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読書記録 | 福永武彦の「退屈な少年」と佐藤正午の「リボルバー」の共通性
福永武彦の「退屈な少年」を今になって漸く読んだのは、確実に以前通読した佐藤正午の「リボルバー」がきっかけである。
「リボルバー」の作中に、銃を所持して北上する少年が「退屈な少年」を読んでいる場面があり、そこから少年が銃を構える緊迫した場面を引用することで、作品に一層不穏な緊張感を含ませる効果を出している。
なので「退屈な少年」はきっと物々しいものとばかり思っていたものの、実際読んでみると登場人物それぞれの鬱屈した内面と銃の存在をうまく絡めた、どちらかと言えばヒューマンドラマの色が強い作品である。
そしてよくよく「退屈な少年」を読み進めていくと後発の「リボルバー」の作風が概ね類似していると思うのである。
たとえば拳銃を手にするのがいずれも少年であること、章ごとに登場人物が入れ替る点など、内容こそ異なるものの骨格部分が瓜二つに思える。
ただ前者の「退屈な少年」の方が抒情性が深く、「リボルバー」の方は割とすらすらと読めるという印象がある。
まず間違いなく「リボルバー」は「退屈な少年」をモチーフに作られたオマージュではないかと感じるものである。