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歌詞

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メロディーのついていない、曲になる手前の言葉たち。
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桜流し



 流れゆく季節の中で
 散っていった幾億の花
 
 失われたものは数知れず
 気付いてさえもらえない
 
 永遠は夢の話
 命はいつか終わりを告げる
 無常を唄う世界の中に
 それでも変わらないものがあった
 
 揺るぎない心 譲れない想い
 信じ続ける 大切なもの
 澄んだ瞳に 儚く強く
 宿されたのは
 確かな信念 吹雪く薄紅
 
 惜春の水面に
 舞い降りた花弁 重ねた心は
 どこへ流れ

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蝦夷菊

 

 
    遠く懐かしい声が聞こえた。
 それは水面を揺らす微風よりも柔らかく、
 昼下がりの陽だまりよりも温かく、
 その心地良さに誘(いざな)われ、
 閉ざされた目を静かに開いた。
 
    昔に戻りたいと思ってしまうのは、
 後悔が自分を責め続けるから。
 そして、もう一度逢いたい花笑みがずっと消えないから。
 
    流れゆく時に抗うことは許されず、
 迷える時間は限られていたか

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星の海、月の船

 
    幻のような夜の話 星が哀しいほどに美しかった
 カーテンの内側 あなたが1人 隠れて泣いていた
 閉ざされた窓 叩いてみると 恐る恐る応えてくれた
 
 怯える瞳の奥の奥 消えない確かな想いが灯る
 強く生きられなくてもいい
 あなたはあなたを殺さないで
 
 負ってきた傷 隠してきた傷
 その過去に 触れることはできないけれど
 その過去を 背負うあなたに奏でる音を
 
 伸ばした手

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Drawing



    この綺麗で悲しい世界で
 今日も君が息をした
 
 そのことがとても痛くて切なくて
 美しいと思えていた
 
 探していたのは何だっただろう
 思い出せそうで 思い出せなくて
 
 とても大切だったことは
 心が分かっている
 本当は何でもないようなこと
 でも 怖くて不安で苦しいばかりで
 
    優しい君に優しくない世界を
 塗り替えたいと願いながら
 絵筆を握って どこに 何を

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レグルスの哀鳴

    話せないままだった
 それで誰かが救われるならば
 話さなくていいと思っていた
 
 誰かの正義を守る為
 演じ続けた悪役は
 自分にとっての本当は
 知られなくていいと口を閉ざした
 語られなかった心の内
 もう1つの真実を知りたかった
 
 きっとどんな英雄も
 誰かの物語では仇役
 悪名高い盗っ人も
 誰かにとっての大切な人
 
 恐れられ厭われ受け入れた運命
 完全悪にはなりきれな

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夏の残り香

 
    無邪気に笑いあっていたあの頃にはもう
 戻れるわけがないんだと
 知っているのに探してた
 
 受け入れてしまったふりをして
 綺麗なままの思い出に
 縋ることはやめられなかった
 
 この手で掴めなかったものは
 今もどこかで輝いていて
 憧れのままだから まだ 眩しくて美しい
 守りたいものは確かにあった
 それに支えられていた
 
 
 
 優しい灯り
 夜道を照らす
 まだ歩く

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四季を彩る

    常に前を向いて生きていくことは
 とてもできそうにはないから
 たまに振り返ることを許してほしい
 君が笑っていた 遠く儚いあの日のことを
 
    迷ってばかりだった
 立ち止まりながら見つけた景色に
 大切な想い出が重なって
 
    巡る季節の中で
 重ねてきた掛け替えのない刹那
 祈りの織りなす闇溶かす調べ
 
    風光り芽吹く温もり
 大切偲ぶ風鈴の音
 夕日に輝く黄金色

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奏でる


 遠き日に交わした言葉は
 前を見て進むための
 確かな道標となり
 胸の奥 温かな場所で
 今も鳴り響いていた
 
 強く生きること 教えてくれた
 傷付くことを厭わず 気高く
 その真心を貫き通す君の姿が
 
 残された香り 四季を奏でる
 夢幻(ゆめまぼろし)ではなく
 痛みを伴い 教えてくれるは自分の鼓動
 
 まだ在りのままの姿で生きている
 大切なもの見失わないでいられるのは
 雪月

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Night Aquarium


 
    目を逸らしたくなる現実
 隠したかった醜い心
 溶けてしまいたい優しい暗闇
 真夜中 月明かりも差し込まない世界
 1人 迷い込んだように
 立ち尽くして 息をする
 
    上手くいかない毎日に
 疲れることにも慣れてしまった悲しい心で見た景色
 止まったように時間は流れ 輪郭は曖昧に
 瞳に映し出されるは
 淡き泡沫(ほうまつ) 青い揺らめき
 
    夜を泳ぐ魚たち 見上げ

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花灯り

 

    どこまでも優しい君が
 もうこれ以上傷付かずに済みますように
 願わくば 君が与えてきた以上の優しさで包み込めますように
 無力なままで 烏滸がましくも思う心で
 花灯りの中 浮かんだ輪郭
 強く儚く凛とした横顔を見つめていた
 
    心の中 流れているのは懐かしき
 いつしか奏でた琴の音
 想う度 静寂に広がる
 柔らかに響む 玲瓏たる音色
 
    繰り返し 手渡してくれた

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エフェメラル



    それは淡い光の中で
 今にも溶けて消えてしまいそうな
 透き通った笑顔だった
 
 不確かなようで確かな温もり
 残してくれた 飾らない言葉
 心はいつも 優しい温度で
 透明な唄を歌っていた
 
    光を受け止め仄かに煌めく 雫は静かに木の葉を伝い
 言の葉になりきることのできなかった想いを落とす
 
    知らなければ傷付かずに済んだ本当
 知りたいと望んでしまった
 目を逸

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桜紅葉

 
    流れゆく時 巡る季節に
 二度と訪れぬ今を想う
 数多の哀しみ 見てきた両目は
 綺麗だけでは表しきれない 四季の移ろいも知っている
 
    消えない痛みは抱えたままで 現実 変えられぬままで
 生き方は自分で選び続けてきた その中で出逢ってきたもの
 今 目の前に広がる景色
 秋隣り 粧い始めた山包み込む 夕焼けの空に混ざり合う
 確かに心動いた瞬間
 
    仄かに染まる 幾

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呼吸

    音はついていないままですが、歌詞として綴ってきた文章を少しずつ置いていこうと思います。少し長すぎるものが多いと思いますが、いつかきちんと形にできればいいなと思います。

   

    誰か1人 追いつけなくなり苦しんだとしても
 止まってやくれないこの世界の中で
 今日も静かに息をした
 
 時計の針が0時を指した
 眠るように閉じられた瞳
 夜の帳は下りきっている
 心に灯った火は

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