名作探訪 その10 タイムトラック×箱庭ゲーム 『グレンモア』
こんにちは、ボードゲームデザイナーの山田空太です。
今回は、ボードゲーム 名作探訪シリーズ その10をお届けします。
ボードゲーム 名作探訪 : 皆さまに是非とも遊んでほしいボードゲーム紹介のシリーズです。1990〜2015年くらいのファミリーストラテジーのゲームを中心として、100作を目指して書いております。
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本日のゲームは、マティアス・クラマー作の『グレンモア』。
17世紀のスコットランドを舞台にした、土地開拓やウイスキー製造をテーマにした箱庭ボードゲームです。
グレンモア Glen More
Designer: Matthias Cramer
Artist: Loïc Billiau, Harald Lieske
Publisher: alea
(2010)
2-5 players
好み:AA
時間:60分程度
2人でも:面白い
『グレンモア』は様々はメカニクスや要素が、60分にギュッと凝縮されたゲームです。
中心となるメカニクスは、常にタイルの並べられたトラックの最後尾のプレイヤーが手番となるというもの。価値の高いタイルは最前列に並ぶことが多く、それを獲得するとなかなか手番が回ってきません。逆に、他のプレイヤーがずっと先のタイルを取ると、連続で手番を得ることもあります。
このメカニクスは、タイムトラックとも呼ばれ、『テーベの東』や『クラフトワーゲン』などでも使われています。
取得したタイルはすぐに個人の場へと配置します。このゲームは、機能のある箱庭ゲームであり、タイルを配置するとそのタイルとそのタイルに隣接するタイルの効果が発動します。タイルの効果は資源を得たり、黒ミープルを獲得したり、勝利点がもらえたりなど色々。
そして、リソースマネジメントと相場システム。資源には羊毛、木、石、麦、牛、そしてお金、上級資源としてウイスキーがあります。ウイスキー以外の資源は任意行動で自由に売買ができます。ウイスキーを加工するのはちょっと大変ですが、ウイスキーは強いタイルを取るためのコストになります。
*引用元 : Board Game Geek
箱庭ゲームは概してインタラクションが希薄になりがちですが、『グレンモア』ではタイルの取らせ方と勝利点獲得方法(ラウンド毎の勝利点は他人のリソースとの差で決まる)の2通りでインタラクションを作っています。
種々のメカニクスが組み合わされているゲームで、細かな決め事がいくつかあり、例外ルールも多く、手番の行動も若干ややこしいです。しかし、バラけた感じはあまり受けません。
『グレンモア』の美点は、メカニクスの相互関係の設定やバランス調整が上手なところでしょうか。さらに、プレイ時間を45-60分にまとめ上げているところ。特にタイル配置における川と道の存在。そして、タイル発動における黒ミープルの存在が、つなぎ目としてうまく作用しているなと感じました。要素を盛って盛ってから、つないで削った、そんな印象のゲームです。
さて、名作探訪シリーズ、いかがでしたでしょうか?これからも地道に続けていきます。もし面白かったら、是非、noteのフォローをお願いします。
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