イエスマンになった7日間(ノーマンを卒業したおじさん)
以前ジムキャリー主演の映画「イエスマン “YES”は人生のパスワード」を、アマゾンプライムで観て単純な私は大変に感銘を受けました。
そして実行しようと思いながらも、コロナ禍もありノーマンを継続していた私がついにイエスマンとなった7日間の記録です。
全てにイエスと回答する
映画に登場する消極的な主人公カール(ジムキャリー)は、怪しげなセミナーに通ってから全てに「イエス!」と回答するようになります。
すると人生が段々と好転していく、という実話をもとにしたお話です。
第一のお誘い
ある日、仕事から帰宅すると奥さんのスマホが「リンリンリン!」と軽快な音を出して鳴り出しました。
何やらスマホ越しに大きな声が聞こえています。
どうやら義理の兄、順三さんの声です。
「久しぶりにブルクロと飲みたいなぁ~、タクシー代払ったるから今から来いよ~!」と、ご機嫌な調子で既に酔っぱらっている様子です。
仕事から帰宅した私のルーティンは、お風呂に入ってアマプラを見て、ネットサーフィンかブログを書いて寝るです。
たまに飲みの場に誘われても、次の日に仕事がある場合は基本的にノーマンを発動させていました。
順三兄とはもう10年位は、まともに話をしていません。
幸いにも明日は休日だし「久しぶりに会いたいなぁ」という気分になり順三兄を訪ねる事にしました。
途中のセブンイレブンで食料品とドリンクを購入して義実家に到着しましたが、肝心の順三兄は酔っぱらって寝ていました。
しかし義理の父がニコニコして出迎えてくれました。
しばらく義父と姉夫婦と一緒に夕食を食べながら、近況報告や他愛もない話をしました。義父は久しぶりのビールとスナック菓子を嬉しそうに食べた後「もう寝てくるわ、ありがとう」と言い残し床に就きました。
その後、義姉たちが「ブルクロくん来てくれてるで~」と寝ている順三兄を無理やり起こして二次会がスタートしました。
「おーブルクロ!どないしたんや、俺が呼んだっけ~?」と私を呼んだ事を覚えていませんでしたが、年を取った私達は思い出話やこれからの話等に花を咲かせて、気が付けば終電近くになっていました。
帰り道に奥さんが「お父さん今日は嬉しそうやったわ、あんなにニコニコしている顔久しぶりに見たわ、ありがとう」と私に言いました。
そして自分自身も思いのほか楽しい時間を過ごした私は「イエスマンも悪くないな‥」と思い始めていました。
第二のお誘い
楽しい週末を過ごした3日後の朝に、私の次兄であるセイント兄から第二のお誘いがありました。
「今日ミツキ兄(長兄)と飲みに行くけど、一緒にどう?」
いきなり今日ですか?
「うーん‥」
今日は朝から夜までフルタイム勤務の日、さらに翌日も朝から仕事です。
前回のお誘いよりも難易度アップしています。
イエス神は少しづつ難易度を上げて、私が真のイエスマンであるのかを試されているようです。
今までの私であれば断っていました。
しかしもちろん答えは「イエス!」です。
集合場所は、3人が集まりやすい天王寺のあべ地下のお好み焼き屋さんあべとん(2022年食べログ百名店)です。
この日は、午前勤務が終了してから「今日は飲みに行くから午後も頑張らないとなぁ‥」と考えながらも、どこかで心はウキウキウェイクミーアップしていました。
そうこうしているうちに午後勤務が終わりました、集合時間である20時に何とか間に合いそうです。
私の青春の1ページでもある、あべ地下のあべとんへ急ぎました。
既にセイント兄と、義理の弟G2も集合していました、少し遅れてミツキ兄もやってきました。
そして久々に男4人が集合して宴が始まりました、ここでも近況や将来の事などを閉店までゆっくりと語り合いました。
やはり気心の知れた兄弟はいいもんですね‥
帰宅して今日の話を奥さんに話して眠りにつきました。何だか充実して楽しく幸せだなぁ、むにゃむにゃ‥(眠)
第三のお誘い
若干寝不足で出勤した次の日に事務の女性から「ブルクロさん、いけばなとか興味ある?」と聞かれました。
私「何でですか?」
事務さん「友人がいけばなの先生で近鉄百貨店で展覧会に出品するから優待券があるの、奥さんとか好きでしょ?」
私「はい!いただきます」
残念な事に私は今までの人生でいけばなに興味を持った事はありませんでした。しかし年を取ってから散歩中に見かける自然に咲く花々を愛おしく思うようになっていました。
今の私なら、いけばなからも必ず何か得るものがある筈だ!
