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【FF7 REBIRTHクリアレビュー】クリアしたくない神ゲー

「クリアしたくない…」、ゲームをプレイしていて心の底からこう思ったのは、いつぶりだろうか。このゲームを発売日に買ってクリアまで1ヶ月、子供に戻ったかのように毎日ワクワクしながらプレイしていた。気づけばプレイ時間は140時間、心地良い喪失感を覚えながら先日クリアを迎えた。
今回はこの FINALFANTSY7 REBIRTH というゲームの魅力を一人でも多くの人に伝えるためにクリアレビューを書いていく。ネタバレなし で書いていくので安心して見ていただきたい。
プレイ状況はメインストーリーをクリア、やり込み要素も7~8割ほどプレイ、クリア後の裏ボスまで撃破といったところだ。


・体験として差別化された新時代オープンワールド

今作のオープンワールドは異色だと思う。例えるとしたらスーパーマリオだ。マリオの楽しさの1つとして、常に新鮮な刺激を得ることが挙げられると思う。具体的に言うと、ファイアボールで敵を倒すのを楽しんでいたら次のエリアではプロペラで空を飛べるようになる、かと思ったら次のエリアではヨッシーに乗って敵を食べられるようになる、といったように新しい能力が定期的に解放されることで、プレイヤーに同じことを繰り返させない。
これと同じことをFF7リバースはオープンワールドでやってのけたのだ。それもチョコボというFF独自のものと融合させてだ。

崖を登れる山チョコボ

今作には、山を登るのに長けた山チョコボ、空を滑空することに長けた空チョコボのように、様々な能力をもったチョコボが存在する。新たなマップが開放されると新たな能力をもったチョコボが開放され、そのチョコボの能力に合わせて各マップが明確に差別化されている。

森を移動するのに長けた森チョコボ

例えば、このエリアは横に広いマップ、このエリアは崖を登って探索していくような縦に長いマップ、このエリアは空を飛んで行けそうなところを見つけていくマップ、といった具合だ。このように、全く違う遊びが用意された7つのマップがロード無しに繋がることで、最終的には広大で且つ体験として飽きにくい唯一無二のオープンワールドを実現している。それだけでなく、各エリアは、草原、荒野、砂漠、ジャングル…のように様々なロケーションがあり、視覚的にも飽きさせないようにできている。

空を滑空できる空チョコボ

今作のマップは、ゼルダの伝説のようなどこへでも行けてしまうマップよりかは自由度は劣る。クリエイターによって敷かれたレールを進んでいくのだが、そのレールの横幅がものすごく広い、といったイメージだ。一見、昨今の自由度の高いオープンワールドが好まれる傾向とは逆行しているように見えるのだが、オープンワールドが抱えるマンネリ化(広くて自由度が高くても、どこへ行っても基本的にやる事が同じで飽きてくる)の問題を見事に解消している。自由度を少し犠牲にするだけで、ここまで最後まで飽きずに常に新鮮な体験を味わえるのなら、私は今作のようなオープンワールドを好む。FFとしての魅力を追求するに留まらずに、オープンワールドの価値を再定義した今作は素直に凄いと感心させられた。

マップは超広大!冒険は大海原まで広がる

・依存し合ってるゲームシステム

今作のゲームシステムは、様々な要素が連続的に解放されることで止め時を失わせるようにできている。今作のシステムを図で表してみた。非常にごちゃごちゃした図になってしまったが、それだけ今作のシステムが豊富ということにしておいてほしい。

図の出来事が新エリアが解放されるたびに起こると考えてほしい。上記のように、全ての要素が単体で完結しないようにできている。探索をすればするほどキャラクターを強化でき、それを試したいがために戦闘の意欲がわく。それに応えてくれるように高難易度のボスやチャレンジが解放される。
常に開発者の「プレイヤーはおそらくここでこういう衝動に駆られるな」という見事な導線をなぞるようにプレイヤーが自然と楽しめるようにできている。前項で述べたことにも繋がるが、オープンワールドとしての自由度をあえて少し犠牲にしたことによって、刺激に満ちた体験を味わうことができる。私がここまで今作を楽しめた理由にこれであると考えている。

・豊富なやりこみ要素(カードゲーム最高)

今作ほどボリューミーなゲームも中々ない。自分のプレイを振り返ってみても6~7割は寄り道していた。その寄り道も多彩で、

・マップ開拓(エリア開放、調査、強敵討伐、宝探し、ダンジョン)
・ミニゲーム(レース、シューティングゲーム、射的、カードゲーム、格ゲー、障害物競走、ピアノ、サッカー…)、
・戦闘(闘技場、タイムアタック、召喚獣バトル…)
・サブクエ

