【最近読んだ本】自分だけの「東野圭吾ミニフェア」など
9月から読んだ本の記録を残していなかったので、ざっくりと覚書き程度に書いておこうと思う。
まずは、東野圭吾作品から。
久しく読んでいなかったが、5月に『ブラックショーマンと名もなき町の殺人』を読んで、やっぱり面白いなと思った。それから最近、連続して作品を読んだ。ここ3~4年に発刊された比較的新しいものばかりだ。
いわば、自分だけの「東野圭吾ミニフェア」。
最近読んだクスノキのシリーズは、ミステリーというより「ほっこり」系。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のように、ややファンタジー要素もある。「いい話」だし、読後感も悪くない。これは完全に「続編」なので、先に『クスノキの番人』を読まないと『クスノキの女神』は理解できないかもしれない。クスノキの役割がとても重要で、それがわかるのは1冊目の「番人」なので。
『透明な螺旋』は、いわゆる「ガリレオシリーズ」で、湯川教授が活躍する。このシリーズは読んでがっかりさせられることはない。今回も「どんでん返し」というほどではないが、最後に「え!」という驚きはあった。
『白鳥とコウモリ』は、noteでも面白いと書いている人が何人かいたので読んでみた。分厚いので手に取った時、買おうかどうかちょっと迷ったが、結果的には読んで良かったと思う。容疑者の息子と被害者の娘が協力し合って真犯人を見つけていくという、珍しい展開。最後まで引き込まれた。
全作品を読んだわけではないけれど、一時期、東野圭吾にハマったことがある。結構そういう人って、世の中に多いのではないだろうか。
私は昔、『白夜行』を読んだ時に、「あ~、やっぱり天才っているんだ」と思ったし、今でも「東野圭吾作品で、あなたのナンバーワンは?」と聞かれれば、『白夜行』と即答する。
※よかったら、あなたの「東野圭吾ナンバーワン」を教えてください。
原田マハさんの本は、棟方志功の自伝的フィクション。と言っても、面白いのは棟方志功の「妻」の視点から書かれているところだ。
「リーチ先生」と同じく、民藝好きなら避けては通れない棟方志功。私も大好きで、旅先の記念館や大阪での展示会などに何度か足を運んだ。
版画を「芸術」の域まで高め、世界中に認めさせた棟方志功の人生や人柄が垣間見れる。
三浦しをんさんの『墨のゆらめき』はホテルマンと書道家、二人の男性がひょんなことから知り合い、少しずつ友情のようなものを築いていく。しかし、書道家の遠田薫にはいろいろ謎が多くて……。という感じのストーリー。しをんさんらしく、読んでいると人物がはっきり自分の中でイメージされる。この作家さんは本当に「キャラ作り」がうまいなぁと思う。気づいたら登場人物に惚れ込んでしまっているんだなぁ、これが。
夏頃から、原田ひ香さんの本を読み始めた。
『ランチ酒』が最初だったかな。このシリーズはとにかくおいしいものとお酒が好きな人にはたまらない。主人公の女性が夜勤明けに毎回いろんな店でランチ酒をするのだが、その描写がめっちゃおいしそうで、酒呑みの心をくすぐる。「晩酌ができないから、ランチ酒」という考え方も素敵だ。
もちろんおいしいランチ酒を紹介するだけではなく、ストーリーも面白い。
『古本食堂』『三人屋』もよかった。優しい気持ちになる。
何を読んでも、原田ひ香さんは食べることと飲むことが好きなんだろうなぁと思う。
今年、初めて一穂ミチさんの本を読んだ。最初に読んだのが『スモールワールズ』だった。
読み終わった時、私は夫に「すごい作家に出会ってしまった!」と言った。言わずにいられなかった。夫は「へ~、そんな面白いんや」と言ったが、そう言われると「面白い」とかそういうことではないなぁと思った。うまく言えなかったが、とにかく「すごい作家を見つけた!」という気持ちが強かった。これまでにいろいろと一穂さんの作品を読んできた人にとったら、何をいまさら……と思うだろうが、私にとったら「発掘」の気持ちだった。
そうしたら、読んだのが文庫だったので、最後に辻村深月さんの解説があって、それを読んでいたらこんな文章が書かれていた。
以前、一穂さんの読者の一人が一穂作品を評し、「宝物のような作家を見つけた」と言ったのを聞いたことがある。その「宝物」という言葉の持つ特別な響き。それはおそらく、一穂さんの作品が愛おしさの中に残酷さやままならさがあることと無関係ではない。他の誰かにとっては違うかもしれなくても、自分にとって「見つけた」と思える輝きや安心感を放つのが「宝物」だ。
うーん!さすが辻村深月さん!!
