四季を彩る



    常に前を向いて生きていくことは
 とてもできそうにはないから
 たまに振り返ることを許してほしい
 君が笑っていた 遠く儚いあの日のことを
 
    迷ってばかりだった
 立ち止まりながら見つけた景色に
 大切な想い出が重なって
 
    巡る季節の中で
 重ねてきた掛け替えのない刹那
 祈りの織りなす闇溶かす調べ
 
    風光り芽吹く温もり
 大切偲ぶ風鈴の音
 夕日に輝く黄金色に感謝して
 枯木星見上げ雪解けを待つ
 
    もう隣にはいない その残り香が
 続く日々の中にいる 赦しをくれる
 霞む視界にも映る彩られた景色
 悲しく美しいこの場所で まだ呼吸は続いている



 
    常に優しくあることなんて
 とてもできる自分じゃないから
 時には縋ることを許してほしい
 君がくれた言葉 遠く懐かしい心地良い声
 
    間違えて後悔した
 悲しい時ほど綺麗な景色に
 救われた想い出に支えられ
 
    巡る季節の中で
 重ねてきた尊く儚い刹那
 祈りの刻んだ心満たす彩(いろ)
 
    花の便りに心を寄せて
 短夜照らす宵蛍の夢
 粧う山 映す水面に紅葉は流れ
 手のひらの六花の教えてくれた体温
 
    もう隣にはいない その幻影が
 続く日々の中生きる 理由をくれる
 歪む心でも見れる 彩られた景色
 悲しく美しいこの場所で まだ鼓動は続いている
 
    思うようには生きられない その苦しみが
 続く日々の中重ねられ 辞めたくなるけれど
 傷を負う両足で立つ 彩られた景色
 悲しく美しいこの場所で まだこの想いは繋いでいたい


 
 君がいなくても何度も巡る季節の中で
 失くしたくない大切なものが確かにここに
 




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