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私的記録『茶禅華』 2024.04
◼️インプレッション
漢字四字
メニューは四字熟語のような漢字表記。文字からの想像と妄想。出てくるまでの楽しみ。
緩急
優しい素材と力強い素材、淡味と旨み、液体と個体、透明感とパンチ。対比でリズムが生まれる。料理が流れる。疲れることなく気持ちよく走り続けられる感覚。
連携
厨房とホールの連携。温かいものが各テーブルごとのペースでベストの温度で出てくる緻密な連携。厨房とホールの密度。
鷹揚
慇懃でなく鷹揚なサービス。臨機応変。出てくるワインも会話を聴きながらチューニング。
お茶
アルコールとお茶のミックスペアリングを選択。満足度の高いお茶のクオリティ。酒飲みを後悔させないお茶の威力。
◼️献立
杏仁越光 パリッと炊いた少量のお米に温かい杏仁ミルクでスタート。中国では米➕杏仁ミルクの組み合わせはよくあるそう。越光(=コシヒカリ)
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紹興海鮮 ホタルイカ。薬味3種。現地の浜で蒸していて臭みが全くなく内臓の張りは弾けんばかり。
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文蛤春捲 繊細な春巻きの皮で包まれた温かい蛤の身。うすはりのような皮がサクサクホロホロと儚く崩れる。
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香港焼味 チャーシュー。チャーシューに煮豆(大豆)。中国料理では定番の組み合わせ。
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キャンティクラシコ カステッロ・ディ・アーマ 2006
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山葵海蜇 クラゲの頭のコリコリとした独特の歯応え。山ワサビの薬味で覆われているところにセンス。ビジュアルも何かわからなくても美しい。
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雉雲呑湯 定番。雉の出汁の深いコク。雲呑の繊細で伸びやかな食感。
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清蒸虎福
蒸したトラフグを魚醤系のソース、薬味と一緒に。淡味。
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香辣虎福
四川唐辛子、とらふぐの唐揚げ炒め。辛くて旨味もたっぷり。しかし見た目に反して辛味は穏やか。ぎりぎりのバランス。
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紅焼魚翅
フカヒレとそのソース。濃醇でコクのあるソース。残ったソースをご飯で食べたら美味しそうと呟いたら・・・来た。
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今日時菜
フカヒレの濃度とバランスを取るような湯葉と青菜の炒めもの。
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茶禅鸽子
スペシャリテ。再び上がる感覚。鳩の腿と胸肉は、時間差をつけて提供するようになったとのこと。以前は一緒に。それぞれがベストな温度で食べられるようにとの配慮。
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かぶりつくと肉汁が弾ける。手で食べるので無心に、野生を呼び覚まされる。
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雲白肉(ウンパイロー)
これもシグニチャー。メニューにはなかったが、初めて茶禅華を体験する同席の人のために加えてくださったのだろうか。豚もナスの薄切りも手仕事。飾り包丁の細かく入った茄子のきめ細かさにいつもながら感服。美術品のような美しさ。綺麗な味わいの脂がこの雲白肉に相応しい。
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◼️麻婆豆腐ご飯と〆の麺(まとめ)
エンディングの炭水化物。隠れメニューなのかもしれないけれど美味しくてと同席者に呟いていた麻婆豆腐がさりげなく登場。聞かれていたのだ。いつもの如く完璧な炊き具合の土鍋ご飯とともに。辛味に品があり。お腹はいっぱいなはずなのに食べられてしまうから実に不思議。 清湯麺は卵をたっぷりと使った?イタリアのタヤリンのような歯切れの良い食感。そしてスープの透明感。満腹中枢は発動することなく、どこに染み込んでいくのか。ツルツルと馴染んでいく不思議。
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お腹を満たすのでなく細胞を喜ばす料理。川田シェフは、食べた瞬間に美味しさが分かりやすく来る料理は自分の作りたい美味しさではないとおっしゃっていたが、このずっと食べ続けられるような心地よさ、全身がジワジワと満たされていく感覚は、美味しいを超えた別次元だ。
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