『最低で最高のロックンロール・ライフ』水上はるこ
『ミュージック・ライフ』『ジャム』の元編集長、水上はるこが世界中を駆け回ったロック回顧録!
1972年のサンフランシスコ、74年のニューヨーク、2023年のアラバマ、オーストラリア、イングランド、ドイツ、ベルギー、ユーゴスラビア、ポーランド、モスクワ……。ロック・ジャーナリストとして、文字通り世界中を駆け回った水上はるこが、半世紀におよぶロック人生を振り返る。数多くのミュージシャン/アーティストとの出会い。人気ミュージシャンと取材者という垣根を超えた深い友情。《最低で最高》のロックンロール・ライフを語り尽くす!(シンコー・ミュージックのサイトから引用)
迷うことなく、もちろん特典付のサイン本を手に入れた。
WEBサイトで発表されたコラムの加筆修正版と書き下ろしを含めた全22のエピソード。目次に並ぶバンドやミュージシャンの名を見るだけで楽しく、どのページも真っ先に開きたくなる。アタマから読み進めるか、それとも…。迷った結果、単純に、好きな人たちのエピソードから読むことにした。ブルース・スプリングスティーン、ジーン・シモンズ、テレヴィジョンとパティ・スミス、ポール・マッカートニー…。もちろん他のエピソードも読み応えは抜群だが、テレヴィジョンとパティ・スミスを読んでいる最中の興奮度は半端ではなかった。すべての章が、まるで自分もその場にいて水上さんとミュージシャンを眺めているような気分になるのが凄い。映像がリアルに浮かぶし、その場のにおいや音さえ感じられそうな気がする。すべて読み終えたときは、秀逸なロック・ドキュメンタリー映画を観たような感動をおぼえた。
フィナーレの章。最後の1行が残る。一生、好きなロックと共に充実した人生をおくりたい。
P.S.
水上さんが「ミュージック・ライフ」「ジャム」で発表した記事を中心に編集された『さよならホテル・カリフォルニア』(87年)は愛読書のひとつだ。タイトルと表紙に象徴されるように、パンク系を中心としたインタヴュー集。こちらも本棚から引っ張り出し、一気に読んだ。