子どもとの関係が変わる自分の親に読んでほしかった本/感想
英国の心理療法士による全46ヵ国200万部ベストセラー。
まずそのタイトルにグッと来た、というのも今までこういった類の本を読むたび「親が読んだ方がいいのでは」と幾度となく思ってきたからだ。それは今や親となった自分にもきっと当てはまる。
いわゆる育児本を読んだり、日々子どもと接する中で強烈に思ったのは小さな子どもにとって最も影響が大きいのは親である自分だということ。親は子にとって有益にも有害にもなれる。それは息子を介して自分を見ているようだと何度も思わされたことに起因している。私自身の思考の癖と向き合い、軌道修正していくことがどんな育児本を参考にするよりはるかに息子の為になるかもしれないとすら思えた。
『子育ての遺産は連鎖する。』これは恐ろしいことだ、が事実だ。
私が子どもなりに身に着けた諸々の鎧は、私を守り、またここまでを生かすのに役に立った。しかし同じものが息子にも有効とは限らず、またそもそも着古したそれを与えたいとも思わない。我が子には私が知り得ない課題がきっとこの先に沢山待ち受けており、それに向き合う時間を大切にしてほしいと願う。
私たちは子が生まれいきなり親になる。唐突に『あなたはもう親だから』と今までとは別の畑にポンと放り出され、責任感だけしっかりと背負う。(加えて最近は親ガチャなどという言葉に翻弄されてたまったもんじゃない。)子は可愛い一方だが、そこに立つ私は今までの数十年を”自分なりに”生き抜いてきた自分でしかない。
可愛いのになんだかツラい、どうやって努力したらいいのか分からない…
そんなすべての悩める親にこの一冊は一読の価値があると思う。少なくとも私自身は、この本を身近に置き我が子の成長と共に何度も振り返って襟を正すキッカケにしたいと思った。
以下私目線のまとめ。
◇我々は自分が幼い時にされたことを人に対してする傾向がある
無力な子どもながらに親とやりとりをしてきた中で無意識に積もっていくものがあるのだという。それは何らかのキッカケを通して無気力を生み、そのスパンが長ければ長いほどまさか子ども時代の親とのかかわり方が起因しているとは、専門家以外なかなか気付くことは出来ないだろう。
子ども時代あまり手がかからない子だった、と褒められた経験はないだろうか。勿論親子関係がうまくいっていて特段気に留めるようなこともなかった、という意味かもしれない。
しかし少なくともこの書を手に取る、またはこうした記事を見ようと検索した者にとっては違う意味を持つのかもしれない。著者は
と説く。
適応することを学び、これまでを生きてきた。生きる為の戦略。
しかしそうして取りこぼしていったものは多いのかもしれない。
◇子の感情に先に向き合う方が結果的には近道
現代の親は忙しい。それを重々承知の上で、子どもの感情を否定することが近道になることはほとんどないということを心に留め置きたい。
子どもは親が自分の感情の受け皿になってくれることを必要としている。子どもが負の感情を抱くことを親が叱ると、悲しいと思ったもともとの出来事、そして親が腹を立てている事の2つの点において泣いて悲しむ理由が出来てしまう。
子どもが必要なときにしっかりとその感情を受け止めることが出来れば、子どもは感情のなだめ方を徐々に内面化し、最終的には自力で出来るようになる。遠回りの様で実は子ども自身が感情をコントロールする近道になるのだ。「なに泣いてんの、ちょっと忙しいから後にして!」と言ってしまいそうになるのをグッと堪え(大人の都合で子どもをコントロールするのではなく、)心を寄せ、泣いている子どもを宥めるというのは骨の折れる作業ではあるが、その方が良いという考え方を貫こうとペリーは語り掛ける。
また子どもの自立を急かし過ぎると、親にとっては良かれと思ってやっていることであっても子どもにとっては突き放され、罰を与えられていると感じることもあるため、親のペースを押し付けないよう配慮したい。
子育てにおいて重要になるコミュニケーションは勿論対大人(配偶者)にも有効である。
◇コミュニケーションは自分がどう感じるか、から
人間関係や家庭が最も摩耗するのは「自分が正しいと主張して譲らない」人がいるとき、だそうだ。
・(事実から良い悪いという2項対立になるのを避け)
⇒自分がどう感じるかという観点から話すこと
・(客観的であるふりをするより、自分の都合で構わない)
⇒自分の気持ちをはっきりと伝えた方が良いということ
・(相手のことを決めつけるのではなく)
⇒自分自身の感情が理由であることを認めること
わたしは~と思う、わたしは~と感じた、といった語り口がパートナーとの会話においても、子どもとの会話においても有効ということだろう。議論相手の押し付けがましさ、決めつけなどに我々は敏感に反応できることを思い返せば、「あなたが~」と始めるより何倍も話が円滑に進むであろうことは想像に難くない。
さて、こうした方がいい、というのは頭では理解出来る。しかし親だって人間、失敗や間違いもある。そこでペリーはこう投げかける。
あの時はごめんね、と声を掛ける勇気さえあれば大丈夫、お互い人間なんだもの…と背中を押してくれるようだ。
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