ミニゲームは全て合わせると30程度はあるのではないか

もうキリがない。この大量のコンテンツに溺れながらゲームを遊んでいるだけで楽しかった。一部のやりこみ要素は退屈であったり難しすぎたりしたが、基本的には80~100点くらいのクオリティーのコンテンツが多かったように思う。一本のゲームに何本分のゲームが入っているのかと驚かされた。

特に一際気合が入っていたのは「クイーンズブラッド」というカードゲームだ。

このカードゲームにどれだけの時間を費やしたのか

FF7の世界内で流行っているカードゲームという設定で、デュエマのようなノリで住人とカードで対戦できる。これがまさかのストーリー付きで楽しい。陣取りゲームとトレーディングカードゲームのような要素を掛け合わせたルールで、自分の陣地をどう広げて相手をどう弱体化させるのか、そして自分のカードをどの順番でどう強化していくかを考えていく。そして相手を倒すと相手のカードを手に入れることができる。カードの種類も膨大で、特殊効果や戦況をリセットできるものなど多種多様だ。
カードを手に入れる→デッキを再構築→新しい敵を狩りにいく→カードを手に入れる
このシンプルなサイクルにはまってしまうと抜け出せなくなる。単体のカードゲームとして商品化してくれたら絶対に買うレベルで完成度が高かった。

クリア後は数々の高難易度バトルに挑戦

クリア後も裏ボス撃破、最強武具作成、ハード難易度追加などやり込みが盛りだくさんだ。

・魅力たっぷりのキャラクター

仲間キャラ敵キャラ含め皆が魅力的だった。

それぞれが辛い過去を抱えている

仲間キャラだと
・カッコつけてるけど程よくダサいクラウド
・お笑いキャラとしてパーティーを楽しませつつもビシっと皆を引っ張っていくバレット
・ひたすらに可愛いナナキとケット・シー
・幼馴染としてクラウドを静かに見守り、恋人として寄り添うティファ
・クラウドに対してあざとくアタックしつつも悲しい過去を背負うエアリス
・おふざけが過ぎるときもあるが仲間思いのユフィ

明るいキャラから中二病キャラまで

敵キャラだと
・先輩に必死についていこうと努力するイリーナ
・淡々と仕事をこなしつつもときに優しさを見せるツォン
・後輩や社長に振り回されながら相棒のヴァケーションが終わるのを待つルード
・敵でありながらカリスマ性を持った新羅の新社長のルーファウス
・クラウドのストーカーであるセフィロス

もう全キャラ愛せるようにできている。暗い過去や因縁を持っているキャラが多く、だからこそのキャラに厚みができる。またサブクエやカードゲームなどで関わるちょっとしたキャラも特徴的で面白かった。FFはキャラゲーだからオワコンという声をたまに聞くが、「キャラゲーで何が悪い!」と声を大にして言いたい。キャラが魅力的だからこそ、キャラに感情移入でき、その分感動が大きくなるのだ。

敵キャラ、ちょいキャラ共に皆個性が凄い

そして今作には、このキャラの魅力をふんだんに利用した好感度システムがある。旅の道中での会話や行動の選択肢によって、各仲間キャラとの好感度が変動し、最終的には好感度の高い仲間とデートができる。デートの演出も多種多様で、好感度がMAXだと演出が変わるなど作り込みに妥協が無い。皆に優しい態度を取って誰とデートになるか分からずドキドキするのも良し、お気に入りのキャラにだけ優しくして他の仲間には冷たい態度をとる一点集中作戦も良し、とプレイヤーの選択肢に委ねられている点も評価したい。

・やり応えのある奥深い戦闘

戦略性と爽快感を味わえる戦闘だった。今作の戦闘は複雑で難しいため、今作の戦闘システムを図で表してみた ↓

上記の図から分かる通り、今作の戦闘は忙しい。常に相手の行動、仲間のゲージの溜まり組合・HPなどに気を配りながら、どの技をどのタイミングで使うか考え、適切な操作キャラで相手の弱点をついていく。それに加えてアクションゲームのように相手の攻撃を見極めて回避や防御をする。とても難しいように見えるが、必勝法がある。それは操作キャラを仲間キャラに切り替えることだ。操作キャラを次々と切り替え技を放っていくと仲間のゲージが溜まりやすくなり、次々と強力な技を出せるようになっていく。ここが素晴らしい点だ。