もう私が言いたいこと、ドンピシャ。そして、やっぱり読者の中に私と同じように「宝物のような作家を見つけた」「すごい作家を見つけた」という気持ちになった人がいたのだということにも感動した。
そう。そういう気持ちになる作家なのだ。
まだ3作品しか読めていないが、これからも追っていきたい作家さんだ。
直木賞を受賞されたのも納得。『ツミデミック』もよかった。
それに比べると『光のとこにいてね』はそうでもなかったかな。もしかしたら、短編で生きる作家さんなのかもしれない。まだ3作品しか読んでいないので何とも言えないけれど。
上の写真のものが、一番最近読んだ本たち。
ここのところ意識して、映画やドラマ、漫画になっているものを選んでいる。だから、上にはそういう作品も多く含まれている。
中村文則さんの作品は初めて読んだ。話題になることも多かったが、なんだか「怖い」イメージがあって。ちょっと読める自信がなかった。『悪と仮面のルール』も設定が怖かったが、今まで感じたことのない読後感があった。「人を愛する」ってどういうことなんだろうかと考えさせられた。まっすぐすぎて、逆に歪んでしまった恋愛物語のようにも思えた。
『変な家』は漫画でも読んだけど、面白かった。小説より漫画にしたほうがわかりやすいかもしれない。間取りから「殺人が行われる家」であると推理し、真相に迫っていく。最後まで一気に読まずにいられなかった。
『傲慢と善良』は映画化されるだけあって、結構なボリュームのある本だけど、飽きることなくダダダッと読めた。でも、なんだろうなぁ、変な読後感。これってハッピーエンドなのか?というような。騙し合いというか、人の裏の顔がいっぱい見えて、出てくる人たちがみんな嫌いだった。だから、誰にも感情移入できずに終わったな、という感じ。
『路』は私の大好きな吉田修一さんの台湾を舞台にした小説。台湾に日本の新幹線を走らせる事業に関わる人たちの話。ビジネスものかと思ったら、きゅんとするような純愛が描かれていて。とても素敵な物語だった。
去年くらいに朝井リョウさんの『正欲』を読んで、それまでは特に響くものがなかったのだが、急激にこの作家さんを好きになった。もっといろいろ読んでみたくて『スター』を手に取った。映画監督を目指す2人の男の、それぞれの生き方を描いた物語。ものづくりということについて、いろいろ考えさせられることはあった。
柴崎友香さんの本は初めて読んだ。デビュー作から読もうと思い、『きょうのできごと』を選んだ。こんな関西弁の強い小説は久しぶりだなぁと思った。(関西人だから嫌いではない)
なんということもない、若い男女たちの恋愛やすれ違い。タイトルの通り「きょうのできごと」を綴ったような、そんななんでもない物語。大きな事件は起きないが、人間のいろんな気持ちを、いろんな人の角度から見られるのがこの小説の良さなんだろうなと思った。
『団地のふたり』はドラマ化されると話題になっていたので読んでみた。
50歳を超えても独身で団地に暮らす仲良しの「なっちゃん」と「ノエチ」。ネットで不要品を売ったり、一緒にごはんを食べたり、時には団地の他の人たちと関わったり。普通の人の普通の生活。でも、なんかいい。ほっこりと優しい気持ちになれた。
ちなみに、ドラマは小泉今日子と小林聡美が主演。見てみたが、3話くらいで脱落した。原作は何も起きない日々でも読めたが、ドラマはその平凡な日々を見るのが退屈に感じた。好きな人もいるのだろうが……。
あと、私はキョンキョンには「いい女」の役をしてほしいんだよなぁ。これはおばちゃんすぎて、嫌だった。(いつまでもアイドルでいてほしい!)
ということで、最近読んだ本の記録を終える。
今また積読がすごい。年内にあと何冊読めるかな。