聴したので印象に残った点、それを

          『生きる(1952)』感想と『生きる-LIVING(2022)』を見るポイントを考える

          『あのこと』感想

          トップ画像は公式HPから ■映画情報・基本情報 ・ストーリー ・映画のポイント ■映画の感想 ”映画情報”の”映画のポイント”を基に公式HPでも強調されていた3つの要素に対する感想を整理する。 1.脚本 ・”中絶できない女性以外”にも共感を得られる工夫  監督は以下のように語っている。  私は映画内の時代も知らない男性だが、作品内の世界観に引き込まれた。それは学生寮の規則や家庭・地域の格差、男女という性別以前に”無責任な人間”など中絶禁止という法律以外にもあら

          『あのこと』感想

          『スペンサー ダイアナの決意』感想

          トップ画像は公式HPから ■映画情報・基本情報 ・ストーリー ■高く評価できる点◆演技  ダイアナを演じるクリステン・スチュワートは本年度アカデミー賞受賞作にノミネートされており、公式HPや映画館で配布されているポスターでも強調されている。  映画内では喜怒哀楽の全てを表現する必要があったが、いずれも自然でその評価も納得の演技をしていた。"怒"や"哀"が目立つ映画ではあるが、だからこそ時折息子たちや仲の良いマギーに見せる"喜"や"楽"が良いアクセントになっていた。

          『スペンサー ダイアナの決意』感想

          『グランド・ブダペスト・ホテル』と『フレンチ・ディスパッチ』を比較した感想

          上の画像はサーチライト・ピクチャーズYoutubeチャンネルの予告編から ・個人的な背景 今年日本でも公開された『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(以下 フレンチ・ディスパッチ)』が非常に好みだったため、同じくウェス・アンダーソン(以下 ウェス)作品の『グランド・ブダペスト・ホテル』を視聴した。『フレンチ・ディスパッチ』同様に好みの映画で今後もウェス作品を見ていきたいと思ったので、その際の参考となるようにこの2作を比較して作風を整理する。

          『グランド・ブダペスト・ホテル』と『フレンチ・ディスパッチ』を比較した感想

          『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』感想

          《映画の内容》 公開 2020年 配給 パルコ 監督 ルーク・ホランド  大まかな内容はポスターや公式HPの導入で全て網羅されている。  幼少期にナチスドイツの行いに加担(あるいは黙認)していた人々が周りで起こったことを当時どのような思いで受け止め、現在はその出来事と当時の自分についてどう考えているか証言を集めた映画。ナチ政権の樹立から終戦まで簡単な解説を添えつつ、時系列順に起きたことに対する質問を行って最後にナチ政権と当時の自分に対する総括を求める流れとなっている。

          『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』感想

          B級・Z級映画感想詰め合わせ

           PCフォルダの中にあったジャンルや出来栄えはごちゃ混ぜのB級・Z級映画の感想です。保険を掛けますが酒飲みながら見てそのままの勢いで書いたものが大半です。 ・『ムービー43』2013年 ピーター・ファレリー 他 オムニバス形式のコメディで演技と映像の質は高いが全体通して評価できる点はそのくらいしかない。  コメディとして笑える部分もあるが、大半を占める下品または不快な部分で打ち消している。初めに少しだけ期待させる内容の話が続いただけに後半の酷さが際立つ。  面白い話も今

          B級・Z級映画感想詰め合わせ

          『第50回全国高校野球選手権大会 青春』感想

          《映画の内容》 公開 1968年 配給 日活 監督 市川崑 キャスト 1968年全国の高校野球球児、および関係諸氏  第50回全国高校野球選手権大会を通じて日本人がどのように夏の甲子園に関わって熱中しているのかを描いたドキュメンタリー作品。 《映画の特徴》 第50回大会だけではなくそこにたどり着くまでの練習や予選、それまで行われてきた大会の歴史についても触れられている。また、選手や監督だけではなく他の一般生徒や市民の姿も多数映されており、「野球部の大会」ではなく「日本人の

          『第50回全国高校野球選手権大会 青春』感想

          『マイスモールランド』感想

          《映画の内容》 公開 2022年 配給 バンダイナムコアーツ 監督 川和田恵真 制作国 日本 主な俳優 嵐莉菜、奥平大兼、アラシ・カーフィザデー、      リリ・カーフィザデー、リオン・カーフィザデー  日本の難民管理を中心に様々な社会問題を落とし込んだ一方で、同時に生きづらい世界を懸命に生き抜く高校生の視点で描いた青春ストーリー。 正式招待:第72回ベルリン国際映画祭 ジェネレーション部門 ※タイトル上の画像と《映画の内容》は公式HPから引用 2022.7.4.月 2

          『マイスモールランド』感想

          『メジャーリーグをぶっ飛ばせ!』感想

          《映画情報》公開 1992年 時間 108分 配給 東北新社 監督 トミー・リー・ウォーレス  これらの情報はVHSのパッケージに基づくものであり、IMDdのものとは異なる。補足するとこの映画はテレビ映画であり、アメリカでも映画館での上映はされていない。 《あらすじ》 マリナーズのベテラン選手兼任監督スパーキーは思わぬ形でケガをしてチームを追い出された上に破産して全てを失う。そんな彼のもとに訪ねてきたのはロシア・スポーツ省の関係者、彼らはソ連崩壊直後のロシアの野球代

          『メジャーリーグをぶっ飛ばせ!』感想

          『東京の孤独』感想

          ※見出しの画像はこちらから 《映画の内容》公開 1959年 時間 107分 配給 日活 監督 井上梅次 内容 新人王と愛する人を掛けた2人の新人を軸に漢の勝負の世界を描いた野球映画 ・東京の孤独 映画 | 日活 (nikkatsu.com) ・Amazon.co.jp: 東京の孤独を観る | Prime Video  主役級を演じた小林旭、芦川いづみ、宍戸錠らを中心に日活を代表する豪華キャスト。野球関連ではプロ野球球団の読売と大毎が協賛して後楽園球場での撮影、劇中にも野

          『東京の孤独』感想

          国立映画アーカイブ 上映企画感想

           タイトルの通り国立映画アーカイブへ2022年3月27日に行ってきたので、上映企画で上映された映画を中心に感想を整理します。タイトルの上にある写真は外から撮影したものです。 国立映画アーカイブとは? 東京都文京区にある日本で唯一の国立映画専門機関でホームページには以下のような説明が書かれています。 引用元 2022.4.1.21:40 国立映画アーカイブ 概要  映画や関連する資料の保存、展示、公開を様々な形で行っていますが今回は7階の展示室で行われている常設展と特別展

          国立映画アーカイブ 上映企画感想

          『夜空に星のあるように』感想

          《映画に関する情報》  本作は後に「麦の穂をゆらす風」と「麦の穂をゆらす風」の2作でカンヌ国際映画祭のパルム・ドール(最高賞)を受賞したケン・ローチ監督のデビュー作。  ロンドンに生まれたジョイを中心に当時のイギリスの労働者階級の様子を描いている。ジョイは一度泥棒で生計を立てている男性のトムと結婚して子供を持つが、肉体的にも精神的にもジョイへ苦痛を与えて関係がうまくいかずトムは泥棒で逮捕される。その後同じく泥棒で生計を立てているがジョイへ親切に接するデイヴと付き合うようにな

          『夜空に星のあるように』感想