仲間と連携していくド派手な戦闘

今作のような仲間を操作できるゲームで頻繁に発生する「結局は操作キャラが固定になる」問題を解消しているのだ。全キャラを満遍なく使うと戦闘が有利になる、そしてそれが何より仲間との共闘感を熱く演出し、見ていて派手で爽快感のある戦闘を作り出している。仲間キャラにも各々の固有アクションがあり、それぞれ別ベクトルの強さを持っている点も上手くバランス調整したなと感心させられた。エフェクトや技の演出も派手で爽快感も兼ね備えていた
個人的には今まで遊んだどのゲームの戦闘よりも好みだった。

迫力たっぷり

・バラエティー豊かなBGM

もう素晴らしすぎてサントラを買ってしまった。そのくらい良かった。原作をアレンジしたBGMは、元の音楽のイメージを崩さずに上手い具合にアレンジが効いていた。今作から追加された新曲は、ジャズ、ポップ、ボカロ、オーケストラ…ととにかくジャンルが豊富だった。今作は様々な風土のエリアを探索することもあって、曲の雰囲気(アフリカ風、イスラム風、ウエスタン風、エスニック風、トロピカル風…)も多彩で、次のエリアではどんな曲を聞けるかとワクワクさせてくれた。FF音楽に新しい風を吹かせてくれた素晴らしい楽曲だった。
そして今作の曲を語るうえで何よりも欠かせないのが「No promises to keep」というメインテーマだ。

No promises to keep最高

植松伸夫さん(FF音楽の生みの親)が作曲し、ローレン・オルレッドさん(グレイテスト・ショーマンで有名)が歌う、という予想もしなかった組み合わせで神曲が生まれた。曲としてはFF8、9当たりのメインテーマのような王道で壮大なバラードで、エンディングの感動を何倍も引き立たせてくれる曲だった。ラスボスを倒してこの曲を聞いたときは自然と涙が出た。

・作り込まれた街の数々

今作の街の気合の入れようは半端ではない。広大なマップ内に、文化・環境・歴史・経済状況など全く違う特徴を持った街がたくさんある。そしてそれらの街の特徴を視覚的に表現(各街ごとに 全く違う建物、住民の服装、ロケーション を用意する)するだけでなく、体験としても盛り込んでくるのが今作の素晴らしい点だ。

夕陽が綺麗なコスモキャニオン

例えば街を歩いていると、子供たちに紙芝居でその街の歴史を伝えている人がいる。その話を聞くと、その街が新羅(今作に登場する巨大悪徳企業)によって如何にひどい目に合ってきたか分かる。だが話を聞いているうちに「みんなで新羅を絶対倒すと唱えましょう!」と明るい雰囲気で子供たちを洗脳教育しだすのだ。それを聞いていた私は怖いと思ってしまったが、これがリアルなのだ。このリアルさを体験として各街に盛り込んだことで、ただテキストで伝えるのとは比べ物にならない程のインパクトがが生まれ、その世界が本当に存在かのような説得力が生まれている。他にも人々がデモをしていたり、ニュースを見ながらお酒を飲んで世間話してるおじちゃんがいたり、家族旅行で街を訪れ迷っている人がいたり、各NPCの会話を聞いているだけで時間が溶けていく。NPCの近くを通っただけで話が自動で再生されるのも素晴らしい。

住人が生きている

街での遊びは会話を聞くだけでなく、ミニゲーム、観光、買い物など多岐にわたる。全く特色の異なる数々の街で生活感や文化を感じながら探索する感覚は海外旅行に少し似ていた。

バカンス気分を味わえるコスタデルソル

・気になった点

正直今作で気になった所は無いに等しい。だが購入前の注意喚起の意味も含めて個人的な不満点を2点だけ紹介する。

1点目は理不尽に難しい敵がいることだ。たまに調整不足な敵がいるように感じた。明らかに動きが速すぎて今作の戦闘システムとマッチしていなかったり、1体と戦うように設計されたボスを2体配置して雑に難易度を上げる箇所があった(操作キャラや装備を吟味して作戦を立てれば何とか勝てる難易度には調整されていたので感じ方はそれぞれだと思うが)。とはいえ、理不尽に強い敵はクリア後のやり込み要素に固まっていて、メインストーリー上には出てこないため気にするほどの問題ではない。

