映画「アデライン、100年の恋」を観て
2月10日、「アデライン、100年の恋」という映画を観た。
英題は「The Age of Adaline」。2015年のアメリカ映画で、リー・トランド・クリーガー監督の作品だ。
キャストは、アデライン・ボウマン/ジェニー・ラーソン役のブレイク・ライヴリー、ウィリアム役ハリソン・フォード、フレミング役のエレン・バースティンなどである。
あらすじは、
といった内容。
で、観終わっての感想。
歳をとらないことは、素晴らしいことではない
世間では、「歳をとらないことが素晴らしいこと」というような風潮がある。それは、実際には歳をとっているけれども、若く見えるということでの評価だと思う。
しかしである。この映画の主人公は、見かけだけでなく、実際に年を取らないというか、老いていかない。
こんな人は、実際には存在しないとは思う。
ではあるが、いわゆる「永遠の命」の美学の考えを、完全に塗り替えてくれる映画だった。
歳をとらないことは、決して素晴らしいことではない。
映画の中でも、自分の娘が自分を超えて、年老いてゆく。
それは、常に別れが連続してゆくことなのだ。
人を好きになることもできない。
歳をとらないことは、幸せではないと感じた。
運命のいたずらは、運命を戻す
さて、運命のいたずらで、若い時の事故から歳をとらなくなった主人公。
そんな主人公は、100歳に近い時期に、新たな恋に落ちる。
ところが、その相手の父親が、かつて自分と恋に落ち、彼からのプロポーズ直前で逃げてしまった相手だった。
まさに「運命のいたずら」としか言いようがない。
さらに、このことにより、運命は再びあの日の事故と同じようなシチュエーションが起きてしまう。
そして、そのことで、歳をとらない特別な能力は終わるのである。
主人公は、運命のいたずらに、しっかりと誘導されているのだった。
特別な能力は、国家も黙っていない恐怖
怖いのは、この歳をとらない能力を、FBIが嗅ぎつけ、彼女を拉致しようとしたことである。確か、ほかの映画で、特殊な能力を持つ人が、政府の闇の組織に追われるようなシーンがあった記憶がある。
つまり、特別な能力は、国家も黙っていないということだろう。
これは、恐ろしいことである。おそらく、彼女があのまま捕まっていたら、人体実験が行われたり、その先が恐ろしい。
それは、人権など存在しない世界であろう。
ラストシーンは、歳をとることへの喜びのシーン
映画のラストのシーンで、主人公が鏡を見て、髪の生え際に白髪を見つける。彼女は、それを見て何とも言えないような、嬉しい表情をする。それは、歳をとることへの喜びのシーンのように思えた。
ようやく主人公は、歳をとらないとらない世界から解放されたのである。
その喜びが、鑑賞者にまで伝わってくる。
この映画を観て、
人は歳をとるからこそ得る、大切なものがある。
そのように感じた。
永遠の命ほど、残酷なものはないのかもしれない。
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