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体内水分量:水のバランスを保つナチュロパシーの考え方
水分不足とむくみ
私たちの体の約60%は水でできている、なんて聞いたことがありますよね。
この水分は、体の中でじっとしているわけじゃなくて、血液や細胞、リンパ液の中を、秩序を持って忙しく行ったり来たりしています。
この「動き」がちゃんとしていないと秩序が乱れてしまいます。
そうすると、身体がなんだかうまく回らない感じがするんです。
たとえば、水分が足りなくなると乾燥肌や便秘、疲れやすさといった不調が現れることもあります。
一方で、体の中に水が余計に溜まると、むくみや冷え性、さらには体重が増えたように感じることもあります。
今回は、この「水が足りない」と「水が溜まる」という二つの状態を比べながら、水の動的バランスをおさえたナチュロパシーの視点で考えていきます。
参考サイト:日本人の水分摂取量「水を活かす」
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水分が減るのはどんなとき?
紅茶文化の国というのもあり、オーストラリアで問診しているとき、お茶しか飲まないっていう人、結構いたんですよね。
「私、血管にお茶流れてます」って自分で言って笑っていた方、懐かしいです。
加齢: 年を重ねると体の水分量はどうしても減っていきます。
筋肉量の低下: 筋肉は水分をたっぷり抱える器みたいなもの。筋肉が減ると、水分をキープする力も弱まります。
脂肪組織の増加: 脂肪は筋肉に比べて水分を保ちにくい性質があります。
ホルモンバランスの変化: 特に更年期には、水分を保つ力が弱まることが多いです。
水分摂取不足: 飲む量が少ない、またはカフェインやアルコールが多いと、身体が水不足になりがちです。
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水分不足が引き起こすこと
身体に必要な水が足りなくなると、こんな不調が現れることがあります。
前述のお茶しか飲まない人は、これ、結構当てはまっていました。
肌がカサカサしたり、シワが増える
便秘や消化不良
疲れやすさ、集中力の低下
足がつる、筋肉がこわばる
「夜中に足がつるのは年のせいかな」と思ったら、実は水分不足が原因かもしれません。
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むくみって本当に「水が多すぎる」せい?
むくみと聞くと、「水分を摂りすぎたのかな?」と思う人も多いでしょう。
でも実際は、身体の中の水がうまく流れていないことがむくみの原因なんです。
水が流れないと、足や顔に溜まってしまって、腫れぼったい感じになってしまいます。
だから、「何で流れなくなったんだろう?原因は?どうやったら巡るようにできるだろう?」と考えます。
「水が巡らない」原因はこれかも?
塩分の摂りすぎ: 塩分が多いと、水分が体の組織に引き寄せられます
血行不良: 血流が悪いと、水がうまく排出されません
リンパの流れの滞り: 運動不足や体質的な問題でリンパ液が流れにくくなることもあります
内臓の調子: 腎臓や心臓、肝臓の働きが落ちると、体全体の水分バランスが崩れやすいです
ホルモンの変化: 生理前や妊娠中にむくみやすくなるのは、血行とともにホルモンの影響もあります
水分を巡らせるためにできること
むくみや水不足を防ぐために、普段の生活で心がけたいことは、実はそんなに難しいことではありません。
血流を良くする運動: 軽いストレッチやウォーキングを定期的にする
適度な水分補給: 体調に合わせて自分に合った量を少しずつ飲む
栄養バランスの良い食事: 塩分は天然塩を適量に、タンパク質や他のミネラルやビタミンもしっかりとる
前回のブログもぜひ参考にしてくださいね↓。
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水分を吸収しやすくするコツ
水が冷たいと、胃での血の巡りを一度停滞させ、体温を上げるためにエネルギーを消費します。そのため、常温の水よりも吸収がわずかに遅くなります。
温度は大事
常温か少しぬるめ(20–40℃): 胃腸への負担が少なく、吸収がスムーズ。
お白湯(40–60℃): 特に朝飲むと、体をじんわり温めてくれます。
タイミングも大事
朝一番に一杯: 寝ている間に失われた水分を補給。
食事の前: 消化を助け、満腹感も高めます。
運動や入浴後: 汗で失った水分を補います。
参考:Lad, V. (1984). Ayurveda: The Science of Self-Healing. Lotus Press.