2点目はゲームとしての敷居の高さだ。今作はFF7リメイクプロジェクトの第二作品目であるため、前作の「FF7リメイク」の話を知らないと分からない場面が多く存在する。さらに欲を言うと、スピンオフ作品の「クライシスコアFF7」の話と、オリジナル版のFF7の話も知っておく更に楽しめるという仕様だ。この通り、ただでさえストーリーの敷居が高いのにも関わらず販売プラットフォームがPS5だけ、と追い打ちをかけるように敷居を高くしてしまっている。これほど新規の顧客が手を出しづらい環境を自ら作り出してしまっているのは残念で仕方がない。しかし、PS5専用タイトルにしたことでバグも少なく安定した動作でプレイでき、分作にしたからこそできる壮大なストーリーを描くことにも成功してるので、一概に悪いとは言えないのが正直なところだ。

・ストーリー感想(ネタバレなし)

ネット上の評価を見ると今作のストーリーは賛否両論だと思う。私自身は8:2くらいでポジティブな感想を持っている。
ラストに向かうまでの道中の話に関しては最高だった。仲間の辛い過去を掘り下げる感動的な話から皆でワイワイする明るい話まであり、多くの人が楽しめるストーリーだった。対して最終盤の展開は話が難解になり、細かく演出やキャラの発言に注目しておかないと置いてきぼり感を喰らう展開になっていた。クリア後にあれこれ考えて考察するのが好きな人にとっては最高の体験が待っていると思うが、シンプルな展開が好きでスッキリとした気持ちでエンディングを迎えたい人にとっては満足できない内容になっている可能性がある。
私自身は好みのエンディングだったし、次回作が楽しみで仕方が無くなる状態にさせられたので、今作のストーリーは総合的に見て最高だったと評価したい。久しぶりにエンディングで涙が出た。

ストーリーは原作で言うと、忘らるる都まで

・総合的な感想:遊園地のような贅沢な体験

「これほど贅沢なゲームは滅多にない」これに尽きる。マップ、戦闘、ストーリー… どの部分をとっても全てのクオリティが高い。全く妥協がなく感服させられた。
こうして振り返ってみると今作は遊園地のような体験だった。とにかく様々なアトラクションが次々と解放される。ジェットコースターのような急展開もあれば、観覧車に乗るようなゆったりと楽しむ体験もある。そして常に新しい要素が解放されワクワクさせてくれる。

本当に遊園地で遊ぶパートも存在する

もうすぐゲームが終わってしまうと分かった時、ゲームを終わらせたくないがために残っているミニゲームやクエストを消化する旅に出た自分は、遊園地で閉演時間に帰りたくないと駄々をこねる子供のようになっていた。こんな贅沢なゲームに大人になって出会えてよかった、FFを好きで良かった、そんな気持ちにさせてくれた開発陣の方々には心の底から感謝したい。

・まとめ:FFの新境地、やっぱりRPGって最高

ここ数年のFFシリーズ(第一作目のFF7リメイク含む)は、FFとして見れば面白いが単体のゲームとして見れば微妙であったり、あるいはその逆でFFとして見ると駄作、といった作品が多いと感じていた。だが今作は見事にその殻を打ち破った。
FFとして見ると 美形なグラフィック・感動するストーリー・魅力的なキャラ・最高のBGM といったFFに求められるものは申し分なくカバーされている。単体のゲームとして見ると 戦略性と爽快感のあるバトル・広大で探索し甲斐のあるマップ・豊富な育成要素 といったゲームとして欲しい要素が網羅されている。FFとしてのアイデンティティを保ちつつ、FFに頼らなくても成り立つ面白さを確立した今作は、間違いなくFFシリーズとJRPGの新たな可能性を提示した偉大な作品だ。

この功績に続いて、FF17(作られるか分からないが)でも今作レベルのクオリティを発揮できた時こそFFシリーズの大復活だと思う。昨今のスクウェア・エニックスの作品には芳しくない評価が付きまとい、社名だけで毛嫌いしている人もたくさんいると思う。だが今作にはぜひ触れてみてほしいと強くお勧めしたい。
そしてやっぱり私はRPGが大好きだ。長い時間を仲間と共にする中で楽しいことや辛いことがたくさん起こり、思い出ができていく。そんな大切な仲間たちとラスボスを倒し、エンディングを迎えたときの 切ないけど達成感に満ちた気持ちはRPGでしか味わえない。FF7リバースは私にそんな気持ちを思い出させてくれた大切なゲームになった。次回作が今から楽しみでしょうがない。

最後まで見てくださりありがとうございました。今作について語りたいことや本記事についての感想などありましたら、励みになるのでコメントやいいねで反応していただけると幸いです。

また、「FF7Rebirthの50時間レビュー」や「FF16のクリアレビュー」も書いてますので、良かったら見ていただけると嬉しいです。

最後はFF7Rebirthのきれいな景色でお別れしましょう。ありがとうございました。


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