現代組織は”円卓”の集まり。リーダーは各円卓を周る課題解決の”給仕”
社長が、20名超の社員に向けて、言っていた。お願いごとがある、と。
「1.もっと自分ごととして前向きに仕事をして欲しい」。
「2.積極的に挑戦してやって欲しい」。
「3.1件でも売上を増やすんだと意欲的にやって欲しい」。
「4.そして、この会社をより良くするのは自分だと、何事も自発的にやって欲しい」。
以上終り、だった。。。
このように、意識・マインドについてこうして欲しい(=こうやれ)と言われ、「はい、やります!」と言えて、そして実際に行動できて、結果が出るならば、素晴らしい、です。
でも、現実はそうではない、かな。。。
「前向きに」「積極的に」「自発的に」「能動的に」「意欲的に」「自律的に」「自立的に」「自走的に」という副詞。
そして、これらの言葉と、「仕事する」「挑戦する」「売上を増やす」「会社をより良くする」の動詞。
これらの副詞と動詞の掛け算は、どんな組み合わせだって成り立つ。どんな会社でも成り立つ。差別性のない、深みのない言葉。良い言葉ではもちろんあるけれど。
換言すれば、「モチベーションを自分であげてくれ」。裏のメッセージは「もっと結果を出してくれ」。でも、モチベーションも結果も社長が”あげる”こと、ではないから、自分で宜しくね、って。
でも、社員の心は動かない。だって、こんな表面的で、どこにでもあるような普通のメッセージが心に響くはずもない。
それに、そもそも自分ではそういうつもりでやっているし、これ以上のモチベーションアップの仕方が自分ではわからないし、あるいは、モチベーションが低くなっているのはわかるのだけど、どうも心が動かなくて、どうしたらそうなれるかわからない、のだから。
大の大人がこんなこと言ったら、甘えてる? 負け犬? 自分で考えて動け。給料もらっているのだから?
いや、ボクが思うに社長がダメなんだ。そもそも、そういう会社にしてしまっているのだから。リーダーシップは常にフォロワーシップより先、だ。
ボク的には、とっても大切な5.と6.が抜けている、のです。
「5.でも、そう言われても簡単にそうなる訳はないよね。自分が作った会社でもないし、会社の方針や業務はある意味、押し付けられているのだし、自分で全てをコントロールなんてできないのだから。
私は、ただ、皆がしている仕事の価値を、すばらしい価値を、会社のビジョンと絡めて伝えたい、のです。”あぁ、そういう意味でこの仕事を捉えると素敵に聞こえますね”、と思ってもらえると思うのです。」
「6.あとは仕事をすると一体どんな点で自分が成長できるのかを、皆の個々の人生ビジョン(成長欲)と一致させるべく紐解きたいのです。私に皆様のそれぞれの人生ビジョンを正直に伝えてもらえる前提ですけれど、それに近づく仕事を任せたいし、実は今の仕事でもそれに役立っているかもしれないですよね、気づいていないだけで。
ということで対話の時間をください」。
社会に対して価値ある仕事を社員それぞれがしていると思わせる、信じさせられる。こうなるとモチベーションは高まる。また、個々の社員が持つ自分独自のビジョン(夢、目標など)に近づけている、自分が成長させたい知識や技能や知性や人格が日々の仕事で高まっている、と信じられたら、こちらもモチベーションは高まる、と思うのです。
もちろん、信じられたら、ですけれど。
モチベーションには:
「A. 社会的価値の認識」と
「B. 自分の目指す成長・夢への貢献の認識」が必要かな。
別の言葉では:
「A. 自分の今の活動の大いなる意義」と
「B. 自分の将来への大いなる希望」が必要かな。
そして、成長・夢への近づきを検証する場・テストする場、があるとベターですね。計画なるものには、一定スパンで「終り」の設定が必要です。
なので、会社都合の計画だけではなく、個々の社員本位の計画も必要。これを巧みにミックスするのがリーダーの仕事、ですね。
ということで上記の1-4.だけでは残念ながら、何も変わりません。そう思ったので、このボクの意見をこっそり社長にお伝えしたのでした。「それは難しい難題だなぁ。考えたことはなかったが、でも、わかる気はする。俺も大した社長ではないけど、一歩一歩がんばってみるよ」とのことでした。
社長なんだから、社員と話をしながら、紐解いていけばいいですね。対等です。役割は違うだけです。ピラミッドの頂点に社長が君臨して指示命令するなんて組織ではもう今は勝てませんから。
そういえば、ピラミッド型なんてもはや古過ぎ。人口増のお陰で市場のパイが勝手に増えるというもはや昔に適した組織。今は効果なし。
今は、「組織」なんて構造を無理に2次元の紙に落として表現する必要はないですね。
あえて言えば、円卓かな。丸テーブルでの小さなチーム。Small is Beautifulです。そんな円卓がいくつか。座るメンバーは時によって流動的。たまに違う円卓にちょっかい出しにいって価値あるアドバイス。結婚式の披露宴のごとく、楽しくわいわい。そんな会社が良いかなと、成長するかなと。
ちなみにリーダーは各円卓を周り、困り事がないか、ワインが枯渇していないか、などなど適宜、課題を解決する「給仕」的。サーバント・リーダーシップですかね。
お読み頂きありがとうございます。
(v9_51)