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「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで考えたこと




こんにちは。
今回は、三宅香帆さんの話題の新作
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」
を読んだ感想を綴ろうと思います。

1、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の魅力を伝える
2、わかりやすい表現で「好き」を伝える。

二つのことを意識して書こうと思います。

ぜひ読んでほしい人

私はこの本で
社会の風潮を変える第一歩としての読書体験ができたと思いました。

・本は好きだけど、集中力が続かない
・もっと楽しみながら本を読みたい

そんなふうに思っている方にぜひ読んでほしいです。

読了後の衝撃

この本をは
読書史と労働史を照らし合わせながら、
「仕事と文化の両立」
そのために必要な考え方に迫っていきます。
時代によって変わる労働者の心境と時代背景。
明治時代から近代まで扱っているのに、置いていかれる事もなく
読了できました。

あとがきの最後のページをめくって、私は衝撃を受けました。

「参考文献、多すぎないか??」

その数、110冊程度。
新書ってそんなものなのかもしれませんが、あまりの多さに衝撃を受けました。

「私、そんなに読めない。」
「そもそも、三宅さんと私の読み方が違うのでは?」
そんな疑問が浮かんできました。

この本の主題である「働きながら、本を読む方法。」

三宅さんの読み方を真似すれば解決できるのではないか。

せっかくなので、この本の内容を参考にしながら
三宅さんと私の本の読み方の違いを考えて
私なりの
「働きながら本を読むためにはどうしたらいいか」
「働きながら本が読める社会を作るための一歩は何か」
について考えていこうと思います。

情報「本」としての「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

私が衝撃を受けた110冊の参考文献。
問いの答えについて考えるための本だと思っていましたが、

・110冊の本の内容から、読書史と労働史を照らし合わせている
・時代の編纂から、どうしたら仕事と労働が両立できるのか考えている
そんな内容を広く多くの方に知ってもらうために、275ページにぎゅっとまとめた本でした。

「新書は、研究を極めた著者が一般読者にわかりやすく広めるためのレーベルとして生まれました」らしいです。Googleに聞きました。
これを知って、私は、自分自身がこの本を
「情報を知る手段」として選んでいることに気づきました。

一方で著者は
「働きながら本を読める社会」を作るために、研究を重ね、社会にそのあり方について問うています。

これをもう少しまとめてみようと思います。

・私のような読者にとっての本書
情報手段
・著者にとっての本書
自己実現としての仕事

このような違いがあるんじゃないかなと思います。
まず、読者にとっての本書から考えてみます。

読者にとっての本書

この本は
明治時代からの労働史から始まっています。

もどかしい!!
早く「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」について知りたいのに!!

この本を読んでそんなふうに思いました。
著者の言葉を借りると
明治時代からの日本の労働と読書史は
私にとって情報ではなく知識(知りたいこと+ノイズ)
でした。
もう少し分解してみましょう。

「本」を読んで作りたい世界がある

もっとたくさん本を読みたい

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読む

読者はこのような行動をとった結果の読書と考えられます。
本を読むことと作りたい世界の関連はありますが
読書史と労働史と作りたい世界の関連は必ずしも深いとはいえない。
だからこそ、もどかしい思いを感じたのだと思います。

著者にとっての本書

私は、200ページ程度の読書史と労働についての見解を読んだだけで
もどかしい思いを感じたのに対して、
著者は110冊程度の文献から、タイトルの問いについて考えています。
その差は一目瞭然。
読者と著者の間には当然ながら「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」に対する探究心の違いが明確にあります。

P18「いや、そもそも本も読めない働き方が普通とされている社会って、おかしくない!?」
P22「どうすれば私たちは、働きながら、本を読めるのでしょう。」
P23「どういう働き方であれば、人間らしく、労働と文化を両立できるのか」(本書より引用)

度々このような問いが出てきます。著者にとっては
「本を読むこと=仕事と両立させたい、仕事以外の時間」
と説明しています。

著者の行動についても読者の行動と照らし合わせて考えてみましょう。

「本」を読んで作りたい世界がある

もっとたくさん本を読みたい

労働史と読書を照らし合わせながら考える

作りたい世界の実現に向けて手段を考える

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を書く

この過程で110冊もの参考文献を読むに至っています。
先ほどから参考文献の数を提示していますが、私の予想ではその4倍以上は読んでいるのではないかと思っています。(パレートの法則)