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水の機能を利用する
水もいろいろあるので、温度だけでなく、気温や体調に応じて種類を変えてみるのもあり。
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参考:Tortora, G. J., & Derrickson, B. H. (2020). Principles of Anatomy and Physiology (16th ed.).
Wiley.Popkin, B. M., D'Anci, K. E., & Rosenberg, I. H. (2010). "Water, hydration, and health." Nutrition Reviews.
Iizuka, N., et al. (2007). "The effect of carbonated water intake on dyspepsia." Journal of Gastroenterology.
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汁物と純粋な水は分けて考える
ところで、ナチュロパシーでは「1日1.5〜2Lの純粋な水」を飲むことを推奨しています。
これは腎臓機能を高め、代謝やデトックスを促進するため。
スープやお味噌汁はもちろん液体として数えるのだけれども、食事の水分は栄養補給として活用して、基本的には水とは別に考えます。
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その理由は3つ:
1. 汁物の成分が純粋な水分補給を妨げる
汁物には栄養素や塩分、タンパク質などが含まれています。
これらは栄養供給には優れていますが、塩分なども含まれますから、腎臓が老廃物を流すための「クリアな水分」としては不十分な場合があるのでは、と考えるからです。
2. 純粋な水はデトックスをサポート
純粋な水は、老廃物の排出や血液・リンパ液の流れを促進する役割があります。
いっぽう、汁物では「純粋な水」とと比べて、この働きには適さないと考えます。
3. 「隠れ脱水」を防ぐための純粋な水
スープや味噌汁だけに頼ると塩分過多や「隠れ脱水」のリスクがあります。
ラーメンのスープを水とカウントするのはちょっと厳しいかも。
特に尿が濃い色になる場合は、純粋な水分が不足している可能性があります。
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もちろん、塩分を足さない純粋なお出汁と、肉や野菜たっぷりのスープでは濃度がうので、お出汁の場合は使いようというのはあります。
ただ、身体がそのままを受け入れてくれるのは、ニュートラルな純粋な水をおいてほかにないんですよね。
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私のおすすめバランス
純粋な水をこまめに摂取(常温やお白湯がおすすめ)。
スープは食事として楽しみ、塩分控えめを意識。
汁物を栄養源、水をデトックスのためと明確に分ける。
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さいごに
ナチュロパシーでは「減った分は足して、過剰は取り除く」という考える前に、全体を見回して全体のバランスをとるように考えるのが、わかっていただけたらと思います。
水分をコントロールする泌尿器系の働きは、とても複雑です。
処方薬のある方、持病のある方は、普段の食事や飲み物にも気を使われていると思うので、こんなに単純にはいかないと思われるかもしれないですね。
ただ、水分のことって身体の調子を整える基本中の基本であるのに、温度やタイミングは意外と見落としがちなんです。
そして適切な水分補給、バランスの取れた食事、運動習慣を取り入れること。
シンプルではありますが、そんな心がけで、むくみや潤い不足といった悩みを減らせたらいいと思います。
毎日できることから始めて、人生をもっと健康的に、快適にしてゆきましょう。
注意したいこと
⚠️ 水道水の取り扱い 水道水を沸騰させると塩素が揮発し濃度が減少しますが、一部の有害な副生成物(トリハロメタンTHMs)が発生する場合があります。
飲用水は、フィルターを使用するか、市販のミネラルウォーターを利用するのがおすすめです。
3分以内の短時間の沸騰では塩素の揮発は進みますが、THMsの生成も同時に促進されます。
10分以上の煮沸はTHMsを揮発させるものの、エネルギー効率が悪く、水分中の酸素が失われるため味が変化してしまいます。
重金属のこともあるので、最初から水道水以外の水を使うのは手間がかかりません。
それでも、もし水道水からお白湯を作る場合は、煮沸は10分から15分くらいにしておき、その日のうちに飲み切るといいです。
このnoteでは、どなたにも日々役立てていただける食と健康に関する情報を提供していますが、医療専門家のアドバイスに代わるものではないことをご確認ください。効果や結果は個人差があるため、特定の健康問題については医師や専門家にご相談ください。情報は最新を心がけていますが、変更される場合もありますので、自己責任でご利用ください。
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