音楽はいつまでも/映画リメンバー・ミーの力
2019年12月、長年飼っていた愛猫が虹の橋を渡った。
当時高校2年生だった私にとって家族との別れは初めての経験だ。
愛猫との急な別れに心が追いつかず、寝ても覚めてもその猫のことばかり考えては涙を流していた。
その出来事があってそんなに時間は経っていなかったと思う。
金曜ロードショーで『リメンバー・ミー』が放送されていた。
じつはそれまでこの映画を見たことがなかった私。
この頃からディズニー、ピクサー作品に興味を持ち始めていたため、とりあえず見ておこうということでこの映画を鑑賞した。
結論、大泣き。
いい映画過ぎた。
特にこの映画の代表曲でもある「リメンバー・ミー」。
作中で何度もこの曲が様々な人に歌われるのだが、その都度この曲の印象がまるっきり変わってしまう。本当に不思議な曲だ。
物語後半でミゲルが歌った「リメンバー・ミー」に心を打たれた人は、きっと私だけではないはずだ。
ほぇぇ、、いい映画だなぁ、、、なんて思いながら物語もラストに差し掛かったところ、本当に最後のシーンで私の涙腺のダムが崩壊した。
それが、「音楽はいつまでも」という曲が流れるラストシーンだ。
以下の文はこの曲の歌い始めの歌詞である。
大切な家族をなくしてそれほど日の経っていない中での、この歌詞である。
ましてや、この映画のテーマは家族である。
この一文を聞いた瞬間に、私の涙腺は文字通り崩壊した。
私自身が、今まさに別れた家族が夢に出てきて苦しんでいる最中だったからである。
それでもこの曲ではそんな別れた家族が夢に出てきたことを前向きに捉えている。メキシコ調の軽快なサウンドにも余計に心を殴られた。
ここで私と猫との思い出を書き記すのは本稿の趣旨に逸脱するため控えておくが、それでもその猫が私にとって大切な家族の一員であることに変わりはない。
それは今でもそう思っているし、これからもそう思い続ける。
この映画のおかげで、本当に少しだけ前を向くことができるようになった。
家族の死を受け入れることができたし、ともに生き続けていると思えるようになった。
あれから約4年が経過している。
今でも大きい箱みたいなトイレが置いてあった場所にはなにも置かれていないし、餌を入れていたお皿だってそのまま取ってある。
夢にだってでてくる。
目を覚ましたときに虚しさに襲われることだってある。
それでも私が彼のことを思い出し続けている間は、私の中で生き続けているのだ。
私は初めて、映画に救われたという経験をした。