「働きながら本を読める社会」を作る方法は
著者にとって自己実現につながるから
それほどまでに熱量を持って取り組めるのではないかなと思いました。

読者と著者の違い

ここまでの考えをまとめてみましょう。

読者にとっての本書=本をたくさん読むための情報手段
著者にとっての本書=作りたい世界を世の中に問う自己実現の手段

このような違いになるのではないでしょうか?
当たり前のことに戻った気がしますが、
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を解明するための大事なことなので、改めて両者の立場を明確にしました。

社会の風潮を変える読書体験

著者は生活の中に「本を読む」余裕を作ろうと。
そのために、全身全霊をやめませんか。
半身で働くことで社会を変えていきませんか。

本書の中ではそんな問いかけがあります。

これを受けて社会の風潮を変える一歩とはどのようなことか考えてみようと思います。

文化と労働の両立

三宅香帆さんは様々なメディアで本について語っています。
さらに、「古典が好き」「アイドルが好き」「大河ドラマが好き」「漫画が好き」と語っていました。
直近で出演したメディアでは
「この本は信じられないほど面白かった!」
「この大河ドラマは全人類に見てほしい!」
と様々な文化を楽しんでいることがわかります。
もちろん、書評家としての仕事があり、そのための読書もあると思います。
でも、著者は「本を読むために仕事を辞めた」経験があり、
本を読むことと仕事を両立させたいと考えています。

そんな中で「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」をかかれました。
著者自身は本書のために
読書(ノイズ込みの文脈を頭に入れる作業)を行い、それを楽しんでいるのではないかと思います。
著者の言葉を借りると
「半身の取り組みで読書をしたから本書が完成した」
ということもできるのではないでしょうか?
理想系ではないにしろ、著者にとって読書は
「仕事と両立させたい、仕事以外の時間」であり
様々な文化を楽し見ながらも
「作りたい世界のためには大量の本を読むことができる」のであれば
まさしく本書が
「働きながら本を読める社会が作れる証明」ではないでしょうか?

働きながら(本書を作りながら)本を読める(仕事と両立させたい、仕事以外の時間)社会の一歩を本書によって踏み出すことができたのではないでしょうか?

自己実現について

P265 まずはあなたが全身で働かないことが、他人に全身で働くことを望む生き方を防ぐ。あなたが全身の姿勢を称賛しないことが、社会の風潮を変える。(本書より引用)

著者は自分自身が全身で働かない。そして全身で働くことを称賛しない。それによって作りたい世界に近づけるのではないかと考えている。

私の興味深い点はここです。
私は著者が、三宅香帆さん自身が全身全霊で働かずに仕事をした。
そして、それを受け止めた上で、仕事によって生み出された結果を読者に正しく評価してもらう。
それによって「本を読むこと」ができる社会になると考えているのではと思います。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」は15万部を突破しています。

これは著者が作りたい世界を著者自身が体現し、それを受け止めた読者が社会の風潮を変えるための一歩として、著者自身の行動を評価しているからだと思います。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読み、これについて考え、
めっちゃいい!こんな世界作りたい!
そう思うことが文化と労働を両立させる第一歩だと思うのです。

これは「めっちゃいい!」と本への高評価を産むことで回る循環ではなく
高評価であっても低評価であっても
「労働をしながら本書を読み、著者とともに考えた」
この読書体験に価値があるのだと思います。

つまり、この本を読んだ読者は
「社会の風潮を変える第一歩としての読書体験ができた。」と言えます。

読者を巻き込んだ社会変革

本書は
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」
と問いかけながら
読者を巻き込みながら社会変革をもたらす仕掛けが組み込まれています。

・本は好きだけど、集中力が続かない
・もっと楽しみながら本を読みたい
そんなふうに考えている人は
本書を読み、考えることで、
作りたい世界を作るための第一歩を踏み出せるというわけです。

だからこそ、私は、noteに
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで考えたことを書きたいと思いましたし
もっとこの本の魅力を伝えたいと思いました。

このnoteを読んで興味を持った方は
ぜひ「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んでほしいです。

次回は別の視点からこの問いについて考えます。
お楽しみに!























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