帰宅していけばな展に奥さんを誘ったところ「えらい珍しいなぁ、でも私もお花好きやから行こうか」とノリノリまさのりでOKを貰えました。
そして今日、天王寺駅で降りて近鉄百貨店「第56回いけばな大阪展 煌めく花の羅針盤」へと行ってきました。
会場の入り口には、上品な着物姿のご婦人や老紳士達で賑わっていました。
無印良品とユニクロで武装した我々は気負うことなく、入口で優待券を渡して会場へと入っていきました。
いけばなというと昔ながらの剣山に刺された花をイメージしていたのですが、各流派によって自由な発想で花や木々を飾りもはや現代アートの様相を呈していました。
展示されていた作品群は本当に素晴らしいものでした。
以下の全ての感想は私の勝手な解釈です。
「ギザギザの木が何か生命の輪廻転生を表現しているのかな?」
「前面の花々とフワフワの緑の木々がスーモみたいで心が癒されます」
「スネオヘアーに花の色合いがアクセントとなりかっこいいです」
「枝が綺麗に塗装されています、クリスマスのリースみたいです」
いけばなに造詣のない場違いなおじさんは的はずれな感想を持ちながらも、初めてのいけばな展を心から楽しむことができました。
友人達と一緒に作品を作り上げて展示するのも学園祭みたいできっと楽しいだろうなぁ。
私も何か心から打ち込める趣味を持ちたい。
いけばな展を後にした我々は帰りに隣のあべのハルカスに寄っていく事にしました。
あべのハルカスは、2022年現時点では日本で最も高いビルで300mの高さがあります。
2017年に屋上展望フロアーに行った時の画像があったので載せておきます。
しかしながら有料である最上階60階の展望台に上らなくとも、16階の屋上庭園からでも81mの高さがあるので遠くを見渡すには十分な高さがあります。
よって今回は屋上庭園のベンチで一休みしようと思い、16階でエレベーター降りるとちょうど「楳図かずお大美術展」が開催されていました。
楳図かずお先生といえば、我々の世代では「まことちゃん」か「漂流教室」です。
この漂流教室に出てくる関谷久作(38歳)という給食パンの納入業者がめちゃくちゃ恐ろしい人なのです。
最初は善人を装っているのですが、学校が子供達だけになったとたん極悪人になってパンを独り占めにしたり恐怖と暴力で子供達を支配しだす二面性を持っているのです。
楳図かずお先生は人間の本質を描き出す天才です。
子供の頃にこの漫画を読んだ後に、大人達がニコニコして親切にしてくれると「この人も本当は関谷みたいに恐ろしい人間なのかもしれない」と若干の人間不信になってしまいました。
もちろん本当に優しい大人達も沢山いましたが、実際に社会に出てから関谷久作の様な大人も見てきたので実在している事は間違いありません。
今でも若干トラウマとして残っていて必要以上に笑顔の丁寧なサービスを受けると若干怖い気持ちになります。
そして愛想のない対応の方が、何となくその人の本心の様で安心している自分がいます。
イエスマンになって感じた事
つい最近ハルカスに来たことがあると思っていたのですが、写真を見返してみるとなんと5年半ぶりでした。
時が経つのが早すぎます。
しかし私はイエスマンになって気が付きました。
イエスマンになると自分の意志と関係なく様々な経験をする事になるので、時間が経つのを遅く感じるのです。
実際にこの7日間は充実していつもよりも長く感じました。
「最近時間が経つのが早いなぁ…」と感じている方は、ルーティンワークのみの毎日で新しい経験をしていない可能性があります。
そんな方も、たまには「イエスマン」をやってみてはいかがでしょうか?
おわり
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