名作探訪 その7 硬派なタイル配置ゲーム 『サムライ』
ボードゲームデザイナーの山田空太です。
このnoteでは、普段ボードゲームの作り方に焦点を当てて書いています。今回は、名作探訪という、皆さまに是非とも遊んでほしいボードゲーム紹介のシリーズです。
前回の名作探訪の記事は、こちらからご覧いただけます⇩
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本日のゲームは、ライナー・クニツィア作の『サムライ』。
初版は1998年のゲームです。20年以上も前になりますね。2005年前後にFantasy Flight Gamesから再版されています。
『サムライ』というタイトル通り、日本の戦国時代が舞台のエリアマジョリティのゲーム。一手一手が重く、ゼロサムのマジョリティ争い。一言で言うと、硬派なゲーム。
全体ボードを使ったタイル配置ゲームであり、発売年が近いという点で、同作者の『チグリス&ユーフラテス』(こちらも名作)と比べられますが、プレイ感はかなり異なります。
柔の『チグリス&ユーフラテス』、そして剛の『サムライ』という印象です。『チグリス&ユーフラテス』は展開は多彩で派手ですが、『サムライ』は1手1手が手堅く、しっかりと枠に収まった優等生なゲームなのです。
サムライ Samurai
Designer: Reiner Knizia
Artist: Franz Vohwinkel
Publisher: Hans im Gluck, Rio Grande Games
(1998)
2-4 人
好み:A
時間:40分程度
2人でも:楽しい!
初版の日本地図は、Hokkaidoと書いてある蝦夷があったり、富士山が東北にあったりとかなり適当。箱絵も似非日本なんですが、最初のバージョンの方が味があって良い感じ。
兜、仏像、田んぼの3種類のトロフィーを集めることが目的です。勝利条件は多少複雑なので割愛しますが、他プレイヤーより多くのトロフィーを獲得することを目指します。
手番では、自分の手札の数字タイルを1枚、ボードの空きヘクスに配置します。隣接するトロフィーと同じ絵柄のタイルしか効果がないのですが、タイルは空きヘクスならどこに置いても良いので、最初は迷ってしまいます。
トロフィーの周囲のヘクスが全て埋まったとき、決算が起こります。タイルの数字合計が最も高いプレイヤーがトロフィーを獲得します。
端にあるトロフィーは、残りが海に囲まれているため、2マスが埋まればそこで決算になります。その一方、江戸は周囲6ヘクスが全て埋まるまで決算は起きません。しかし、江戸では、3つのトロフィーを一気に得られます。
タイルの構成は全プレイヤー同じで、常に5枚を手札にします。
どれだけタイルを効率良くタイルを使うかがポイントです。1つのミスが、最後まで響いてきます。一手一手は非常に悩ましいです。相手が手数をかけて取りにきたところをうまく微差で上回ったり、交換タイルを使ってうまくかわしていきます。ゲーム終盤になるとカウンティングも必要。
「大場より急場」という囲碁の格言がありますが、そういうゲームです。獲得の目処がたつトロフィーを確実に取り、早々に諦めて損切りも大事。常に自分と相手の残りタイルを考えておかないといけません。
ゲームデザインはシャープで隙がありません。ルール量は少なく、例外ルールもなく、収束も良い。船や馬の特殊タイルも効いていて、さすがクニツィアというゲームです。
ゲームデザインを研究すればするほど、クニツィアすげーって唸らされます。
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さて、名作探訪シリーズ、今回はいかがでしたでしょうか?
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