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0625 大岡昇平を読んでいる

通勤電車では、文庫本に限る。
好き嫌いが多い私は、作者は戦前を生きた作家ばかりを読み、今の作家をほとんど知らない。

吉村昭や三浦哲朗、開高健は繰り返し読む。
阿部昭は、ちょっとお父さんに感情移入しがちで辛い。

そして今読んでいるのは大岡昇平のレイテ島戦記である。
野火などは読んでいて、恐ろしく客観的に自分と周囲を見ている作家だと思っていたが、この本も、どれだけ調べ尽くしたのか、そして、本人も悲惨な戦場を戦っているもの特有の、被害者視点で日本軍を描くことは一切ない。
そこで亡くなった多くの人たちに向け、この時こういう状況であったのだと説明するかのようなのだ。
そして、平和を訴えるというよりは、人として、という根源を書いている。これは他の作品にも同じ流れがある。

一切ぶれない。装飾と感情を削ぎ落とし、3冊にわたるレイテ島の戦いの本。
まだ上巻の、米軍が上陸してやっとカリガラにたどり着いたところだ。
なかなか読んでいるときついものがあって、帰りの電車で読むには疲労困憊なのであるが、読書とは好きで読むものであるし、急ぐ必要もないので、ゆっくり読もうと思う。

つい、現場に自分がいるような気持ちで、朝の通勤はレイテ島の兵士や、連隊長になってしまっている。
頭を現代に戻すのに、始業ギリギリまで喫茶店でiPadをいじる。

横で、携帯電話ので通話、パソコンでの会議を控えろと書いてあるテーブルで、電話をし、会議をする若い女子のおかげで、ここは令和なのだと戻ってくる。

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