空はムラのある薄墨の雲が厚く覆い、 止む気配の無い雨が外の垣根に当たり、 心地よい喧騒を生み出していた。 少し寒さの感じる外の様子とは対照的に、 スタンドライトで暖められた机に向かいコーヒーを片手に部品が錆びたかのようなぎこちなさで慎重にページを捲る。 ぎこちのない手はページをめくるペースを落とすことなく結末へと急ぐ。 そして到底拾い切ることのできなかった文字の羅列は意味をなせぬまま脳の中で散らかっていった。 2週間前、飼い犬が死んだ。 5歳だった。犬にしてはかなり短命
一人旅をするときに夜行バスを使うことはあるだろうか。他の交通手段に比べ安価であることが多いため座り心地や周りの音などが気になることは多い。 しかし、プロの運転に身を委ね、意識を暗闇の底に沈めて仕舞えばあっという間に目的地へと到着する。 目的地に足をついたとき、周りの空気の凛とした澄み具合や、肌寒さで移動した距離の長さを感じることは多い。 私の孤独感は夜行バスで産まれた。 夜行バスは外から光が入らぬ様カーテンが閉められている。睡眠の為には必要なことであるが、起きている状
人は皆、大小様々な悩みを抱えています。 その中でも答えのない、答えの分からない問い。 例えるなら女心のような、風がどのように吹いているのか分からないような問いに悩まされることもあります。 そういった悩みを抱えている人は心にRADを育てることをお勧めします。 女々しく歪んだ感情の歌詞も多く、今までどこか気持ちの悪さを感じさせるフレーズの多かったRADの歌詞、しかしくよくよ悩んでいる時は、以外にも今までありえないと思っていた様な、RADのような言葉が頭に浮かぶのです。
訳あって最近頭を水に浸す回数が増えました。 怪我をしたので大学のプールでほぼ毎日昼夜2回ずつほど泳いでいるからです。 そのため、都度シャンプーしたら頭皮の脂がなくなりすぎてよく無いんじゃ無いかと考え至り、ほんの2週間ほど前から湯シャンを始めました。 最初は特に違和感を感じていなかったのですが、徐々に特有の男臭さが気になるように。 現役大学生で流石に若者な訳ですから皮脂の分泌量も多い訳です。尚且つ部活してるから基礎代謝も人より多いはず。 ネットには次第に脂の量が調節?さ
吉田浩は50代の独身サラリーマン。 企業の中間管理職として働いていた。 彼は同僚や上司からの信頼も厚く、職場では真面目で堅実な人間として評価されていた。 そんな浩の本当の楽しみは仕事が終わってからだった。 彼の唯一の趣味はテレビゲームで、毎日仕事を終えて家に帰ると、一日の疲れを癒すためにゲームの世界に没頭していた。 現実のストレスから解放される瞬間を求め、浩は毎晩遅くまでゲームを楽しんでいた。 しかし、ある日、浩の平穏な日常は突然終わりを迎える。 いつものように
ぼくは実家から学校に通う大学生。 そして、ぼくは部活をしている。 運動部だから身体は大切にしていて、体温調節は重要視しているんだ。 今朝はひんやりとしていたから、長袖長ズボン。 帰りは陽が空気をじんわりと暖めていたから半袖短パン。 こんな几帳面そうな僕でも、たまにやってしまうんだ。忘れ物。 大抵の忘れ物って家に忘れるよね。 でも今回は違う。 家の鍵を部室に忘れたんだ。 朝履いていた長ズボンに家の鍵を入れて、そのまま部室に置いてきてしまった。 ぼくはもう、何に怒
世間知らずの僕は簿記三級を舐めていた。 試験を目的地とし、根拠のない自信を追い風に不合格の航路を突き進んでしまった。 簿記三級の僕のイメージとして資格取るならとりあえず簿記でしょ。みたいな軽いテンションで語られるためただの尻軽な資格であるとそういう印象を持っていた。実態は合格率30-40%とかいう決して誰でも受かるという資格ではなく僕のような頭の悪い童貞は門前払いを食うギャップのある資格だったのだ。 そんなギャップに惚れてしまった僕はなんとなく簿記三級取得を目指した。あわよ