TopfuntersetzerとKopfuntersetzer
新しい言葉を覚えるきっかけはさまざまだが、強烈なインパクトを伴うものは記憶に定着しやすい。
ドリカムというバンド名は「ドリーム・ズカム・トゥルー」だと思い込んでいた私が、中学生になって英語の授業が始まり、正しくは「ドリームズ・カム・トゥルー」であると知ったときの衝撃は忘れられない。また、大学生になるまで付箋というものを見たことがなく、塾講師のアルバイト先で付箋を求めた主任に対し「付箋って何でしょうか?」と聞き返したときの恥ずかしさも、心にべっとりとこびりついている。
そんなエピソードは、新しい外国語の単語習得においてもいくつかある。そのひとつが、Topfuntersetzer。「Topfuntersetzer」(Topf = 鍋, Untersetzer = 敷物)とはドイツ語で「鍋敷き」のことだ。その単語を知らなかった私に対し、ホストファーザーがウィットに富んだ方法で教えてくれた。
「(鍋敷きを手に取り)これはTopfuntersetzer。(クッションを手に取り)これはKopfuntersetzer」
Kopfuntersetzerという単語は存在しない。クッションはKissenというが、Kopfuntersetzerは彼の造語で、Kopf(= 頭)とUntersetzer(= 敷物)を組み合わせたもので、いわば「頭の下に敷くもの」である。
Kopfuntersetzerのジョークが気に入ったらしいホストファーザーが繰り返すものだから、TopfuntersetzerだけでなくKopfuntersetzerもしっかり脳に焼き付けられた。
写真は、南ドイツの散歩道にある古城跡。
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