なぜ情報発信をして転職活動をするのか?採用担当者としてゼロから転職する人の立場を考える
マネージメント視点で採用を担当している。
日々、スカウトメールを送って面談をする機会を作っている。さまざまなスカウト媒体を使いながら、会社の文化とスキルにマッチした人に出会っている。
ふと、採用担当側の立場で物事を考えすぎていて、転職する人の立場で会社選びをする発想が足りていないんじゃないかと気がついた。何かきっかけがあったというわけではなく、転職市場そのものに急に興味がわいた。
そもそも私は情報発信をして転職をした
私は今の会社に十年以上いる。転職を繰り返して三社目だが、選択肢としてはやりたいことができる環境を求めてのことだった。基本スキル視点だったが、文化マッチに恵まれて今に至る。
転職に躍起なころは、ブログをベースに人と交流していた。SNSとリアルコミュニケーションの往復。10年前の時代ですでに情報発信によって縁があり、転職することを経験している。
よって、今、情報発信をせずに人は自分が望む転職ができるのかと疑問に思った。採用側としても、情報発信をしていない人を探して採用ができるのだろうか?とも思っている。
そこで、世間を知るために、売れていそうな転職本に手を出して、一般論を身につけることで、転職する人の気持ちに寄り添うことを試みた。
なお、自分がさっさと転職活動をして体験すればいいが、採用を経験すると試しづらいもの。お試しとはいかないので、書籍で思考を巡らせてみる。
転職2.0ではなく感覚的には3.0
2021年で一番売れていそうな転職・キャリア本に手を出してみた。著者の立場は、LinkedIn(リンクトイン)日本代表。転職市場イニシアチブな側面がありそうだ。Youtuberに紹介されて有名になったのか売れていそうだった。
結論を言うと、我慢しない妥協なしの転職のススメ。
内容をかいつまむと、自分を「タグ付け」する考え方。SNSのハッシュタグといっしょで自分の強みをラベリングするということだろう。スキルではなくポジションというのにも納得しつつ、1つ気になる項目を見つけた。
コンピテンシーも「タグ付け」の1つとして考えているのだ。
この本の定義では、コンピテンシーは主体性や誠実性にコミュニケーション能力と説く。これも市場価値(希少価値)として定義している。これもアピールになると。
採用担当視点で見ると、これはとても新鮮でありつつも、実際に採用するときに重視している項目だと気付かされた。
たとえば、チームと馴染めるかがとても大事で、それをチーム文化とするならそれにあったコンピテンシーを気にしている。実際に、仕事やチームのあう・あわないはこの要素をスキルとして見ていると気付かされた。
転職でアピールするスキルはシナジーの期待
また、本書より会社選びではなく、シナジーで選ぶ考えは、採用側も転職側も気にしておいたほうがよいだろう。ジョブ型に通じるが、やってもらいたいこと・やりたいことがある。
採用するにあたって会社に骨を埋めて欲しい思い以上に、その人がどのようなシナジーを生み出すかに期待している。そのシナジーでもって、採用された人も伸ばしたいものを得るのが今時なのだろう。
だから、レジュメとなる職務経歴書では、そのシナジー効果となるスキルを探してスカウトするのだと自分の行動に説明がつく気づきを得た。力を貸して欲しいと声がけをしているのは、このシナジーがベースなのだ。
タグ付けするということは情報発信を意識している
本書では第2章で情報発信の重要性を説いてる。認知にあたって、自身のキャリアをコンピテンシーにそって分解すると。他のタグ付けは、スキルや業種などで職務経歴書に沿った分解ができそうだ。
そこで、私も本書のコンピテンシーに沿ってタグ付けを試みた。
傾聴力・自己客観視・人材育成・フォロワーシップ。自分で考えて加えるなら、チェンジマネジメント・ファシリテーターといったところ。ポジションより自然とこうなる。
転職市場で欲しがってくれるだろうか?それも、他のタグ付けと情報発信次第となるのだろう。ただ、このnoteがそもそも情報発信。今までの記事を見ていただいて、マネージメントに対する意識が伝わればと思っている。
ただ、ラベリングは他者視点。自ら名乗る気恥ずかしさや勘違いがあるかもしれないが、そこも含めての認知。面接より書面での表現に思う。ただワンテーマに絞るぐらいにしないと、世のハッシュタグと同じ煩雑が出そう。
転職エージェントを活用するのが当たり前の時代
採用において、転職エージェントを意識することはある。転職する人はどのように活用するのか?と思ったが、それも本書に書いていた。業界情報収集と市場価値の認識に焦点が当たっている。マーケティングの考えに近い。
キャリアコンサルタントを自分のキャリアを認知するのに活用し、自分の強みを知ることに使うのだろう。そして新たなタグを手に入れることが市場を意識することになると。
すでに転職は当たり前の時代になったと実感
面接テクニックは質問される側としても聞いて欲しい話が多かった。転職2.0と言ってる定義の中で、転職が当たり前のものと気付かされた。転職しないことが珍しい時代ジョブ型の時代と認識を改めた方がよい。
つまりは、私も本書にあるように約4回の転職が当たり前なのであれば、あと1回転職するのかもしれない。しかし、そのうち転職3.0な話になって、業界としても揺り戻しはあるのだろう。歴史は韻を踏むし。
先のことを考えないというやり方も人によってはあることを聞いた。転職をしないというのも、人生の先を考えないと言う方法だろう。それも1つの手としてあると思う。
本書の主張である我慢した働き方をしないなら転職ありきじゃなくてもいい。転職するのが我慢からの解放なら、まだまだの時代で、ポジティブに転職するかー次行くかーの気持ちの世の中に変わっていってほしい。
転職はネガティブじゃなくてポジティブなもので、その受け入れとして採用を考えることにしようと、本書の締めの言葉がしみる。
ただ、これらの考えは私の中では10年前ぐらいからある感覚だったので、今も転職市場で通用するというのは、少し不思議だった。しかし、これが一般的なターゲット層の考えだと思っておいた方がよいのだろう。
最後はなんだか偉そうな語りになってしまった。それだけ、情報発信をしたほうがシンプルに転職しやすいはずだ。